基礎電気理論 (8) 2008年作成 担当:本間 聡 連絡先 Email: [email protected] フレミングの左手の法則 ローレンツ力とは? 磁束密度がある空間中を移動する電荷に働く力 F qv B 磁束密度Bがある中を、電荷qが速度vで移動している場合に、 電荷に発生する力をローレンツ力という。 電荷が移動すること=電流Iが流れる。 F IB 電流、磁束、力の向きはそれぞれ左手の中指、人差し指、親指 の方向となる。 フレミングの右手の法則 磁束密度Bがある中を、導体線を速度vで移動させた場合に発生 する起電力の向き(電流Iが流れる向き) 正の電荷が力Fを受けて移動する。 教科書 p48の図を参照 F vB 起電力の向きF(Iの向きでもある)、電束密度B、導体線の速度vをそれぞれ、右 手の中指、人差し指、親指の方向になる。 フレミングの左手と電流が流れる方向が逆になることに注意 ベクトルの掛け算のおさらい ベクトルの掛け算は2種類ある。 スカラー積(内積) 得られる結果はスカラー量。 ベクトル積(外積) 得られる結果はベクトル量 スカラー積(内積) A B AB cos もし,AとBが平行ならば A B AB A B もし,AとBが垂直ならば AB 0 Ax Bx A B Ay B y Ax Bx Ay B y Az Bz A B z z ベクトル積(外積) | C | AB sin( ) AB C AとBのベクトル積は、AとBを一辺とする平行四辺 形の面積に対応する大きさを持ち、 AとBに対して 垂直方向を向くベクトルとなる(右ねじの方向) AとBが作る面積に対応する C B B A A B Ax By k Ax Bz j Ay Bxk A Ay Bz Az By i Az Bx Ax Bz j Ax By Ay Bx k ベクトル積と行列式 ベクトル積は計算が複雑。行列式と一緒に覚えると楽になる B Bxi By j Bz k の外積は A Ax i Ay j Az k i A B Ax Bx j Ay By k Az Bz i Ay Bz j Az Bx k Ax B y i Az B y j Ax Bz k Ay Bx Ay Bz Az B y i Az Bx Ax Bz j Ax B y Ay Bx k スカラー3重積 スカラー3重積とは、ベクトル積とスカラー積より計算される。 ABC 間違ってはいけないのは、スカラー積とスカラー積ではない。 物理の計算を行う上でよく使われるので、意味を理解しておこう。 スカラー3重積 流速Jを仮定する。 Jの方向は、流体の流れる方向を表す Jの大きさは、流体の流れる速度を表す。 ある面を通過する流体の量を考えよう 面に対して垂直にJが向く場合 J J 面積 S 面を通過する流体はJS スカラー3重積 流速ベクトルに対して面が傾いていた場合は? Jに対してθだけ傾いた面 J J 面積 S 面を通過する流体はJScosθ もし極端な例をあげると J 90 面を通過する流体はJScos90° =0 スカラー3重積 S J 面を通過する流体はJScosθ 新たにSというベクトルを定義する 大きさは、面の面積S 方向は、面に対して垂直 面を通過する流体をベクトルで表すと V J S スカラー3重積 さらに 平行四辺形の各一辺をベ クトルA,Bとあらわすと B A S AB V J S V J A B ベクトルA、Bを一辺とする平行四辺形を通過する流体Jの量 スカラー3重積 i A B Ax j Ay Bx By k Ay Bz Az B y Az Az Bx Ax Bz Bz Ax B y Ay Bx J x Ay Bz Az B y J A B J y Az Bx Ax Bz J A B A B y x z x y J x Ay Bz Az B y J y Az Bx Ax Bz J z Ax B y Ay Bx スカラー3重積 行列式を使って表現すると、 J A B J x Ay Bz Az By J y Az Bx Ax Bz J z Ax By Ay Bx Jx Jy Jz Ax Bx Ay By Az Bz ベクトル3重積 教科書P53-55 各自見ておきましょう 勾配を理解する前に全微分を学ぶ まずは山をイメージしよう 標高 y y軸 x軸 (x,y) x (x+x,y+y) x方向に⊿x、y方向に⊿y移動すると 高さはどれくらい変化するのか? 座標(x,y)の山の標高はf(x,y)で与えられるとすると f f ( x x, y y) f ( x, y) 全微分の続き 式変形の続き f f ( x x, y y ) f ( x, y ) f ( x x, y y ) f ( x, y y ) f ( x, y y ) f ( x, y ) f ( x x, y y ) f ( x, y y ) x x ② f ( x, y y ) f ( x, y ) y y ① 偏微分(partial differential) f ( x, y ) f ( x , y y ) f ( x , y ) ① lim y 0 y y f ( x, y ) f ( x x, y y ) f ( x, y y ) ② lim lim y 0 x 0 x x f ( x x , y ) f ( x , y ) lim x 0 x 複数の変数を持つ関数について たとえば、xとyの変数を持つ関数f(x,y)について 変数の中でxを定数にしてf(x,y)をyで微分することをyで 偏微分するという 微分記号d/dyの代わりに、/ yの記号を使う 全微分(total differential) f f ( x x, y y ) f ( x, y ) f f x y x y 結論 全微分とは、すべての変数について偏微分を計算し、 それぞれに微小変化量をかけて足し合わせる。 変数がx,yだけの場合 もし変数がx,y, zなら f f f x y x y f f f f x y z x y z ベクトルの勾配 勾配とは、どちらの方向にどれだけ傾いているか 顔の向き 顔の向き 標高 こちらの方向には 坂になっていないな (傾きは0だ) y軸 x軸 こちらに進むとのぼり坂だ (上方向に傾いている) 傾きは、方向によって値が違う。 つまり、傾きはベクトル量 山の勾配 (x,y) 座標(x,y)の山の標高はf(x,y)で与えられるとすると x方向の傾きは? f ( x, y ) f ( x x, y ) f ( x, y ) lim y 0 x x 同様に f ( x, y ) f ( x, y y ) f ( x, y ) y方向の傾きは? lim y 0 y y 山の勾配 したがって、山の勾配はベクトルを使うと以下 のように表現できる f f grad f f i j x y 勾配を表す記号 勾配:gradient iとjは、x,y方向の単位ベクトル もし、変数がx,y,zなら f f f grad f f i j k x y z ∇(ナブラ)について ∇は演算子。計算する内容を指す i j k x y z もし、∇gを計算しなさいと言われると、以下のように与えられる。 g g g g i j k x y z 今後 6月13日 6月20日 6月27日 7月4日 7月11日 スカラー3重積 ベクトルの勾配 勾配の計算例 発散とガウスの定理 発散の計算例 回転とストークスの定理 回転の計算例 テストに向けての諸問題 (日程を変更) 7月6日~11日、国際学会OECC(オーストラリア) 7月12日~18日 国際学会ISOM(アメリカ) 7月25日 テスト予定(日程は未定)
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