鹿児島市食育推進ネットワーク会議 いのちをいただく: 食の現状と課題 越境性動物疾病制御研究センター(TADセンター) 獣医公衆衛生学分野教授 岡本嘉六 鹿児島市食育推進支援員 (黄色帯はリンクされています) 国民の健全な食生活に係わる課題 安全性(Safety): 健康障害を起こさない 品質(Quality): 栄養価・風味・食感 自給(Security): 食料不足による健康障害の防止 防犯(Defense): 犯罪やテロによる意図的汚染の防止 食育(Education): 生命倫理の向上=命をいただく感謝 100 90 80 70 60 50 2000 年前には、世界の人口は3 億人程度で あった。人口が倍増して6 億人になるまでには 1600 年かかった。 2011 開発途上国で死亡率が低下するのに伴い、 2000年には、1950 年の人口の約2.5倍にあた る推計61 億人に達した。 60億 1999 50億 2050 年に前回の推計より多い93 億 人になり、21 世紀末までには100 億人 以上になるとみている。 1987 40億 30億 1974 40 20億 30 20 70億 1959 32年 1804 10 123年 1800 1850 1900 13年 15年 1927 10億 12年 12年 1950 国連人口基金東京事務所 世界人口白書2011 2000 世界人口の推移と今後の予測 2050 国際連合:新世紀の発展目標に関する報告 2005 目標 1: 極度の貧困と飢餓の克服 目標 2: 一般的な初等教育の達成 2015年までに飢餓に 苦しむ人口の割合を 1990年の水準の半数 に減少させる 目標 3: 男女平等の推進と女性への公的権限の付与 目標 4 : 小児死亡率の低減 目標 5 : 母体の健康増進 栄養不良の母体と胎児へ の影響は深刻である 目標 6 : HIV/AIDS, マラリアおよびその他の疾病の克服 目標 7 : 環境の持続性を確保 ミレニアム開発目標 目標 8: 発展のための地球的規模での提携の推進 FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月16日~18日 宣言文 2.我々は、現在、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を超 えたことに不安を抱いている。これは世界の人口の6分の1 の生命、生計、尊厳における受け入れ難い障害であ る。・・・ 食料、金融及び経済危機によって、最近になり一 層悪化した。 4. 2050年には90億人を超えることが予想される世界人口 を養うためには、現在からそれまでに農業生産量を70%増 加させる必要があると推計される。 5. 気候変動は食料安全保障と農業セクターに対し追加的 な深刻なリスクをもたらす。 栄養不良人口の割合(%)、2005~2007 イラン アフガニスタン パキスタン インド 非常に高い(35%以上) 高い(25~34%) やや高い(15~24%) やや低い(5~14%) 非常に低い( 5%未満 ) データなし アフリカでは3人に一人、および南アジアでは4人に一人が栄養失調 The Millennium Development Goals Report 2011 体重が少ない5歳 以下の子供の割合 南アジア サハラ以南の アフリカ 1990年と2009年 「栄養不良人口の割合」および 「1日1.25ドル以下で生活してい る人口」はサハラ以南のアフリカ が深刻だが、小児の発育不良は 南アジアが最も深刻。 食料の品質不良、絶対量の不 足、感染症の流行、広範囲の栄 養不良が複合的に影響。 トイレがない環境で汚れた水を 飲んでいるため、慢性的下痢に 見舞われている。 政情不安定が背景にある。 東南アジア 西アジア 東アジア 北アフリカ 中央アジア ラテンアメリカ 発展途上国 目標 穀類 インド 砂糖類 中国 芋・豆・野菜 エジプト 肉類 日本 卵類 乳製品 イギリス 魚介類 ドイツ その他 フランス 米国 0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 1人1日当たりKcal カロリー供給量の食品別割合の比較 (2002年) (総務省統計局) 肉(kg)、伸び率(%) 乳(kg) 60 2020 年に向けての畜産 次なる食料革命 600 50 1999, FAO 500 40 400 30 300 20 200 10 100 0 0 -5 先進国 途上国 先進国 途上国 先進国 途上国 先進国 途上国 牛肉 豚肉 鶏肉 乳 一人当たり年間摂取量の予測 :1993年、 :2020年(推定)、 :伸び率=2020年/1993年 食品1kgを生産するた めに必要な穀物量 (農水省試算) 牛肉 11 kg 豚肉 7 kg 鶏肉 4 kg 鶏卵 3 kg 大豆油 5 kg 菜種油 2 kg 食肉については、可食部の 生産に必要なとうもろこし量。 油については、各原料の量。 飼料要求率= 飼料摂取量 増体量 鶏肉の飼料要求率=約2 100 90 80 70 60 億 50 人 40 30 20 10 0 世界 発展途上国 先進国 世界人口の推移と予測 (総務省統計局) 食事内容が改善され、動物性蛋白や油脂の摂取 量が増えると、そのまま食べる穀物量は相対的に 少なくなる。かつては穀物輸出国であった中国が 輸入国に転じた理由は、経済的発展による食事内 容の改善であった(日本も同様)。 1日当りカロリー摂取量 (2000 - 2002) メタボ 餓死 サハラ以南のアフリカにおける栄養不足人口(100万人) 1969-71 92.8 1979-81 127.0 1990-92 169.0 1995-97 196.6 2001-3 206.2 1. 安全性(Safety)と食育 「危害とは、ヒトに障害を起す可能性のある食品の、生物学的、化学的、あるいは物理学 的因子、もしくは状態をいう。他方、リスクとは、食品中の危害の結果として起こる、暴露集団 の健康に対する悪影響の発生確率と重篤度の推定値である。」「危害を減らすこととリスクを 減らすことの関係を理解することは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要で ある。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の何につ いても言えることだが)。」 FAO 1998:: 「食品の品質と安全性システム( Food Quality and Safety Systems )」 食育基本法ができた経緯 2001年9月10日 BSE疑い事例発表 ➜ 国民的大パニック 2001年11月 BSE問題に関する調査検討委員会設置 2002年4月 委員会報告 ➜ 法整備 5)重要な個別の課題 ④ 食に関する教育いわゆる「食育」の必要性 今日の食品の安全性をめぐる事態に照らし、学校教育における食品の安全性 や公衆衛生及びリスク分析などに係わる基礎的知識の習得・教育を強化する必 要がある。農業や食品産業など、フードチェーン全般にわたる基礎的な知識およ び栄養や健康に関する教育も充実させる必要がある。 食品に、ゼロ・リスクはあり得ないこと、情報をもとに一人一人が選択していく能 力を身に付けていくことの大切さの認識の普及が必要である。 食品安全基本法 2003年5月 食育基本法 2005年6月 国民が生涯にわたって健全な心 身を培い、豊かな人間性をはぐく むための食育を推進する。 第二十二条 内閣府に食品安全委員会を置く。 国民の食生活をめぐる環境の変化 栄養の偏り、 不規則な食事、 肥満や生活習慣病の増加、 過度の痩身志向 食の安全や海外依存の問題 食育推進基本計画 2006年3月 第1 食育の推進に関する施策についての基本的な方針 1.国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成 2.食に関する感謝の念と理解 「いただきます」が言えた日 農水省 2003年7月 3.食育推進運動の展開 4.子どもの食育における保護者、教育関係者等の役割 5.食に関する体験活動と食育推進活動の実践 6.伝統的な食文化、環境と調和した生産等への配意及び農山漁 村の活性化と食料自給率向上への貢献 7.食品の安全性の確保等における食育の役割 2.食に関する感謝の念と理解 現在、世界中で8億人を超える人々が飢餓や栄養不足で苦しん でいる一方で、我が国では、日常生活において食料が豊富に存在す ることを当たり前のように受け止め、食べ残しや食品の廃棄を大量 に発生させており、世界に通じる「もったいない」という物を大切にす る精神が薄れがちである。 「いただきます」が言えた日 農林水産省: なぜ食育? 農水省 2003年7月 「いのちの食べかた」オフィシャルサイト いのちの食べかた Trailer メタボ予防のために 「バランスガイド」も重 要だが、最も基本であ る「いのちをいただく」 ことを理解することか ら全ては始まる。これ が欠落した「食育」は、 魂の入れてない木像 を拝むに等しい。 食糧生産の姿が分からない中で、「私食べるヒト」と「作るヒト」を意 図的に対立させる「タカリ屋評論家」が不安を煽ってきた。 「食べるヒ ト」は「危ない本」が出ると競って購入し、 「作るヒト」が儲けるために不 必要な農薬を使っていると洗脳される。必要以上に家畜を虐待してい るとののしる。自分で生産し、生活を維持した経験がない「タカリ屋評 論家」に惑わされてはならない。 食生活情報サービスセンター 微生物の菌類・細菌類 などが中心。生産者や 消費者の遺体や排出物 の有機物を無機物に分 解し、もとの環境に返す。 菌界 太陽 一次消費者を食べる生物 肉食動物 二次消費者 動物界 分解者 一次消費者 植物界 生産者を直接食べる生物 草食動物 生産者 大地・大気・水 エネルギー(生態)ピラミッド 自分で栄養素を作る 光合成植物 ヒトはどのようにして食料を手にしてきたか? 大 気 中 ガ ス 濃 度 炭酸ガス CO2 酸素: 21% 窒素: 78% 炭酸ガス: 0.03% 酸素 O2 46 35 27 地 球 誕 生 原 始 生 物 10 5.1 3.7 4.4 2.1 500万年前 人類の出現 ほ乳類の出現 脊椎動物の上陸 陸上植物の出現 脊椎動物の出現 緑藻類などの真核生物 光合成を行うラン藻類(シアノバクテリア) 数百万年続いた狩猟採取の生活はどんなだったか? 家畜化の時期 豚: 約8,000年前 牛: 約8,000年前 馬: 約5,000年前 鶏: 約4,000年前 耕作の始まり 稲作: 約15,000年 ライムギ: 約11,050年前 イモ類: 9,000年前 「目で見る農業技術の発達」 畜産技術発達史(畜産の歴史) テキスト版 現在の中国には、 世界の豚の約半数 が飼育されており、 品種では7割以上とさ れている。 イノシシが家畜化された場所と時期 鹿児島黒豚は、 1862年英国で改良 されたバークシャー であるが、その祖 先も中国である。 バークシャー ヨークシャー ランドレース 大ヨークシャー 2004 種 雄 1990 豚 1970 ハンプシャー デュロック その他 交雑種 2004 種 雌 1990 豚 1970 2004 肉 1990 豚 1970 0 20 40 60 80 100 構成割合(%) 日本における種雄豚、種雌豚、肉豚の品種の移り変わり 繁殖・育成能力の 優れた大型品種 L♀ × W♂ 原種豚 産肉形質の優れた品種 デュロック(D) ランドレース(L) 大ヨークシャー(W) ホモ 純 系 交 雑 種 × × D♂ F1雌豚 LW♀ 肥育豚 三元交雑種 LWD W♀ × L♂ WL♀ 白の優性 遺伝子は、 赤の劣性遺伝子 ヘテロと は、ヘテロとなる なっても ことで発現しない 発現する ハンプシャー(H) バークシャー(B) H♂ B♂ × D♂ ヘテロ WLD 三元交配による雑種強勢 万頭 1400 日本における養豚のあゆみ 一戸当り頭数 1200 1000 千戸 頭/戸 900 800 700 飼養戸数 600 800 500 600 400 400 200 0 飼養頭数 300 200 100 0 1960年代後半に養豚農家が専業化し、規模拡大が進んだ。品質と 生産性が高まり、値段も安くなっただけでなく・・・・・ トキソプラズマ症 有性生殖 オーシスト(虫卵) 消化管寄生 糞便 捕食 無性生殖 シスト(嚢子) 筋肉内寄生 捕食 砂場 飲用水 食品汚染 感染豚由 来の豚肉 一般健康人は 発病しない。 妊婦および 免疫低下者のみ 2500 発 生 率 ( 豚 飼 養 1 千 万 頭 当 り ) 養豚業が専業化、大規模化し、衛生管理技術 が向上したことにより、豚の感染は激減した。 一戸当り飼養頭数 頭数 750 2000 発生率 1500 500 1000 250 500 0 ブタにおけるトキソプラズマ症の発生推移 0 日本脳炎 1960年代に激減にした理由 1.予防接種法に基づくワクチン接種が浸透した。 2.農地整理が行われ、コガタアカイエカが発生する 水田地帯が様変わりした。 3.有畜農業から養豚業が専業化、大規模化し、水 田地帯を離れ、山間部に移動した。 6000 渡り鳥? ブタ ブタ 養豚農家数と一戸当り飼養頭数の推移 5000 ブタ ブタ 900 千戸 頭/戸 年 間 患 4000 者 数 3000 600 2000 300 1000 0 0 1950 55 60 65 70 日本脳炎患者数の推移 75 増幅動物 80 ヒト ヒト ウイルスの感 染環: 矢印 は小型アカイ エカの吸血に よる伝播 牛海綿状脳症(BSE)スクリーニング検査の検査結果 厚生労働省(平成23年10月分まで) 症状を呈する牛 30ヶ月齢以上 その他 計 陽性/検査数 陽性/検査数 陽性/検査数 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 0/1,851 3/2,970 2/6,264 3/8,307 0/7,441 1/6,603 0/6,235 0/5,404 0/5,075 0/5,206 0/------- 19/215,529 23/517,744 4/494,983 12/472,718 7/465,676 7/473,535 1/471,230 0/475,062 0/457,279 1/454,031 0/----------- 40/306,152 18/733,053 7/1,252,617 15/784,565 2/759,126 2/738,137 2/750,788 0/761,286 0/770,142 0/757,238 0/----------- 59/523,532 44/1,253,767 13/1,252,617 30/1,265,590 9/1,232,243 10/1,218,275 3/1,228,253 0/1,241,752 0/1,232,496 1/1,216,475 0/------------- 3 2 4 3 4 4 2 0 0 0 0 計 9/57,900 74/4,752,031 86/7,521,230 169/12,331,161 22 陽性/検査数 BSE 確定 確定診断されたのはこの内22頭(2001年9月の1例目を含む)で、死 亡牛検査で確認された14例を含めると36頭。 12,331,161頭をスクリーニング検査して、169頭が偽陽 性、その内22頭がBSEと確定診断された。牛1頭当たりの検 査キット費用は01年度4089円、02年度以降3552円とすると、この11 年間で44,081,420,556円を要した。検査を担当した獣医師の人件費 を1頭当たり1万円とすると123,311,610,000円になる。 BSE検査 費用は、合わせると1,673億円に達する。 市民のための 環境学ガイド 食肉としての安全性は特定危険部位の排除に基づくもの であり、全ての牛の特定危険部位は法律に基づいて廃棄し ている。「安心料」として1,673億円は妥当なのか? たとえば、毎年、世界で1500万人以上が狂犬病の疑い がある犬に咬まれて暴露後の予防処置を受けており、処置 を受けられなかった55,000人以上が死亡している。この大 半はアジアだが、日本への侵入リスクはないのか? 欧州 では麻薬等の密貿易者が狂犬病の動物を持ち込んでいる。 対策費用は予算化されているか? 検査施設すらない! 1. 安全性(Safety)と食育 (まとめ) 「危害とは、ヒトに障害を起す可能性のある食品の、生物学的、化学的、あるいは物理学 的因子、もしくは状態をいう。他方、リスクとは、食品中の危害の結果として起こる、暴露集団 の健康に対する悪影響の発生確率と重篤度の推定値である。」「危害を減らすこととリスクを 減らすことの関係を理解することは、適切な食品の安全性制御を発展させる上でとくに重要で ある。 不幸なことに、食品について『ゼロ・リスク』のような事態はありえない(その他の何につ いても言えることだが)。」 FAO 1998:: 「食品の品質と安全性システム( Food Quality and Safety Systems )」 食品の安全性については、科学的根拠に基づいて国際 機関が基準を定めており、その基準達成は農場から食卓ま での全ての関係者の協力によって確保される。その協力を 破壊するような不信感を募らせることが、「不安」の根源とな る。分業社会において他者を信頼できないならば、古代に 戻って森での狩猟生活を送るしかないだろう。 「いのちをいただく」ことを通して、他者を信頼することが できるようにすることが「食育」の要である。米は収穫まで88 回もの手入れが必要だから、一粒も残さず食べよう・・・・ 2. 自給率と食育 FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月 宣言文 2.我々は、現在、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を 超えたことに不安を抱いている。これは世界の人口の6 分の1の生命、生計、尊厳における受け入れ難い障害で ある。・・・ 食料、金融及び経済危機によって、最近にな り一層悪化した。 4. 2050年には90億人を超えることが予想される世界人 口を養うためには、現在からそれまでに農業生産量を 70%増加させる必要があると推計される。 5. 気候変動は食料安全保障と農業セクターに対し追加 的な深刻なリスクをもたらす。 世 界 の 人 口 及 び 農 産 物 輸 入 に 占 め る 日 本 の 割 合 2003年 農水省 日本の食料自給率 平成の米騒動 1993年 ウルグアイ・ラウンド妥結 1995年 1965 73 供給熱量ベースの総合食料自給率 主食用穀物(米、小麦、ライ麦、そば)自給率 80 62 飼料用を含む穀物全体の自給率 55 飼料自給率 1985 53 69 31 27 1995 43 65 30 26 2010 39 59 27 25 カロリーベース総合食料自給率 39% 総供給熱量 2,458kcal / 人・日 国産供給熱量 946kcal / 人・日 安高安 全くい なて輸 国も入 産 品 品美よ 味り しも く、 輸入飼料に よる生産部分 生産額ベース総合食料自給率 69% 国内消費仕向額合計 14兆1,333億円 国内生産額合計 9兆7,047億円 農 業 の 担 い 手 と 農 地 面 積 の 推 移 国内農業は、担い手の減 少や高齢化、農地面積の減 少、使われていない農地の 増加などにより、生産が減少 している。日本の購買力がな くなったら、自給率40%とは 食べる量を半分以下に減らさ ざるを得ないことを意味する。 輸入に頼っていることに多くの人が不安を感じる 日本で過去に発生した飢饉 日本で記録に残っている飢饉は、大小合わせて500回を超える。 養和の飢饉 1181年 寛喜の飢饉 1230~31年 長禄・寛正の飢饉 1459~61年 寛永の大飢饉 1642~43 年 西日本一帯、「源平盛 衰記」や「方丈記」 北陸、近畿、四国 西日本を中心に全国 干魃 長雨による異常冷夏、台風 の襲来、冬の異常暖冬 大雨による水害と旱魃が 交互に訪れた、虫害 全国(特に東日本日本 海側の被害が大) 中国・四国・九州地方の 西日本各地、特に瀬戸 内海沿岸一帯 全国的な異常気象(大雨、 洪水、旱魃、霜、虫害) 天明の大飢饉 1782~87年 全国(特に東北地方) 浅間山の噴火による冷害 天保の大飢饉 1833~39年 全国(特に東北、 陸奥国・出羽国) 大雨、洪水と、それに伴う冷 夏(稲刈りの時期に雪が 降ったという記録がある) 享保の大飢饉 1732年 昭和東北大飢饉 1930~34年 東北地方を中心 満州事変の契機 冷夏と虫害 冷害 近年起きた食料供給の混乱の事例 時期 昭和48年 1968 平成5年 1993 平成10年 1998 地域 アメリカ 日本 パナマ運河 品目 大豆 米 飼料穀物 要因 前年産の世界的な不作などに よりアメリカ産の輸入大豆の価 格が3倍に高騰 アメリカの輸出規制(73日間) 冷害による凶作 (作況指数74) 喫水制限が強化 されて輸送に制 限(110日間) 買占めや売惜しみの防止 ● 輸出の抑制の指導 ● 商品取引所での輸入大豆の 取引停止 緊急輸入(255万トン) 便乗値上げの監視 備蓄の活用 日本 での 対応 ● 食料の多くを輸入に頼っている日本では、国内外の様々な要因に よって食料供給の混乱が生じる可能性がある。 これからの食料危機において、日本の国際的地位はどうなる? 農林水産省「世界の食料自給率」 1961 1971 日本 英国 ドイツ フランス 78 42 67 99 58 50 73 114 1981 1991 2001 2006 52 66 80 137 46 77 92 145 40 61 99 121 39 69 77 121 植民地を支配してき た大英帝国の自給 率は低く、1945年頃 は約30%だった。 諸外国の食料安全保障政策 英国 ①気候変動に対応した世界 の農業生産の増大 供 ②石油、水、土壌等資源の 給 面 効率的利用 ③英国内の農業生産力維持 ④輸入国の多様化 「5 A DAY」等の取組を通じた 需 野菜・果実を含む十分な食 要 面 料供給と健康的な食生活の 確保 フランス 米国 ①持続可能な世界の農業 生産の増大 ②2050年の世界の食料需 給予測の実施 生産性の向上、安定した 輸入先の確保等を通じ、 食料輸出国として世界の 食料安全保障に貢献 ①国内貧困層の食料確保 ②食品ロス削減、畜産物 摂取量減少等の食料消費 の形態変化を重視 ③途上国の栄養不足人口 削減のためのFAOにおけ る議論の主導 ①バウチャー支給等の支 援による国内貧困層の 食料確保 ②野菜、果実等の摂取を 進める食生活ガイドライ ンの実現に必要な食料 供給の確保への取組 ①港湾混乱に対応した代替輸 家庭レベルでの食料 入港確保 関係省庁の連携による災 安全保障の確保に向 ②災害時の戦略的な道路確保 害時等の食料供給対応 け、食料品店へアクセ ③事業継続計画の確実な実施 スできない世帯の現状 ④全世帯の食料品店へのアク を把握 セス確保 野菜や果物の摂取(1日5皿 350g以上)は、生活習慣病発症の ファイブ・ア・デイ協会 リスクを抑える可能性が高いという科学的長に基づく運動 ア ク セ ス 面 国際貿易: 需給調整としての機能 グローバル化の進展、経済の高度化、食料品の生産流通の複雑 化・高度化等に対応して、フードチェーンの各段階において食料の安 定供給をおびやかす様々なリスクが生じるおそれがでてきている。 温暖化に伴う異常気象が世界各地で発生している 米国、オーストラリア、フランスなどの食料主要輸出国で自然災害や悪性伝染病が 同時発生したら、国際貿易の混乱は計り知れない。 自然災害や悪性伝染病の発生で流通が止まったら・・・・ 全体的な供給不足時でなくても、輸出入経路が確保できなくなり貿易が止まったり、 国内流通網が寸断される事態が発生する恐れがある。1998年のパナマ運河通航 制限は人為的だったが自然災害だったら・・・戦争による海峡閉鎖が起きたら・・・ 世界の食料需給のひっ迫に伴い、他国の農地取得の動きが活発化 ○ 韓国 • 民間企業がロシア極東地域の穀倉地帯で1万haの農場を所有・運営 する営農法人の株式67.6%を取得 • 公社が、タンザニア政府と、10万haの農業複合団地の造成事業を推進すると発 表。うち5万haを無償借入予定 ○ 中国 • 民間企業がカメルーンで1万haを借り受け、米等を生産 • ザンビアでバイオ燃料用ジャトロファを200万ha生産することを計画 農林水産省: 食料安全保障とは 「食料・農業・農村基本法」 第2条 (食料の安定供給の確保) 食料は、人間の生命の維持に欠くことができないものであり、かつ、健康で充実した生 活の基礎として重要なものであることにかんがみ、将来にわたって、良質な食料が合理的 な価格で安定的に供給されなければならない。 農産物貿易の不安定性と世界の食料需給の中長期的な見通し 農産物は天候などにより生産が大きく変動しやすく、また少数の特定の国・地域 が主要な農産物輸出について大きな割合を占めており、世界の食料需給、農産物 貿易は不安定な側面が強いという特性があります。 消費についての見通し 長期的には、世界の人口は、発展途上国を中心に大幅に増加し、現在の65億 人が2015年には73億人、2050年には92億人に達すると見込まれています。 また、今後、発展途上国でも畜産物の消費が拡大することが予想されますが、 畜産物の生産には大量の飼料穀物を必要とすることから、今後、世界の食料需要 は大幅に増加するものと見込まれます。 生産についての見通し 供給については、今後は、農用地面積の拡大に限界があること、砂漠化の進行 などの環境問題が深刻になってきていることから、生産の大幅な増加は困難となる おそれがあります。 2. 自給率と食育 (まとめ) FAO主催 「世界食料安全保障サミット」 2009年11月 2.我々は、現在、飢餓と貧困に苦しむ人口が10億人を超えたことに不安を抱いて いる。これは世界の人口の6分の1の生命、生計、尊厳における受け入れ難い障害 である。・・・ 食料、金融及び経済危機によって、最近になり一層悪化した。 4. 2050年には90億人を超えることが予想される世界人口を養うためには、現在か らそれまでに農業生産量を70%増加させる必要があると推計される。 5. 気候変動は食料安全保障と農業セクターに対し追加的な深刻なリスクをもたら す。 食料は無尽蔵にあり、金さえ払えば自由に食べられる・・・という 考え方は、改める必要がある。農業生産に打撃を与える自然災害の 多発が予測される中で、今後の世界人口を養うために、今何ができ るのか? 子供達の食料を確保するために、今何ができるのか? 超高齢化社会を迎える日本がこれまで通り世界の食料を買い付 ける資金が続くだろうか? 近海漁業を復活させるため、山の木を育 てることも選択肢の一つだろう。 農林水産省∕食料の未来を描く戦略会議 「食料の未来を確かなものにするために」 私たちの命を支える食 今 大きな変化が訪れています... 日本の食料自給率は約4割...背景には私たちの食生活の変化... 米などの国産農産物の需要が減り...農地面積も農家も減少... 食料をめぐる世界の状況は大きく変化...途上国の人口増加...中 国などの経済発展...エネルギー問題...地球温暖化の進行... 今後、世界の食料問題がさらに深刻化すると見込まれる中で、食 料を安定的に確保し、日本の豊かで確かな食を未来の子どもたちに 残していくために、私たちは何をすればいいのでしょうか。 食料の未来とわたしたちの“いま” 単元1 単元2 単元3 単元4 単元5 中学校教師用解説書 社会科(歴史・公民) 「戦後日本の食料確保の歴史」 社会科(地理・公民) 「日本の食料輸入と世界」 社会科(公民) 「食料の未来と環境・世界」 家庭科(献立づくり・調理) 「サスティナブル・クッキング」 総合的な学習の時間 「日本の食が危ない!」 科学と宗教は 車の両輪 世界観 仏教 仏陀釈迦牟尼の教え キリスト教 イエスの教え 自然科学 宗教 生物学、医学、農学、工学、・・・ 社会科学 イスラム教 科学 マホメットの教え 法学、経済学、・・・ 人文科学 現実によって動く心の世界の解明と導き 歴史、心理学、文学、・・・ 2000年変わらぬ世界 現実にある事象の解析と解決方法の提示 日進月歩の世界 生命観
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