化学概論

化学概論 第13回
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前回のまとめ
熱機関の効率:カルノーの定理
熱力学的温度
温度計
エントロピー :状態によって決まる新たな状態量
可逆過程では
DS =Q/T
不可逆過程では DS > Q/T
エントロピー増大の原理(熱力学第2法則)
様々な変化に伴うエントロピー変化の例
理想気体の等温可逆変化
温度変化
相変化
気体の混合
先週の内容で特に印象に残った事項は?
32%
26%
18%
16%
4%
化
あ
...
ま
り
記
憶
に
な
い
理
変
温
等
の
気
体
想
理
エ
ン
トロ
ピ
ー
増
大
の
トロ
エ
ン
的
学
原
ピ
度
温
理
定
力
熱
ー
5%
ノー
の
6.
カルノーの定理
熱力学的温度
エントロピー
エントロピー増大の原理
理想気体の等温変化によ
るエントロピー変化
あまり記憶にない
カ
ル
1.
2.
3.
4.
5.
エントロピーを用いて、熱力学第2
法則を表すと
𝑑𝑆 =
4. どれも正しくない
2
1
4%
0%
し
くな
い
3.
29%
正
𝑑𝑆 ≤
も
2.
3
𝑑𝑆 ≥
67%
ど
れ
1.
𝛿𝑄
𝑇
𝛿𝑄
𝑇
𝛿𝑄
𝑇
次のうち不可逆変化はどれ?
59%
1. 気体の混合
2. 同じ温度の物体間の
熱移動
3. 準静的等温膨張
4. どれも正しくない
25%
11%
温
正
も
ど
れ
準
静
的
等
熱
の
間
体
物
の
し
くな
い
膨
動
移
合
混
の
体
気
じ
温
度
同
張
5%
エントロピーの計算例
(a)平衡の基準とエントロピー
孤立系では、系が平衡状態(可逆変化)になれば
DS=0
エントロピー最大が平衡の尺度
エントロピーは状態量 ⇒ 状態Aから状態Bの、系の状態
変化に伴うエントロピー変化は、経路に無関係
◎可逆的な変化の場合
𝐵
Δ𝑆 = 𝑆𝐵 − 𝑆𝐴 =
𝐴
𝛿𝑄
𝑇
◎不可逆な変化の場合:AとBを結ぶ任意(仮想的でもよ
い)の可逆過程を考えて、上記の式を適用して求める。
(b)理想気体の等温可逆変化に伴うエントロピー変化
理想気体 n mol が一定温度Tで体積V1→V2の可逆変化について
このとき、気体の行った仕事は
𝑉2
𝑉2
𝑛𝑅𝑇
𝑉2
−𝑊 =
𝑝𝑑𝑉 =
𝑑𝑉 = 𝑛𝑅𝑇ln
𝑉
𝑉1
𝑉1
𝑉1
理想気体の内部エネルギーは温度一定なので変化しない
したがって、熱力学第1法則より
𝑉2
𝑄 = −𝑊 = 𝑛𝑅𝑇ln
𝑉1
エントロピー変化は
𝑄
𝑉2
𝑝1
Δ𝑆 = = 𝑛𝑅ln
= 𝑛𝑅ln
𝑇
𝑉1
𝑝2
V2>V1ならば、DS>0
気体のエントロピーは定温可逆膨張で増大する
外界は系にQの熱量を供給したので、外界のエントロピー変化は
DS = -Q/T となり、系と外界を含めたエントロピー変化は0となる
(c)温度変化に伴うエントロピー変化
圧力一定で、外界から熱を加えて、 n mol の物質の温度がT1から
dTだけ変化するとき、必要な熱量は
𝛿𝑄𝑝 = 𝑑𝐻 = 𝐶𝑝 𝑑𝑇 = 𝑛𝐶𝑝,𝑚 𝑑𝑇
したがって、エントロピー変化は
𝛿𝑄𝑝
𝑑𝑇
𝑑𝑆 =
= 𝑛𝐶𝑝,𝑚
𝑇
𝑇
Cp,mが温度範囲 T1~T2 で一定のときは、温度変化に伴うエントロ
ピー変化は
Δ𝑆 =
𝑇2
𝑇1
𝑑𝑇
𝑇2
𝑛𝐶𝑝,𝑚
= 𝑛𝐶𝑝,𝑚 ln
𝑇
𝑇1
体積一定での温度変化では、同様に
𝑇2
Δ𝑆 = 𝑛𝐶𝑉,𝑚 ln
𝑇1
(c-2)温度、体積、圧力の変化に伴うエントロピー変化
理想気体 n mol が、 Cp,m一定のもとで、(p1,V1,T1)→ (p2,V2,T2)へと
変化するときのエントロピー変化は
変化の順序を
(p1,V1,T1) → (p2,V’,T1) [p1からp2への等温可逆膨張]
(p2,V’,T1) → (p2,V2,T2) [定圧温度変化]
のステップ的な可逆過程①として考えて、
𝑝1
𝑇2
Δ𝑆 = 𝑛𝑅ln
+ 𝑛𝐶𝑝,𝑚 ln
𝑝2
𝑇1
(参考)
先にV1からV2への体積変化を考える場合、変化の順序を
(p1,V1,T1)→ (p’,V2,T1) [等温可逆膨張]→ (p2,V2,T2)[定容温度変
化]のステップ的な可逆過程②として考えて、
𝑉2
𝑇2
Δ𝑆 = 𝑛𝑅ln
+ 𝑛𝐶𝑉,𝑚 ln
𝑉1
𝑇1
2つの方法は、同じエントロピー変化となることを確認してみよう。
①の経路
𝑝1
𝑇2
Δ𝑆 = 𝑛𝑅ln
+ 𝑛𝐶𝑝,𝑚 ln
𝑝2
𝑇1
2つの方法は、同じエントロピー
変化となることを確認してみよ。
p’
V’
②の経路
𝑉2
𝑇2
Δ𝑆 = 𝑛𝑅ln
+ 𝑛𝐶𝑉,𝑚 ln
𝑉1
𝑇1
(d)相変化に伴うエントロピー変化
物質の3態(固体、液体、気体)間の相変化は一般に一定
温度で可逆的に行われる。
圧力一定で、相変化(相転移)する際の転移熱(転移エン
タルピーΔ𝑡𝑟 𝐻)を転移温度(𝑇𝑡𝑟 )で割ったものが転移エント
ロピー変化となる
Δ𝑡𝑟 𝐻
Δ𝑡𝑟 𝑆 =
𝑇𝑡𝑟
融解(固体→液体)、蒸発(液体→気体)の際の転移エンタ
ルピーはいずれも正の値(吸熱)であるので、相転移に
伴って、系のエントロピーは増大する。
(e)混合のエントロピー
仕切り板で理想気体1(p, T, V1)と理想気体2 (p, T, V2)を
分けておく。仕切り板を取り除くと、等温等圧を保ち、2種
類の気体は拡散して均一な混合気体(p, T, V1 +V2)となる。
気体の拡散・混合現象は不可逆過程である。(逆に進まず、
元に戻らない)
p, T, V1+V2
気体1
気体2
始めと終わりの状態が同等の可逆過程を考える。
気体1のみを通す半透膜a、気体2のみを通す半透膜bを
持つピストンa, bを準静的に動かす。ピストンaは気体1を
自由に透過させるので、気体2の圧力p2のみを受ける。
ピストンbは逆に気体1の圧力p1のみを受ける。
a
気体2の等温可
p2 p1
逆膨張
(V2→ V1 +V2)
b
気体1
気体2
気体1の等温
p2 p1
可逆膨張
(V1→ V1 +V2)
気体1は単に等温可逆膨張となり、エントロピー変化は
𝑉1 + 𝑉2
Δ𝑆1 = 𝑛1 𝑅ln
𝑉1
気体2も同様にエントロピー変化は
𝑉1 + 𝑉2
Δ𝑆2 = 𝑛2 𝑅ln
𝑉2
したがって、系全体の混合のエントロピーは
𝑉1 + 𝑉2
𝑉1 + 𝑉2
Δ𝑆 = Δ𝑆1 + Δ𝑆2 = 𝑛1 𝑅ln
+ 𝑛2 𝑅ln
𝑉1
𝑉2
= −𝑅(𝑛1 ln𝑥1 + 𝑛2 ln𝑥2 )
ここで、x1とx2は混合気体中の気体1と気体2のモル分率で
𝑛1
𝑉1
𝑛2
𝑉2
𝑥1 =
=
,
𝑥2 =
=
𝑛1 + 𝑛2 𝑉1 + 𝑉2
𝑛1 + 𝑛2 𝑉1 + 𝑉2
x1<1、 x2<1であるので、混合のエンタルピーは
DS>0
となり、エントロピーは増大する
(f)エントロピーの統計的解釈
加熱 : 分子、原子(粒子)の熱運動の増大
気体の膨張 : 分子の運動できる空間の増大
融解、気化 : 分子の運動できる空間の増大
粒子の乱雑さの増大 ⇔ エントロピーの増大
統計力学的エントロピー
𝑆 = 𝑘ln𝑊
𝑅
𝑘=
∶ ボルツマン定数、𝑊 ∶ 粒子の取り得る配置の数
𝑁𝐴
系の取り得る微視的状態の数(系の乱雑さ)が大きいほど、
エントロピーは大きくなる(ボルツマンの関係式)
(g)熱力学第3法則
ネルンストの熱定理 - 熱容量の実測値からの経験則
「化学的に純粋な物質のみを含む化学反応に対するエ
ントロピー変化は絶対零度では0となる。 lim Δ𝑆 = 0 」
化学反応 A → B について
DS(T1)
SA(T1) A
B SB(T1)
SA(T) A
DS(T)
𝑇→0
B SB(T)
熱定理より lim Δ𝑆(𝑇) = lim (𝑆𝐵 𝑇 − 𝑆𝐴 𝑇 ) = 0
𝑇→0
𝑇→0
lim (𝑆𝐵 𝑇 ) − lim (𝑆𝐴 𝑇 ) = 0
𝑇→0
𝑇→0
𝑇→0
𝑇→0
lim (𝑆𝐵 𝑇 ) = lim (𝑆𝐴 𝑇 )
lim (𝑆𝐵 𝑇 ) = lim (𝑆𝐴 𝑇 )
𝑇→0
𝑇→0
T→0の極限で、すべての物質のエントロピーは一定値
↑ 不自然な結論
⇒ プランクはこの一定値を「0」とおいて解決した
「すべての純物質の完全結晶のエントロピーは絶対零度
で零となる。」 (熱力学第3法則)
純物質:混合によるエントロピーの増加はない
完全結晶:結晶中での分子の取り得る配置の数は1
𝑆 = 𝑘ln𝑊 = 𝑘ln 1 = 0
エントロピーには基準点(絶対零度で零)があり、任意の
温度でのエントロピーの値が求められる。
標準状態でのエントロピーを「標準エントロピー」(表7.2)
自由エネルギー
熱力学第1法則より 𝑑𝑈 = 𝛿𝑄 + 𝛿𝑊
①
熱力学第2法則より 𝑇𝑑𝑆 ≥ 𝛿𝑄
②
①-②より
𝑑𝑈 − 𝑇𝑑𝑆 ≤ 𝛿𝑊
③
等号:可逆変化
不等号:不可逆変化
(1)定温変化
(a) dT=0 より
𝑑𝑈 − 𝑇𝑑𝑆 = 𝑑(𝑈 − 𝑇𝑆) = 𝑑𝐴
ここで 𝐴 ≡ 𝑈 − 𝑇𝑆 として定義する
A:U,T,Sからなる関数、Aも状態量
ヘルムホルツの自由エネルギー(ヘルムホルツ関数)
③は
𝑑𝐴 ≤ 𝛿𝑊 と書ける
いま、外へする仕事 −𝛿𝑊を考えると
−𝑑𝐴 ≥ −𝛿𝑊
「系が外へする仕事−𝛿𝑊は系のヘルムホルツエネル
ギーの減少−𝑑𝐴に等しい(可逆変化)か、あるいは小さ
い(不可逆変化)」
(b) 系の仕事が体積変化のみ( −𝛿𝑊 = 𝑝𝑑𝑉)で、かつ定
容変化(𝑑𝑉 = 0)の場合
−𝛿𝑊 = 𝑝𝑑𝑉 = 0 より
𝑑𝐴 ≤ 0
定温定容変化では 可逆変化
:A 一定
不可逆変化 :A 減少
今日のまとめ
様々な変化に伴うエントロピー変化の例
理想気体の等温可逆変化
温度変化
相変化
気体の混合
エントロピーの統計的解釈
熱力学第3法則 絶対零度でエントロピーが零となる
自由エネルギー ヘルムホルツの自由エネルギー
ギブズの自由エネルギー
自発変化が進行するとき、自由エネルギーは減少
平衡状態のとき、自由エネルギーは最小で不変
出席確認
レスポンスカードを用意
熱力学第3法則は?
62%
15%
13%
と
絶
対
零
度
も
...
ど
れ
タ
ル
で
エ
ン
エ
ネ
で
内
部
零
度
対
絶
...
...
タ
ル
で
エ
ン
度
零
4%
正
し
くな
い
7%
こ
あ
る
が
度
零
対
絶
対
絶
1. 絶対零度があること
2. 絶対零度でエンタルピ
ーは零
3. 絶対零度で内部エネ
ルギーは零
4. 絶対零度でエンタルピ
ーは最大
5. どれも正しくない
今日の講義はどうでしたか
1. 興味がわかなかった
2. 少し興味が持てた
3. 興味を持って聞けた
68%
18%
持
を
味
興
少
し
興
味
っ
が
持
て
聞
て
た
た
っ
な
か
わ
か
が
味
興
け
た
14%