1.現状と課題 ☆強震動予測の手順 ①対象とする地震を想定する ②その地震に対して震源モデルを 構築する ③揺れを予測する地点の地盤を 含む、震源から予測地点までの 地下構造をモデル化する ④これらのモデルにしたがい、 数値計算によって強震動を 計算する どの一つの 過程が達成 できなくても、 揺れは予測 できない 1―(1).強震動シミュレーション ★強震動シミュレーションとは? すでに起こった過去の地震による揺れの再現を指す 強震動予測の①と②が不必要 対象が過去の 地震なので… ③の「地下構造のモデル化」が必要 ★精度よく過去を再現するには? 地下構造に関する情報が必要 EX) 対象となる地震の震源近傍で発生した中小地震の記録 長年にわたる地震観測結果の蓄積...など 1―(1).強震動シミュレーション 予測という観点からすれば、過去の再現だけでは× (揺れを再現できるだけでは、強震動予測とは言えない) そこで… ・震源の想定(強震動予測の①、②) ・地震が起こる前からの準備 予測結果を受け取る人 が必要 その地震はどの程度同じように 繰り返すの? 防災上対象とすべき地震の 震源はすべて特定できてる? 1-(2).地震の繰り返しと予測 海溝型地震 (アスペリティモデル) 内陸型地震 •アスペリティや短周期発生域が わかると、将来起こりうる地震の想定、 震源モデルの構築がある程度できる •同じ断層で次に地震が起こる際に、 同じようにすべりが起こるかどうかは わからない •ゆっくりすべり域の存在 •ゆっくりすべり域の存在が定かでない •歪みの蓄積過程から地震の繰り返し のシミュレーションに成功すれば、 予測モデルのばらつきが減少する 可能性が出てくる •地震が再来する際、震源断層がある 程度特定されても、断層面のどこが 大きくすべるかの情報が得づらい 強震動予測にとっての大きな不確定要因 1-(3).震源を特定できない地震 海溝型地震と異なり、内陸型地震は震源が内陸直下でかつ浅い位置に あるため、震源の規模が小さくても大きな被害を被ることがある (特定された震源断層について強震動予測をしても、それ以外に被害を与える 震源断層が存在) ★どこまで小さな規模の地震の震源まで特定できるのか? 一度の地震による地表地震断層の出現の有無 + 過去の内陸型地震(活断層)が残した 地形への調査から震源断層を推定する技術の確立 課題 •震源が特定できない地震の最大規模の評価 •それによる強震動レベルの推定 1-(4).これからの強震動予測 ・地震予知と強震動予測の共通点 : 「どこで」、「どのくらいの規模」の 地震が起こるか(「いつ」も含まれる場合がある) →強震動予測の一部に地震予知の多くが含まれる ・強震動予測は技術的にまだまだ未熟 →高度な専門知識のもとで実施されるべきものであり、 予測がはずれたときのバックアップシステムが必要 ・現在の強震動予測や地震予知の知識の到達点を理解し、未解決な 部分を補う方策を、さまざまな人々の協力により考えていくことが 重要! →総合科学としての地震学の発展 2.おわりに ー地震への恐怖から理解へー ◎我々自分自身が、今後さらなる地震災害の軽減に向かって何が できるか、どのような意識をもって地震と共存してゆくべきか ★第3の条件 地震に強い社会をつくるための3つの条件 1.経済力 2.技術力 3.一人一人の防災意識 ・平成18年までの小中学校の耐震化率:57% ・これに対して異議を唱え、行動する保護者は ほとんどいない(他人事、無関心) 防災意識が 低いのでは? 2.おわりに ー地震への恐怖から理解へー ★地震が造る国土 日本の山、川、盆地などは、地震を ともなって大規模に造られている •神戸の六甲山 •長岡市の魚沼丘陵 •三浦半島の海岸線沿いの平地 •房総半島南部の海岸線沿いの平地:図1 (南房総では、暮らしのすべてが地震の 際にできた土地にある→道路、家など) 図1 房総半島南部の元禄段丘(手前)と大正段丘(人がいる ところ)と未来の段丘(海で見え隠れする岩棚) 日本列島は今現在も創造されており、 地震とはその創造の過程が集中する 瞬間である 地震を引き起こす変動が なければ、今の日本列島 は存在していない 2.おわりに ー地震への恐怖から理解へー ★地震火山こどもサマースクール 防災のためには『自然への理解』が不可欠 同じ考えをもったマスコミの 人や小中高の先生、自治体 職員、一般市民など 地震火山こどもサマースクールの開始 目的 … 1.研究の最前線にいる専門家が、 こどもの視点まで下りて、地震・ 火山現象のしくみや本質を直接 語る 2.災害だけでなく、災害と不可分の 関係にある自然の大きな恵みを 伝える 図2 断層地下断面の説明 http://sk01.ed.shizuoka.ac.jp/koyama/izu/ tanna820/tanna99820.html 2.おわりに ー地震への恐怖から理解へー ★自助・共助・公助 公助…国や地方自治体など、公の機構の助け(あくまで最終手段) 共助…地域の助け合い 自助…自分や家族で頑張ること 一人一人が防災を心がける しかし現状は… ・共助どころか、近所付き合いすらしない人たちがいる ・自助どころか、家族がばらばらに生活している ・「マンションだから近所付き合いはいらない」という考え 地震の被害は、このような日ごろの 生活に原因がある被害も多いのでは ないか? 家族内での防災会議・ 日ごろの近所付き合い が必要 2.おわりに ー地震への恐怖から理解へー ★地震と共生していくためには…? 家族の協力を核として、地域や学校との連携が不可欠 自分の住む場所の自然環境を理解する 歴史をさかのぼって過去の災害を知る 我々の生活を豊かにする活動 ★地震防災の究極の目的 自然に対する畏敬の念を忘れず、「一人の百人力より 百人の一人力」を合言葉に、地震災害のない豊かで 人間味のある生活を送れる社会を実現すること
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