日本の生命倫理学における人の 身体 序論 I. II. III. III.1 III.2 体 結論 生命倫理学と身体 日本の生命倫理学の発展 生命倫理学と思想史 生命倫理学における身体の概念 脳死問題と語りかける身体 ヒト胚研究とイメージ・シンボルとしての身 序論:生命倫理学と身体 生命倫理学とは、生命科学が人体を扱うことによっ て生じる倫理的問題の学問的検討である。 脳死問題、ヒト胚研究等々 生命科学は、方法論上、人の身体を客観化する。 生命科学により客観化された身体は、同時に人の身 体であり、つまり、主観としての身体である。 生命倫理の問題の殆どは、この身体の両義性から生 じる。 従って、生命倫理の問題を考えるとき、身体の概念 が必然的に関わってくる。 シュタイネック: 生命倫理学と身体 03.11.09 / 2 I.日本の生命倫理学の発展 1960〜1978:先行期 唄孝一、中絶問題等 1978〜1984:専門としての誕生 バイオエシックス、そして生命倫理 1985〜2000:普及 三菱化成生命科学研究所、日本生命倫理学会、脳死臨 調 2000〜 多様化 ヒト胚研究、インフォームド・コンセント、臓器移植 再論、ヨーロッパや韓国の生命倫理の受容 シュタイネック: 生命倫理学と身体 03.11.09 / 3 II.生命倫理学と思想史 •宗教の無力さ •近現代の伝統 • バイオエシックスの意味 • 近代の倫理学 • 和辻系統 • カント系統 • 現象学 シュタイネック: 生命倫理学と身体 03.11.09 / 4 III.生命倫理学における身体の 概念 日本の生命倫理または生命倫理学で一番有力な 身体概念とは自然的客体としての身体の概念 である。 • 自然科学からの影響 • 和辻的倫理観 シュタイネック: 生命倫理学と身体 03.11.09 / 5 III.1 脳死問題と語りかける身 体 •脳死:脳全体の全面的、または不可逆的機能停止 (異説あり) •森岡正博『脳死の人』、東京:福武書店、198 9 • 脳死した人の人間性・関係性 • 和辻の人間観、メルローポンティの間身体性の概念 •西村ユミ『語りかける身体:看護ケアの現象学』 、東京:ゆみる出版、2001 • 間身体性、コミュニケーションする身体 シュタイネック: 生命倫理学と身体 03.11.09 / 6 III.2 ヒト胚研究とイメージ・ シンボルとしての身体 • ヒト胚は生命物質か、人か • 村松聡『人はいつ人になるのか:生命倫理か ら人格へ』、東京:日本評論社、2001 • 能力・習慣の器としての身体 ➝habitualization, motor habits, procedural memory、 つまり歴史的存在としての人間 • 姿・イメージ・シンボルとしての身体 ➝身体という物質的なものに意味が内在する シュタイネック: 生命倫理学と身体 03.11.09 / 7 結論 • 日本の生命倫理または生命倫理学では物質的 客体としての身体の概念は圧倒的と言えるほ どに有力である。 • いわゆる少数派の生命倫理学者が、脳死問題 やヒト胚研究問題に当たって、身体の多義性 を考えてきた。 • そこで、主に20世紀の現象学的身体論を受け 入れて、身体の歴史性・象徴性の考察を具体 シュタイネック: 生命倫理学と身体 03.11.09 / 8
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