確率と統計2009 第12日目(A) 平均値の差の検定 • 今日の問題意識: 前回の「平均の差の検定(あるいは平均の優 位差の検定)」では、母分散がが事前に知ら れている、あるいは、標本分散で近似できる ことが前提条件であった。 だが、その条件が成り立たない、あるいは、 成り立つかどうかわからない場合はどうすれ ばいいのだろうか? 2 代表的な手法 1. t検定 2. 分散分析法 分散分析は、t 検定を一般化したものになってい るので、分散分析を学べば t 検定は使わなくても よい。とはいえ、t検定もよくつかわれていますの で、引き続き学んでください。 3 t検定の考え方 • 2つの平均maとmbの差maーmbに注目し、 その差は本来ゼロであり、測定値上の差は 誤差の分だけと考えたとき、差が誤差の何倍 に当たるかの値tを計算し、理論上tがそのよ うな値を取る確率を調べ、その確率の値があ まりにも小さければ「本来差がない」という 仮説を棄却する。 4 計算式 t | ma mb | s s n 1 2 a 2 b maとmb: 2つの標本のそれぞれの平均 SaとSb: 2つの標本のそれぞれの標準偏差 n: 標本におけるデータ数(条件AとBで共通) 5 • t値と自由度とを計算し、t分布表をみて、 確率の値を知る。 6 例 表1.得点の平均と標準偏差 データの個数n 平均m 標準偏差s 条件A 6 48.0 14.5 条件B 6 70.0 12.9 7 t検定の手順 1. t値を計算する。 2. 自由度を計算する。 – 自由度 df = (Na – 1) + (Nb – 1) 3. t分布表を調べ、当該t値の出現確率を 求める。 4. 有意性を判定する。 5. 結論を下す。 •2条件のデータに対応がない •標準偏差に差がない (通常のt 検定適用の条件) 8 判断の目安 • P>0.1 「有意ではない」 • 0.05 < p < 0.10 「有意傾向である」 • P<0.05 「有意である」(有意水準5%) • P<0.01 「有意である」 (有意水準1%) 9 先ほどの例に適用してみよう。 • 「表1は条件Aと条件Bにおける得点の平均と 標準偏差を示したものである。t検定の結果、 XXXであった (両側検定:t(aaa)=bbb, .05<p<.10)。」 • XXXには、本資料9ページの表現が入る。 • “aaa”は自由度、“bbb”はt値が入る。 • “p”は“p値”と呼ばれているもの(各自調べよ) 10 データに対応がある場合のt検定 (注)データに差のない場合など他の場合は、 また違った計算式になります。 重要 11 例 表1. 被験者No 条件A 条件B 1 2 3 4 5 6 7 112 95 103 90 124 100 108 125 105 98 97 125 105 113 その差(A-B) 平均 標準偏差 12 1. t値の計算 t | 差の平均 | 2 s n 1 13 2.自由度dfの計算 • df=N-1 14 3.t分布表を調べる。 15 4.有意性の判断をする。 • (自分でやってみよう) 16 5.結論を下す • (自分で書いてみよう) 17 まとめ • “t検定”は役に立ちますが、条件によって計 算式が様々に変わります。将来必要になった ら、あらためてじっくりと落ち着いて学んでくだ さい。 • 分散分析も大変優れた方法です。将来必ず 学んでください。 18
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