○村上ファンドのインサイダー取引 • インサイダー(内部者)取引 – 証券市場における不公正な取引の規制の一環 • 相場操縦、風説の流布・偽計取引、インサイダー取引、不正な表 示 – 会社関係者に対する規制(証券取引法166条):会社関係 者等が会社に関する重要事実を知りながら、その事実の 公表前に当該会社発行の証券の取引を行うことを禁止 • 会社関係者等:発行会社関係者(役員・従業員・主要株主)、情報 受領者(会社関係者から直接重要事実の伝達を受けた者) • 重要事実:株式発行、配当異動、合併、新製品・新技術の企業化、 主要株主の異動、手形の不渡り、決算情報等 1 – 公開買付け(TOB)関係者に対する規制(証券取 引法167条):公開買付けもしくはそれに準じる行 為の実施の事実を知った者が、その事実の公表 前に当該会社発行の証券の取引を行うことを禁 止 • 5%以上の株式を買い集めることも公開買付けに準じ る行為 – 罰則:個人は3年以下の懲役または300万円以 下の罰金、法人は3億円以下の罰金、課徴金 2 朝日06.06.03. ・04年11月8日:堀江・宮内両氏からニッポン放送株取得の意向が 村上代表に伝えられる。 ・村上「罪を犯そうと思ってやったわけではない(違法性の認識はなかった)。 インサイダー取引の構成要件にひっかかるかも知れない。」 3 ○株式公開買付けTake Over Bid • 特定の会社の株式を取引所有価証券市場 の外で、公表して大量に買い付けること – 買付期間(20日以上60日以内)、買付数量、 買付価格を提示する義務 – 取引所の市場内取引(売買立会取引)では、 公開買付けの規制を受けずに株式を買い集め ることができる • 情報開示と株主に公平に株式売却機会を 与えるための制度 4 • 取引所有価証券市場の外での株式の買付けは、 原則として公開買付けが義務付けられる – 例外 – 買付け後の株券保有割合が5%以下の場合 – 特定売買等による買付けで、買付け後の株券保有割 合が3分の1を超えない場合 • 特定売買:大口取引を対象とする取引所の立会外電子取引シ ステムによる取引 • 公開買付けが利用されるケース – 企業グループの再編 • フジテレビによるニッポン放送に対するTOB,05年1~3月 – – – – 経営統合、資本提携 MBO(Management Buy Out) 敵対的買収 自己株式取得、等 5 ・日本のTOBの推移(自己株式を除く) レコフ調べ 6 ○阪急による阪神株TOB • 公開買付け(TOB)の概要 – 買付期間:5月30日から6月19日までの21日間 – 買付価格:1株につき930円 – 買付予定株数:189,743,590株(発行済株式の45%) • 応募株数が予定株数を上回る場合、全部買付け – 買付けに要する資金:1746億6100万円 • 応募株全部の買い付けで、最大3921億3600万円 • 村上ファンド(阪神株の47%弱を保有)はTOBに応じ る意向 – 村上ファンドの買コストは約690円で、約480億円の利益 7 ○阪急・阪神の経営統合計画 ・06年10月1日に株式交換により経営統合(株主総会での特別 決議が必要) ・阪神株1株に対し阪急株1.4株を割当交付 ・阪神は阪急ホールディングスの完全子会社化 日経06.05.10. 8 • 経営統合は十分な効果を生み出せるか? – 村上ファンドから逃れるための統合ではないのか? – 都市交通事業部門での効果は? • 重複コストの削減が可能 • 路線並走のため補完効果は小さい – 不動産事業 • 大阪梅田地区の共同再開発、一体的運営の効果は? – 阪急(高級志向)、阪神(庶民的)の企業文化・ブラ ンドイメージの違い – 阪急の財務体質悪化 9 • 格付会社による格付評価の違い • 阪急ホールディングスに対する格付 – ムーディーズ:Baa2 (BBB) (格付け引き上げの 方向で見直し) – 格付投資情報センターR&I:BBB- – フィッチレーティング:BB + – S&P(スタンダード・アンド・プアーズ):BB (格付 け引き下げの方向で見直し) 10
© Copyright 2024 ExpyDoc