国際分業とジェンダー 先進~後進国関係の背景

国際分業と途上国の経済
先進~後進国関係の背景
国際市場との関りがもたらした変化
以前にあった「伝統」制度
→
変化後制度
1. 小規模商業(地域市場)制度 →
国内外市場のための産業制度への変化
2. 土地や自然からの必需品を生産する制度→
労働の交換による賃金で生活する制度への変化
3. 共同体が求める資源→工業生産が求める原料への変化
4. 伝統社会が求める必需品→ (先進国の)消費社会が求
める贅沢品の生産への変化
経済活動と先進国・途上国
国際市場の途上国への影響 1
• 輸出志向経済の要素:
• プランテーション農業(一つのアグリビジネスが大きな面積で単一
収穫を行う)
• 先進国向きのぜいたく品製造工場
• 労働市場・職場での男女差別
• 近代経済による女性が補助の労働力として定義付けられるから、
男性賃金よりも低い報酬の仕事しか得られない
※問題点:主な途上国の農村女性は生計を1人で担う。賃金差別があると、
世帯が貧困化して行く
2
経済活動と先進国・途上国
国際市場・グローバル化が求める労働力
輸出志向型経済のプランテーションや工場が求める
労働は:
1. 多国籍企業と途上国の多数労働力
2. 多国籍企業と安価な労働力
3
経済活動と先進国・途上国
経済計画の問題と統計データで見えない現状
• 国レベルのデータ好都合:富の分配が分からずに、国の順位を示す
• GDP:購買力や階層別、ジェンダー別、地域別データを見せない
• 公式経済:国の国際経済の中の順位を見せるが、
非公式経済に従事する労働力を見せない
※「非公式経済」=インフォーマルセクター(契約や保証のない労働・
個人店舗、小作農、タクシー、日雇い・季節労働)
4
経済活動と先進国・途上国
農村労働力の行き先:都市への参入か、
農村部でのプランテ―ションか
農業労働・農業社会の経済
農業に従事している男女率や、
農作に従事している女性は、
小作農、土地なしなどの人は?
公式経済のデータに性格に載っていない。
5
経済活動と先進国・途上国
4.富の分配は問題であるから、
• GNI・GNP と言われる測定は、
国の所得 ≠ 女性、農家などの所得
≠ 貧困者の所得
6
経済活動と先進国・途上国
3.経済開発、開発計画がめざす生活水準の向上は、
本当に女性・農民・貧困者の生活向上に
貢献するのか?
7
国際分業とジェンダー:
先進~後進国関係の背景
国際市場化後による分業や働き方の変化:
1. 現地の結婚や3世代家族構造から、核家族構造へ
2. 女性の外での仕事への従事から、「主婦」仕事へ
(発展途上国の「主婦化」)
3. 農業労働による男女役割区別から、世帯内分担へ
4. 現地の女性も意思決定を持つ社参加型社会から、
ヨーロッパからの統治支配者の下での女性使用人へ
ジェンダーと開発:所得向上を狙う開発と家庭内分業
西洋・先進国の開発計画における途上国にあわない3つの前提
1.世帯の構造(大人2人、子供2-3人)
2.世帯は経済単位であり、生計・資源をめぐる
世帯内の意思決定は平等であるはず
3.世帯内(分担=)分業:男は生計の担い手、
女は家内労働全般
上記の3つは理想的な世帯構造のみを反映する。
西洋諸国でも日本でも例外的である。
世帯の理想的な構造を支える諸体系~その国の
法律制度・教育制度・マスメディア・家族計画プログラム
開発計画とジェンダー
地域所得を向上するための先進国型開発計画の問題点:
プランテーションでの余剰生産に従事する世帯のかたちやニーズ
世帯の「理想的な」構造は、先進国の
家庭内ジェンダー役割・分担を自然化していく。
例:男は家の外,女は家の中で働く。
しかし、発展途上国の女性は、家族に主な労働力や
生計への貢献を提供している。このことが以前の
開発計画に認められなかった。
経済活動と先進国・途上国の関係性~
インフォーマルセクター
インフォーマルセクターに関る途上国~先進国の諸関係
1. 国境を超える出稼ぎ労働が求められる
2. 消費をする社会(先進国)と商品を生産する社会
(途上国)との格差の発生
3.生活向上事業、技術移転事業などの慈善関係
が発生するが、上下関係を強化する「依存性」がある
11
国際市場によっての生産過程の変化の結果:
土地なしなったインフォーマルセクターに従事した3世代家族
小作農の日雇い労働に従事した母。一月で、約15日分の仕事が入手
できる。教育受けていない女性としては、一日に30バーツ(約80円)を
受けた。それに自分以外に、障害者の祖父母や子供二人の生計を担
おうとした。