社会の認識 「社会科学的発想・法」 第07回 2009年11月18日 今日の資料=A4・3枚 http://www.juris.hokudai.ac.jp/~aizawa/ 4. 財産権の経済学的基礎 4.1 なぜ財産権が必要か …財産権があったほうが効率的だから →なぜ、財産権がないよりもあるほうが効率的と言 えるのか? 2 外部性(externality) あるアクターの行為が他のアクターに影響を及ぼ すこと ある資源の利用につき、正の外部性が発生 →その資源について、過少利用が起きる ある資源の利用につき、負の外部性が発生 →その資源について、過剰利用が起きる 3 →対応策① 問題が発生するのはXとYが睨み合っているから →ならばXならばXのみに使わせればよい 他の対応策 XとYで取り決めて、稚魚は放流することにする 4 4.12 社会契約説の経済学的解釈 以下、 X・Yの2人社会 それぞれ、農業を営む と同時に、相手から生産物を奪おうとする と同時に、防御しようとする 5 自然状態 収穫 奪取 損失 合計 X 50 40 -10 80 Y 150 10 -40 120 合計 200 50 -50 200 6 文明社会:収穫合計+100=300 威嚇値 余剰の分配 合計 X 80 +0~100 80~180 Y 120 +100~0 220~120 合計 200 +100 300 7 「Xが(Yが)ある資源を排他的に使う」 自然に使う範囲が分かれる 自分で守る 互いに使っている範囲を尊重する それぞれが使っている範囲を尊重することを保障 するような仕組みを作る =政府/国家の設立→「権利」の成立 …社会契約説の経済学的解釈 8 4.2 財産権の対象と政府の役割(の一部) 排他的利用の利得 > 排他的利用の費用 ⇒ 排他的利用 e.g., 土地 利得…狩猟・採集社会vs農業社会 費用…テクノロジー e.g., 漁業;領海;… 9 私的財private goods 消費の競合性rivalry ある財/資源について、あるアクターがそれを利用す ると、他のアクターが消費できなくなること 少なくとも、同時には 排除可能性excludability ある財/資源の利用について、(支払いをしていない) 他のアクターによるアクセスを排除できること e.g., 普通の物・サービス 10 公共財public goods 消費の非競合性non-rivalry 排除不可能性non-excludability e.g., 国防・安全保障;治安;灯台(による航海の安 全) 11 排除不可能 排除可能 消費が非競合的 (純粋)公共財 クラブ財 消費が競合的 コモンズ 私的財 12 コモンズ e.g., クラブ財club goods e.g., 漁業資源;きれいな空気 映画;ケーブルテレビ;高速道路 テクノロジーの変化による、境界の移動 e.g., GPSによる航海の安全 13 私的財… 多くの場合、排他的利用の利得 > 排他的利用 の費用 →財産権の対象・民間で供給可能 14 公共財… フリーライダーfree-rider問題 Xが公共財を供給すると、Yも利用できてしまい、Xはこ れを排除できない(=典型的な正の外部性) →これを見越したXは、この公共財を供給しない →誰も公共財を供給しない 市場の失敗(の一つ) 15 公共財… 解決①政府が供給する 解決②(供給自体は私人が行うが)政府が補助金を 出す 解決③人工的に排除可能な権利を創設する …情報のクラブ財化としての知的財産権 排出権取引 16 4.3 誰に財産権を割り当てるか X:池(評価$300)と$200 Y:$500 (池は$200と評価) 17 「評価」 (ここでは)池と$300とが「無差別」 $299なら池を取る、$301なら$301を取る 18 Y:池(評価$200)と$300 X:$500 (池は$300と評価) 19
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