日本大学経済学部 2005年度 経営科学 第3回 4月28日

梅沢人間力アカデミー
『ゼミナール 経営学の基礎』
第8章
「 民と官 」
1.民(私的企業)と官(公的企業)
官、公的(public)
営利目的
(profit)
×
非営利目的
(nonprofit)
政府、地方自治体・
公共団体
(governmental
organization)
民、私的(private)
私的企業(private
business)
NGO(nongovernmental
organization 非政府組織)
NPO(nonprofit organization
非営利団体)
2.民と官の分業は何故生じたか
(1)公共財・サービス:
• 初等・中等教育、外交、治安、ゴミ・廃水処理、灯
台等、中央政府や地方自治体が原則的に無料で
提供し、その費用は住民全体の税金でまかなわ
れる財・サービスのこと。
• 一方、市場を通じて供給され、消費者・受益者が、
消費量・使用料に応じてその費用を負担する財・
サービスを私的財・サービスという。
(2)排除不可能性:
• 道路・公園、治安、国防、検疫、天気予報、灯
台、環境保全等は、一度供給されたら多数の
人が同時にそれを消費できる。
• 特定の人をその財・サービスの消費から排除
することができないという性質を排除不可能
性という。
• 私的財・サービスには、一人がそれを消費し
たら、他人はそれを消費できないという排除
可能性がある。
(3)市場の失敗:
• 公共財・サービスは、排除可能性をもたないため、
供給される財・サービスに対する対価の徴収が困
難であり、市場機構に委ねたのでは、十分な供給
が行われなくなる。
• つまり、市場を通じたのでは資源の最適配分が達
成されなくなるという意味で、これは「市場の失敗」
といわれる。
• 公共財・サービスが政府や地方自治体によって供
給されているのは、主にこのためである。
• 逆に、この点を除けば、私的財・サービスの提供
(民)と公共財・サービスの提供(官)の間に本質的
な違いは無い 。
4.営利(私的)企業と
非営利(公的)企業
• 営利(私的)企業: 一般財・サービスの提供
• 非営利(公的)企業: 公共財・サービスの提供
5. 経営:
「(企業内)分業に基づく協業の調整」
• 企業の中では、仕事が分割されて人々に分担
されてきた。この分割された仕事を纏め上げる
仕事がマネジメント(狭い意味での経営、管理)
の仕事である。経営学は、従来から、このマネ
ジメントを研究対象としてきた。行政=公的企
業の運営にも、私的企業におけると同様に、マ
ネジメント機能が必要であり、行政にも現にマ
ネジメントが存在している。
文献
• グルシコフ他著(田中雄三訳)『コンピュータと社会主義』岩波
新書(1987)
• S. Douma and H. Schreuder, Economic Approaches to
Organizations, Prentice Hall, 1991 (岡田和秀他訳『組織の経
済学入門』文眞堂、1994)
• 丸山雅祥・成生達彦著『現代のミクロ経済学:情報とゲームの
応用ミクロ』創文社、1997.
• P. Milgrom and J. Roberts, Economics, Organization and
Management, Prentice Hall, 1992. (邦訳:奥野正寛他訳、ミル
グロム他著『組織の経済学』NTT出版、1997)
• Oliver E. Williamson, Markets and Hierarchies: Analysis and
Antitrust Implications. The Free Press, 1975