平 成 14年 3 月 - ResearchGate

【3
27】
は
せ
たか
お
長
谷
陸
生
学位(
専攻分野)
博
士
学 位 記 番 号
医
学位授与の 日付
平 成 1
4 年 3 月 25 日
学位授与の要件
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 外 科 系 専 攻
学位 論 文題 目
Loc
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udy.
氏
名
(医
学)
第 2480 号
博
(
新生 ラ ッ ト脊髄損傷修復後 に見 られる歩行機能の定量評価お よび歩行時筋
電図の検討)
(主
論文調査 委 員
査)
教 授 井 出 千 束
論
文
内
教 授 西 村 善 彦
容
の
要
教 授 中 村 孝 志
旨
1
9
世紀末以来, 晴乳動物の中枢神経軸索 は再生 しない と広 く信 じられて きたが,近年の研究はその通説 を覆 して,機能的
意義 を有する軸索再生が可能であることを明 らかにし,脊髄損傷の神経修復 に向けての展望 を開きつつある。現在では実験
動物の脊髄損傷 に対 して様 々な神経修復法が試み られているが,将来的な臨床応用 を視野に入れると,各方法 によってもた
らされる機能回復 の程度 を共通の方法で定量的に評価 し,比較検討の材料 とする必要がある。 本研究は,新生 ラッ トの脊髄
修復 モデルである脊髄髄節置換 ラッ トにおいて,獲得 される歩行機能 を詳細 に検討することを目的 とした。生後 2日齢の
Wi
s
t
a
r系 ラッ トの下位胸髄 を約 2
mm 切除 し,同部 を同系胎仔 ラッ ト (
胎生1
4日齢)の相同部位 を含む脊髄髄節で置換 した
(
ESC・
群 ,n-6)
。対照 として,胸髄髄節 を切除 した後,同部 に移植 を行 わず空隙のままとした群 (
Nul
l群 ,n-5
)
,髄節
切除後 に同系 ラッ トの坐骨神経切片 を移植 した群 (
pN群 ,n-5)
,ならびに椎弓切除のみで脊髄 に損傷 を与 えなかった群
(
s
ha
m 群 ,n-5)を作成 した。Ba
s
s
o,Be
a
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e
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ndBr
e
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na
ha
n(
BBB)s
c
a
l
eを用いて各 ラッ トの歩行機能 を o点 (
両後肢
完全麻痔)か ら2
1
点 (
正常歩行) まで点数化 し,その変化 を手術後 6週 にわたって追跡 した。 さらに前肢 と後肢の協調運動
を詳細 に評価すべ く,四肢 の伸筋 に双極性電極 を刺入 して歩行時の四肢筋電図を記録 した。歩行機能解析終了後はラットを
潅流固定 し,脊髄手術部分 を取 り出 して切片 とし,Ne
ut
r
a
lRe
d染色 を行 って観察 した。s
ha
m 群のラッ トは生後 3週 まで
c
a
l
eは2
1点 となった。Nul
l群ではある程度の後肢 の運動が見 ら
に成熟 ラッ トと同 じ歩行パ ターンを獲得 し,仝例で BBB s
れたが,後肢への体重負荷,前肢後肢 の協調 は全 く認め られず,観察終了時点の BBB s
c
a
l
eは平均で3.
3点 にとどまった。
ESC群 な らびに PN群 では s
ha
m 群 に比べ て約 5日遅れて歩行機能の獲得が見 られ,手術後約 4週でプラ トーに達 した。
ESC群 の うち 3例では BBB s
c
a
l
eは1
8点以上で正常 に近い歩行機能が観察 された。残 り3例では前肢後肢 の協調運動が不
完全 で,ESC群全体 の BBB s
c
a
l
eは平均 1
5.
3点 となった。PN群では後肢 による体重支持 は可能であったが,前肢後肢の
協調運動 は全 く見 られず,BBB s
c
a
l平均 は9.
8点であった。筋電図を解析すると s
ha
m 群では前肢 と後肢の運動は完全 に協
調 していた。Nul
l群では両後肢 の活動 は痕跡的波形 を里するにとどまり,歩行への寄与は認め られなかった。PN群では後
肢 の波形 は前肢 のそれ に比べ て低電位 で持続時間が長 く,前肢 と後肢 の協調 は全 く見 られなかった。ESC群り うちでは
BBB s
c
a
l
eで高得点の 3例 は s
ha
m 群 と同 じ四肢活動パ ターンを示 し,前肢のみが活動 してそれに対応する後肢の活動 を欠
くサイクルが稀 に混入 した。BBB s
c
a
l
eが低得点の例では,両後肢の活動毎の各波形は高得点例のそれ と同様 だったが,前
肢 の波形 との協調 は乏 しかった。ESC群の BBB s
c
a
l
e高得点群では胎仔脊髄はホス ト側脊髄 とよく癒合 し疲痕性境界の形
成 を認めなかったのに比べ,BBB s
c
a
l
e低得点群では境界部 に療痕ならびに空洞形成 を認めた。PN群では癒痕性境界が明
らかであった。本研究 によ り,脊髄髄節置換 ラットの獲得する歩行機能 を定量的に評価 したデータが得 られた。また幼君 ラ
ッ トの損傷脊髄修復 にあたっては,修復部で良好な局所条件が満たされれば正常 に近い機能回復が得 られうることが行動学
的かつ電気生理学的に示 された。
-8
0
8-
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
実験的脊髄損傷 に対 して近年様 々な神経修復法が試み られているが,それ らを臨床応加 二つか ヂるには,各方法 による機
能回復 の程度 を共通の方法で定量的に評価 し,比較検討することが必要である。本研究では我々の開発 した新生 ラッ ト脊髄
n丘e
l
d
修復 モデルである脊髄髄節置換 ラ ッ トにおいて,獲得 され うる歩行機能 の程度 とその獲得過程 につ き,BBB ope
mm 切除 し,同部 を同系胎仔
l
oc
omo
t
ors
c
a
l
eと筋電図 を用いて詳細 な評価 を試みた。生後 2日齢のラッ トの下位胸髄 を約 2
ラッ ト (
胎生 1
4日齢)の相 同部位 を含 む脊髄髄節で置換 した。 半数のラッ トでは BBB s
c
al
eが1
8点以上 にな り,正常 (
21
点)に近い歩行機能が観察 された。残 り半数では前肢後肢 の協調運動が不完全で,BBB s
c
a
l
eは11-1
3点 となった。歩行時
の四肢筋電図解析 により,BBB s
c
a
l
e高得点のラッ トは前肢 と後肢の波形の間に良好 な協調性 を認め,正常 とほぼ同 じ四肢
活動パ ターンを示す こと,BBB s
c
a
l
e低得点のラッ トでは,前肢 と後肢 の波形 に協調性が乏 しい ことが判明 した。組織学的
c
a
l
e高得点群 の移植髄節 は宿主脊髄 とよ く癒合 L酸痕性境界 の形成 を認 めなか ったのに比べ,BBB
検索 によ り,BBB s
s
c
a
l
e低得点群では境界部 に癒痕 ならびに空洞形成 を認めた。
以上の研究は,脊髄修復後の機能回復過程 の究明に貢献 し,脊髄損傷治療法の開発 に寄与するところが多い。
したが って,本論文は博士 (医学)の学位論文 として価値 あるもの と認める。 なお,本学位授与 申請者 は,平成 1
4年 2月
1
9日実施の論文内容 とそれに関連 した試問 を受 け,合格 と認め られた ものである。
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