山口32mによる研究と、 茨城への提案

山口大学電波グループ
ブレーザー電波データの紹介
藤沢健太(山口大学)
2009年8月10-11日
「かなた」ミニWS
ブレーザーの単一鏡観測
• 経緯
– ポインティング調査やVLBI観測補
助に、時々、AGNの単一鏡フラック
ス観測を行っていた
• これを科学的な研究に使いたいと
考えていた
– 広島大学から声を掛けていただき、
本気でやる気になった
• が、2008年は望遠鏡駆動システ
ム不調でほぼ何もできず
• 2009年4月に問題が解決、以後
順調に観測実施(今年度は学生も
多いので、観測が容易になった)
2009年4月~6月に取得したデータ紹介
• 天体
– 笹田真人さんに紹介してい
ただいた9天体
No
IAU 名
別名
1
0048-097
2
0133+476
3
0454-234
4
1502+106
5
1807+698
3C 371
6
2251+158
3C454.3
7
0716+714
8
0851+202
OJ 287
9
0219+428
3C 66A
MisV1436
2012/03/07-08 ミニWS「多バンド観測による時間変動現象の研究」@広島大学
山口32m電波望遠鏡による
変動天体のモニター観測
藤沢健太(山口大学)
1.AGNのフラックスモニター観測と結果
2.メタノール・メーザの強度変動観測
山口32m電波望遠鏡
(旧山口第4アンテナ)
1.AGNのフラックスモニター観測と結果
AGNの短期・本質的強度変動 1
PKS 1510-089
Variation with timescale of 20-30 days
FLUX DENSITY (JY)
JVN 8GHz
8.4 GHz
Yamaguchi 32m
Single-dish
22 GHz
VERA 22GHz
VERA 43GHz43 GHz
Day of Year 2010
AGNの短期・本質的強度変動 2
OT 081
6.5
6.0
5.5
Flux density(Jy)
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
2.0
1.5
30
40
50
60
70
80
90
100
110
Day of year 2010
120
130
140
150
160
170
180
特定の周波数にだけ現れた変動
6.0
Flux density (Jy)
5.5
5.0
Yamaguchi(8GHz)
4.5
43GHz
22GHz
4.0
15GHz
3.5
8.4GHz
3.0
5.0GHz
2.5
2.3GHz
ここだけ強く変動!
1.6GHz
2.0
1.4GHz
1.5
30 40 50 60 70 80 90 100 110 120 130 140 150 160 170 180
Day of year 2010
• 山口の8GHzモニターと同時にVLBAで多周波観測
(アーカイブデータ)
• 5, 8, 15 GHzにだけ変動が見えた!?
2.メタノール・メーザの強度変動観測
1. 長期・大規模モニター
2. Cep Aの強度変動とメーザの励起
3. バースト現象の発見
山口32mによる長期大規模モニター観測
200個以上のメタノール・メーザ天体を毎年観測し、変動を調べた
Flux density [Jy]
2004
2005
2006
18236-1205
Flux density [Jy]
Flux density [Jy]
19410+2336
18421-0348
LSR Velocity [km/s]
2007
Cepheus Aで観測されたごく短期の強度変動
Sugiyama et al. (2008)
• スペクトル成分で異なる強度変動
– 通算日224~250日では、I, IIの成分
が減少、III, IV, Vは上昇
– 通算日250を境に傾向が逆転
– 時間スケールは20日程度
– 変動のタイミングは3日以下で同期
・ スポットは空間的に1000AU以上離れている
~2匹目のどじょうを探して~
ごく短期変動の系統的探査
• 山口32mで毎日観測
– 2009年7~10月
– 108日間に62回観測
• 22天体を対象
– 強度が大
– スペクトル複数成分
結果
ほとんどの天体は、予想した程度の変動
MONR2
G188.95+0.89
G232.62+0.99
G9.62+0.20
W33A
G11.49-1.48
G18.34+1.77
G23.43-0.18
G23.01-0.41
G25.70+0.04
G28.30-0.38
G29.95-0.02
G35.20-0.74
W48
W49N
CepA
NGC7538
ほとんどの天体は、予想した程度の変動
バースト天体 G33.64-0.21
距離4kpc、光度1.2x104太陽光度・・・普通の大質量星形成領域
• 1成分だけが急激な強度変動を示した!
– 1日で25→190 Jyに増大、観測中に2回発生
200
200
DOY 210
150
150
Flux Density [Jy]
Flux Density [Jy]
I
II
III
IV
V
VI
DOY 211
100
50
100
50
0
-50
I
56
57
58
59
II
III IV
60
61
Vlsr [km/s]
V VI
62
63
64
65
0
180
200
220
240
Day of Year 2009
260
280
300
200 200
DOY 210
・1日以下でフラックス密度が7倍
・時間スケール5日で減少
・他の成分はまったく変動しない
150
Flux Density [Jy]
150
Flux Density [Jy]
DOY 211
I
II
III
IV
V
VI
100
100
50
50
0
0 -50 56
180
I
57
200
58
59
220
II
III
60
240
V VI
IV
61
[km/s]
DayVlsr
of Year
2009
62
260
63
64
280
65
300
スポットの空間分布
• バーストスポットは端にある
• 70AU離れたスポットは変化しない
JVN
参考データ(先行観測)
EVN (Bartkiewicz et al. 2009)
提案:磁場のエネルギー解放
バーストした領域で磁場エネルギーが解放
→ 解放されたエネルギーで周囲のガス・ダストを加熱
→ 加熱されたダストの赤外線放射がメタノール分子を励起
→ メーザの急激な増大
エネルギーが宇宙空間に散逸する時間スケール~5日
• 宇宙における磁場のエネルギー解放現象
– 太陽のフレア、形成中の小質量星周囲のフレアなどの例がある
– このようなフレアでは高エネルギー粒子を生成する
– 大質量星では磁場のエネルギー解放に伴うフレアは観測例が無い…
• 「かなた」で同時モニターを行っていたら、近赤外でバースト
が起きるのが見えたか・・・?