経済学Ⅰ 2012/04/12

経済学Ⅰ
2012/04/12
今日の内容
• 目指すべき良い経済とはどのようなものか
• そのために必要とされることは何か
• 良い経済を目指す過程で注意すべき点は何か
“経済” “経済学”とは?
• 経済economics←オイコノミクス(ギリシャ語が語源)
• ←オイコス (oikos)ギリシャ語で”家””共同体”
• +ノミコス(nomikos)ギリシャ語で管理・運営
• “家計・共同体を管理する人”がその語源
• 誰にどの仕事をさせるのか
• どの程度報酬を与えるのか ….を管理する人
• 経済学
• 社会が希少な資源をどのように管理・配分するかを考
える学問
• 資源(通常、資源とは石油や石炭のようなものを指すが、経済
学では、活動に使える機会,モノすべてを指す)
• 希少-限りがあるということ。
• 希少性-人々が手に入れたいと思う財・サービスをすべて生産
できるほど多くはなく、限りがある
目指す”良い経済”とは
• 良い経済
• =今使える資源が無駄なく、うまく活用され尽くされ
ている
• 資源が無駄なく、全ての人がもうこれ以上幸せに
なれないほどうまく活用され尽くされているという状
態を効率的とよぶ
経済学での効率的
• パレート効率的
• 与えられた資源と技術の制約の下で、ある人の生
活水準を引き上げるためには、必ず他の誰かの生
活水準を引き下げなければならない状況
問:望ましい経済について
• 望ましい経済の一つの指標である、パレート効率
的について説明せよ
パレート効率をどのように達成するか?
• 私利私欲を追求して消費や生産活動を行うならパ
レート効率的な状況が達成される(アダム・スミス)
• 市場での競争の結果、他人が最も必要としている
財やサービスをより安く供給する個人や企業が成
功するから
• ここでの競争とは”フェアまたは平等なルールのも
とでの”競争であり、他人の商売を邪魔するような
ものが排除されるようなルールのもとでの競争のこ
と
効率性と補償原理
• 実際には、パレート効率性が達成されるには痛み
をともなうことが多い
– 例:1950年代から1960年代にかけての日本
• 石炭産業が栄えていたが、
– 中東から石油が安く仕入れられるように
– 石油タンカーの技術の向上
• しかし、石油の輸入制限、使用の規制
– 銭湯では石炭を使わなくてはいけないなどの規制
– 効率性を考えるなら、石油の輸入自由化、石炭産業に
従事していたものを他の産業の労働者になってもらうの
が望ましい
– 石炭産業労働者の失職・転職という痛みをともなう
補償原理
• 改革によって生活水準が上がった人が、下がった
人に対して補償を与えてもなお改革前よりも高い
生活水準を維持しうるのならば、この改革は経済
の資源配分をより効率化する
• 石炭から石油への転換政策によって、三池、夕張、
常盤炭鉱は潰れ、大量の失業者がでた
– 炭鉱離職者を雇用した会社に対して補助金を出す
– 雇用促進事業団が東京や大阪に炭鉱離職者が職を求
めて就業するときのためにアパートを建てる
• 輸入自由化によって恩恵を得た消費者から炭鉱従
事者への補償の例と言える
既得権保護原則vs効率化原則
• 既得権保護原則
– すべての人の生活水準を直ちに引き上げるような政策
のみを実行する
– 石炭から石油への転換は起こらなかった
• 効率化原則
– 補償原理によって(長い目で見れば)効率性が上がる政
策は実行する
– 石炭から石油への転換など
市場による資源配分の問題
• 競争に負けたものは市場から退出する
• 不慮の事故などで売るものがなくなってしまったも
のなどは所得がなくなってしまう
• 市場に負けたものの子供は貧しいままになってし
まう(貧困の遺伝)
• セーフティーネットの必要性
• 運が悪く、極めて所得が低くなってしまったもの向
けに所得が高い人から再分配を行うための仕組み
が必要になる
問
• 市場の役割によってパレート効率的な状況をもた
らすために、政府はどのような役割を果たすべき
か
• パレート効率的な状況の下でも政府が果たすべき
役割は何か
市場の失敗
• 原則的には、市場参加者が皆フェアな条件で競争
できるようなルール・法律を適切に設定・管理して
いれば市場でパレート効率性が達成される
– 次の3つの例外的な市場の失敗をのぞいて
1.規模の経済
2.外部経済
3.公共財
規模の経済・自然独占
• 発電所やパイプラインのような、大規模な設備投
資が必要な産業がある
– この様な産業では、一つの企業がたくさんの需要者に
供給する方が効率が良い-そうでなければ、
• 能力を使い切っていない発電所を持つ企業が複数あったり、
• –ある家庭にはA社のガス管がついており、隣の家庭にはB社
のガス管がついており、街中に複数の企業のガス管が張り巡
らされているといった事態におちいる
• 生産する量が増えるほど、一単位あたり平均の費
用が減るこの様な状態を、規模の経済という
• 規模の経済がある時、自然独占が起こる
規模の経済と自然独占:対処
• たくさん作るほど一つあたりの費用が低くてすむ
• 規模が大きい企業ほど価格面で有利
• 自然と独占になる
• 問題は、ライバルを叩き出したあと、価格を釣り上
げるおそれがあること
• 政府は様々な方法で対処する
– 公有・国有化
– 価格規制
国有・公有と自然独占
• 日本では、鉄道・日本電信電話、電力等が自然独
占が起こりうる産業として、国有化されていた
• しかし、国有・公有企業では、民間企業ほど費用削
減や高品質の財・サービスの供給に熱心でない
• 徐々に民営化されるJR、NTT、Jパワー等
• 価格規制にて対処
外部経済
• 外部経済とは?
– ある個人や企業の行動が、市場を通さないで他人の生
活水準や他企業の生産量に直接影響を及ぼし、なおか
つ、この影響に対して何らの補償を支払わない(もしく
は、受け取らない)こと
– 好影響・悪影響両方が考えられ、悪影響のことを特に
外部不経済とよんだりする
• 外部不経済の例:ある製品を作るときにでる排気ガ
スなどの公害
問:外部経済について
• 外部経済とは?
• 外部不経済の例として、公害が挙げられるが、正
の外部経済(好影響)としてはどのようなものが考え
られるか
公共財
• 他の誰かが使っても、自分の使う分が減らないよう
な財のこと
– 例としては、灯台や橋など
• 他人がその財・サービスの支払をするだろうと期待
し、自分が支払いをしない可能性がある
– Free-rider problemという
• 市場では供給されない(多数のただで利用としよう
とする人のために費用を払いたくなる人がいない)
• 通常は政府が供給する
問:公共財
• 公共財とはどのような財のことか
• 公共財の例をあげよ
問:まとめ
• 次の空欄を埋めなさい
– 与えられた資源と技術の制約の下で、経済の中のある
人の生活水準を引き上げるためには、必ず他の誰かの
生活水準を引き下げなければならない状況のことを、
経済学では(
)な状況という
• 市場経済における政府の役割は、再分配以外にど
のようなものがあるか