伝達性を用いたシナリオに基づく要求 獲得支援方法の

伝達性に着目したシナリオに基づく
要求獲得支援方法における一考察
愛媛大学大学院
沖 卓実
背景

要求獲得 = 開発者と開発依頼者との
コミュニケーション
– 言葉による説明の困難さ
– 知識や経験の違いによる言葉の不一致
– 問題領域に対する理解不足

不完全な要求獲得
 ユーザの意図と異なるシステム
 必要な機能の欠如
背景

完全な要求獲得
⇒ 要求獲得における重要な要素を満たす

要求獲得を行うための重要な要素
:記述内容が全て正確であるか
・要求獲得において末端の役割
– 実現可能性 :コスト等を考慮して実現できるか
– 正確性
– 完全性
– 一貫性
:必要な要求が全て含まれているか
・他の5つの要素を満たす根源
:矛盾した要求が記述されていないか
・カスタマイズの重要性の向上
:曖昧なく内容を伝えあえるか
– 伝達性
– 追跡可能性 :設計との関連づけが明確であるか
研究目的


開発者と開発依頼者との良好な
コミュニケーションを可能にする
伝達性に着目した要求獲得支援方法の実現
伝達性

コミュニケーションにおいていかに内容を
伝えることができるか
– 見やすさ
– 理解しやすさ
伝達性
要求獲得における伝達性

視覚的側面
要求仕様に記述されていることが明確でかつ混乱を招かない

解釈的側面
要求仕様に記述されていることへの解釈が一意
本研究における実現方法
1.要求獲得でのアプローチへ明確なモデル
の適用
2.曖昧性を取り除くためにWhat,Howによる
要求獲得の適用
伝達性とWhat,Howの関係

伝達性
– 解釈的側面
1.用語理解の不一致の解消
2.簡潔な表現による誤解の解消
1.What
2.How
What , How による要求獲得

What
– アクティビティ図に記述されている名詞,代名
詞に対して要求獲得
⇒要求記述内容の理解を深める

How
– アクティビティ図に記述されている各々のアク
ティビティに対して要求獲得
⇒要求記述内容の細分化
アクティビティ図から要求を獲得する根拠

静的な図(ユースケース図)より
多くの情報が記述される
・記述内容の明確化
・細分化の対象
実現方法概念図
シナリオ
静的な部分
(ユースケース図)
動的な部分
(アクティビティ図)
1.明確なモデルの適用
名詞,代名詞 : What
アクティビティ : How
による要求獲得
2.What,Howによる
要求獲得の適用
実現方法ワーク・フロー図
シナリオ
ユースケース図
アクティビティ図
要求獲得No
要求獲得Ok
終了
アクティビティ図による
要求獲得
(名詞,代名詞 : What
各々のアクティビティ : How)
共通例題
「国際会議のプログラム委員長の業務」

業務支援の目的
– 投稿論文などのデータ管理
– 書類の作成,etc

プログラム委員長の業務
– スケジュールの作成
– プログラム委員の選出に関する業務,etc
シナリオの記述
プログラム委員長は,
委員候補者を選出して,
依頼状を作成して,
依頼する.
okなら委員名簿を作成する.
noなら再び委員候補者の選出をする.
ユースケース図の記述
プログラム委員の選出
委員候補の選出
プログラム委員長
依頼
委員名簿の作成
依頼状の作成
アクティビティ図の記述
委員候補の選出
依頼状の作成
依頼
No
Ok
委員名簿の作成
アクティビティ図による要求獲得
項目(What,How)
委員候補の選出
依頼状の作成
依頼
No
Ok
委員名簿の作成
委員候補:What
国際会議を行う
ために適当である
と思われる候補者
委員候補の選出:How
過去の履歴や
各々の分野の著名人
のリストをもとに選出
一部変更されたシナリオ
プログラム委員長は,
過去の委員候補のリストや各々の分野の著
名人のリストを獲得し,
委員候補の選出して,
依頼状を作成して,
依頼する
okなら委員名簿を作成する.
noなら再び委員候補者の選出をする.
一部変更されたユースケース図
プログラム委員の選出
リストの獲得
プログラム委員長
委員候補の選出
依頼
委員名簿の作成
依頼状の作成
一部変更されたアクティビティ図
過去の委員候補のリスト and 各々の分野の著名人のリストの獲得
委員候補の選出
依頼状の作成
依頼
No
Ok
委員名簿の作成
全部変更されたシナリオ
プログラム委員長は,
過去の委員候補のリストや各々の分野の著
名人のリストを獲得し,
依頼状の雛型を作成し,
委員候補の選出し,
依頼状を作成して,
郵送 or E-mailで依頼をする
okなら委員名簿を作成する.
noなら再び委員候補者の選出をする.
全部変更されたユースケース図
プログラム委員の選出
リストの獲得
委員候補の選出
プログラム委員長
依頼状の雛型の作成
郵送 or E-mailで依頼
委員名簿の作成
依頼状の作成
全部変更されたアクティビティ図
過去の委員候補のリスト and 各々の分野の著名人のリストの獲得
依頼状の雛型の作成
委員候補の選出
依頼状の作成
郵送 or E-mailで依頼
No
Ok
委員名簿の作成
まとめ(1)

伝達性に着目したシナリオに基づく要求獲得
– 本手法
 要求獲得でのアプローチへ明確なモデルの適用
(シナリオ,ユースケース図,アクティビティ図)
 曖昧性を取り除くためにWhat , Howによる要求獲得の適用
(アクティビティ図に対してWhat , Howによる要求獲得)
まとめ(2)

有効性
– 明確なモデルの適用により問題領域の理
解が明確
– What , Howによる要求獲得により曖昧なく
開発者と開発依頼者がコミュニケーションを
とる可能性の向上
今後の課題
要求仕様に追加される情報量の増加と
視覚的側面
 What , Howによる要求獲得での規則性
の確立
 シナリオ記述における属人性
 有効性を検証するための実験
