「学級でできる ソーシャルスキルトレー ニング」 ~聞く力を高めよう~ 1 なぜ、今SSTなのか 2 SST(社会生活に必要な技術)とは 3 「みんなで楽しく体験しよう」 なぜ 今ソーシャルスキルなのか 子どもを取り囲む環境の変化 情報化・スピード化・人口の流動化 核家族化・少子化・地域社会の希薄さ 家庭・養育環境の変化(親の過保護・過干渉・過度な期待) 三間(時間・空間・仲間)の消失 人と人とのかかわりが不足 なぜ 今ソーシャルスキルなのか 発達障害のある子どもたち ・相手の表情が理解できない ・視線が合わな い ・会話に適した距離が保てない ・空気が読めな い ・行動のコントロールが難しい ・字義通りに 理解する ・曖昧な表現や文脈の理解が難しい ・成功体験が少ないために自己肯定感が低い 人と付き合うコツを自然に身に付けることが ・いじめやからかいの対象になりやすい 難しい なぜ 今ソーシャルスキルなのか 周囲の子どもたち ・キレやすい ・自分の気持ちを伝えることが苦手 ・相手の気持ちを考えて行動することが難しい ・発達障害児を受け入れられない、ちょっかいを 出す ・人とかかわる経験が少ない ・基本的なルールやマナーを知らない 規範意識の低下が問題となっている 道徳が「特別の教科」 なぜ 今ソーシャルスキルなのか 社会生活に必要な行動の仕方・人と関わるコツが身 に付いていない 乏しいソーシャルスキル 今の自分にOKと言えない 低い自尊感情 人と関わる体験の中で人付き合いのコツを身に付ける 自分の気持ちをコントロールするスキルを身に付ける SSTとは 基本的な流れ 言って聞かせて ウォーミン グアップ (導入) 教 教 示 言葉や絵で 直接教える してみせて させてみて モデリング リハーサル フィードバック 見て学ぶ やってみる 振り返り 評価 ほめて 般 化 実際の場面で できるように 示:やり方を言葉や絵カードなどで教える モデリング:適切な振る舞い方を見せる 問題場面を見せどうすればよい (示範) か考えさせる リハーサル:実際に練習してみること(ロールプレイ、ゲーム、ワークシート) (実行) フィードバック:子どもの行動をほめたり、修正を求めたりすること 般 化:どんな時、どんな場、どんな人でもできるようにすること SSTとは 3つの指導形態 〈活動型の指導〉 子ども楽しめるゲームやアクティビティを中心に指導を組み 立て、仲間関係をつくり深めていくことを目的とした指導方法 〈教授型の指導〉 グループの子どもの指導目標をもとに、ソーシャルスキルの テーマを決め、それに沿ってプログラムを組んでいく指導方法 〈機会利用型の指導〉 日常生の中で機会を見付けて、スキルを指導していく方法 3つの指導形態を組み合わせる SSTとは 12の基本スキル 1 コミニュケーションスキル(4) 挨拶の仕方 自己紹介の仕方 上手な聴き方 質問の仕方 2 受容・遊び参入スキル(2) 仲間の誘い方 仲間への入り方 3 受容・共感スキル(2) あたたかい言葉のかけ方 気持ちを分かっての働きかけ方 4 主張スキル(3) 優しい頼み方 上手な断り方 自分を大切にした伝え方 5 問題解決スキル(1) トラブルの解決策の考え方 SSTとは 指導領域 〈集団参加行動〉 学校生活や集団行動などフォーマルな人間関係に必要なスキル 〈情緒的行動〉(セルフコントロール) 行動、注意、衝動性、感情などの自己統制に関するスキル 〈自己・他者認知〉(仲間関係) 友達関係を維持したり、友情を深めたりするのに必要なスキル 〈コミュニケーション〉(言語的・非言語的) 聞く、会話、話し合い、自己表現など意思伝達手段に関するスキル SSTとは 様々な指導方法 ・スクリプト(台本)によるSST ・モデルやロールプレイ ・絵カードを使ったSST ・文章によるSST ・SSTを意識したゲームなど ・ワークシートやチェックリスト ・話し合い ・会話の視覚化(コミック会話) ・解決方法を視覚化する いろいろな方法を組み合わせる 子どもが必要性を感じる仕掛けと定着化 学びでいちばん必要な力は? 話す力 聞く力 読む力 書く力 計算する力 推論する力 みんなで楽しく体験しよう ウォーミングアップ <テレパシーゲーム> ■準備 ・隣同士ペアを組み、向かい合って座る。 ■本番 ①二人がそれぞれに、自分の頭の中で1~3の数字を思 い浮 かべる 思い浮かべるだけで口や表情には出さないようにする ②指導者の「せーの」の掛け声で、一斉にその思い浮か べた 数字の本数の指を出す 思い浮かべた本数が一致したかどうかを楽しむゲーム • 3回繰り返す。1回終わるたびに、「〇回目に成功した みんなで楽しく体験しよう ウォーミングアップ <音をひとつに> ■準備 ・2人ペアになって、起立して向かい合う ■本番 ・指導者のかけ声「いちにのさんはいっ」で右手のひら をくっつ ける ・手のひらをタイミングよくくっつけて、パンという音 を鳴らすこ とができるかを楽しむゲーム ・左手、両手のバージョンもやってみる。さらに、一回 転を間に 挟むことによって難易度が増す。 みんなで楽しく体験しよう 1 「落ちた落ちた」 全体 〈ねらい〉 ・注意して話を聞き取る 〈内 容〉 ・リーダーは前に出て、「落ちた落ちた」と言う ・他の人は「何が落ちた」と返す ・リーダーは「りんご(両手で受け取るまね)、かみな り(おへそを隠すまね)、げんこつ(頭を押さえるま ね)、爆弾(耳を押さえるまね)」の中から1つ選ん でん「○○!」と言う ・他の人は言葉に合わせて動作をする ※徐々にテンポを上げる みんなで楽しく体験しよう 2 「そうだねゲーム」 ペア 〈ねらい〉 ・受動的に話を聞く大切さを知る (うなずく 目を見ながら・最後まで・笑顔で聞く) ・肯定的に受容されている心地よさを体験する 〈内 容〉 ・ジャンケンをする ・負けた人が、「それは○○だね」と話す 例:「それは時計だね」「今日は暑いね」等 最後に「私は○○が得意です」 ・相手の人は頷きながらにこやかに「そうだね」と言う ・途中で交代する みんなで楽しく体験しよう 3 「自己紹介」~隣の○○さん~ グループ 〈ねらい〉 ・楽しく自己紹介ができる ・集中して聞く 〈内 容〉 ・グループをつくる ・自分の名前の前に「○○の好きな△△です」と自己紹 介をする 例:「メロンの好きな加賀谷です」と言う ・次の人は、「メロンの好きな○○さんの隣の、スポー ツの好きな○○です」と言う ・一回りするまで 繰り返す(忘れたら聞いてもOK) みんなで楽しく体験しよう 4 「連想ゲーム」 グループ 〈ねらい〉 ・注意して話を聞き取る ・表現語いを増やす 〈内 容〉 ・グループをつくる ・初めの人が言った言葉に関連のある言葉を次の人が言 っていく・・・ 例 りんご→りんごと言ったら赤い→赤いと言ったら ・・・ ・つっかえたり、一度出た言葉を使った場合は、その人 からやり直す ※徐々にテンポを上げる みんなで楽しく体験しよう 5 「聖徳太子ゲーム」グループで 〈ねらい〉 ・集中して聞く ・チームワーク 〈内 容〉 ・3人が「せーの」の合図で同時に3文字単語のうち、 1文字ずつをチームの一人一人が担当して言う ・グループで3つの単語を当てる ※単語を3つから4つに増やす ※グループごとに出し合って競う ※答えられないときはヒントを出す みんなで楽しく体験しよう 6 「図形伝言ゲーム」 グループで 〈ねらい〉 ・言葉で正確に情報を伝える ・注意して聞く 〈内 容〉 ・各グループごとに縦に1列に並ぶ ・先頭の人に図を見せる 先頭の人は、2番目の人にど んな図であるかを言葉で伝える ・2番目の人は説明を聞きながら図を紙に描く ・2番目の人は3番目に人に同様に図を伝えていく ・最後の人が図を描き終わったら、はじめの図と照らし 合わせる まとめにかえて 学級におけるSSTのポイント ・教え込むような雰囲気ではなく、楽しい雰囲気の中で 行う(友達と一緒に活動することが楽しい!) ・学ぶ子どもたちにとって楽しくて仕方がないような工 夫がなされている(楽しい、またやりたいという体験) ・6割の子どもができていて、1回の練習で8割の子ども ができるようになるもの 「教師が最強・最高のSST」を目指す! SST参考図書 実践ソーシャルスキルマニュアル 明治図書 やってみようソーシャル・スキルトレーニング33 グリーンキャット LD・ADHDへのソーシャルスキルトレーニング 日本文化科学社 LD特別支援教育をサポートする 図解よくわかる ソーシャルスキルトレーニング実例集 ナツメ社 ソーシャルスキル教育で子どもが変わる 図書文化
© Copyright 2024 ExpyDoc