第6章 流体の運動方程式の記述

第6章 流体の運動方程式の記述
6.1 流体運動の記述方法 162
6.2 運動する流体の加速度 162
直交座標系,円筒座標系における流体の加速度 163
6.3 連続の式 167
直交座標系,円筒座標系における連続の式 167
6.4 流体に働く力 169
質量力(体積力加速度)169,面積力169,粘性法則170
6.5 粘性流体の運動方程式 172
6.5.1ナビエ・ストークスの運動方程式 172
6.5.2 円筒座標系におけるNS方程式 173
6.6 理想流体の運動方程式(オイラーの運動方程式) 174
直交座標,円筒座標系における運動方程式 174
第6章 総合演習問題 175
第6章 演習問題・研究課題などの解答 178
2015/9/30
熱流体力学第6章
1
6.1 流体運動の記述方法
6.1 流体運動の記述方法
流体の運動の記述にはつぎの2つの方法がある。
1)ラグランジュ(Lagrange)の方法
この方法は,特定の流体塊に注目し,その位置における,速度,圧力,温度など
の変化を時々刻々追跡する方法である。例えば,時間t=0で,直交座標系(x,y,z)
において(x0,y0,z0)にあった流体が時刻t=taにおいて位置(xa,ya,za)に移動した
場合,
xa  f1 ( x0 , y0 , z0 , t )
z a  f 3 ( x0 , y0 , z0 , t )
ya  f 2 ( x0 , y0 , z0 , t )
(6.1)
として,時間t=taにおける新しい移動後の座標位置を求める方法である。
2)オイラー(Euler)の方法
空間内のすべての位置における速度,圧力,温度などを座標の関数として表す
方法である。例えば,任意の時刻tに任意の位置(x,y,z)にある流体塊の速度成
分(u,v,w),圧力p,温度Tおよび密度ρを,それぞれつぎのように与える。
w  g 3 ( x, y, z, t )
u  g1 ( x, y, z, t ) v  g 2 ( x, y, z, t )
(6.2)
  g 6 ( x, y, z, t )
p  g 4 ( x, y, z, t ) T  g 5 ( x, y, z, t )
熱流体の場合,特定の流体塊を追跡しながらその位置を確認するのは極めて困
難であるから,一般的にオイラーの方法を用いることが多い。
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熱流体力学第6章
2
6.2 運動する流体の加速度(その1)
6.2.1 直交座標系における流体の加速度
VB
図において,オイラーの方法に基づき,
Z
VA
点Aを時刻に通過した流体塊の加速度
B
を表現してみる。
★点Aの速度ベクトルを
A
VA =V (x,y,z,t)
とし,微小時間dt後,点Aの流体は点Bを
通過した。そのときの速度を
X
VB =V (x+dx,y+dy,z+dz)
とする。ただし,dx,dy,dzは時間dt経過
後における(x,y,z)方向への移動量とする。
図6.1 流体の運動軌跡
★移動量dx,dy,dzについて,
dt時間後の移動量は,(x,y,z)方向の速度成分を(U,v,w)とすれば,
dx=udt;dy=vdt;dz=wdt
である。
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熱流体力学第6章
y
3
6.2 運動する流体の加速度(その2)
★ここで,つぎのようなテイラー展開公式を思い出す。すなわち関数V(x)の
dx離れた位置における値V(x+dx)は,
V ( x  dx )  V ( x) 
dV ( x)
dx
dx
したがって,その差 V ( x  dx)  V ( x) は,
V ( x  dx )  V ( x) 
dV ( x)
dV ( x)
dx 
udt
dx
dx
, y , z 
V x  dx, y  dy, z  dz, t  dt  V x, y, z, t 
すると,加速度αは,α
  lim
dt  0

x
式(6.3)の右辺第1項は局所加
速度(local acceleration)とよ
ばれ,流れの非定常性による速
度変化である。第2~第4項は対
流加速度(convective
acceleration)とよばれ,流体が
移動したことによる速度変化分で
ある。
dt
1  V
V
V
V 

 lim
dt 
dx 
dy 
dz 
dt

t

x

y

z
dt  0 


(6.3)
V
V
V
V
u
v
w
t
x
y
z
となる。
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熱流体力学第6章
4
6.2 運動する流体の加速度(その3)
★実質加速度(substantive acceleration)
実質加速度はつぎのように表記されることもある。
  DV Dt
ここで,式(6.4)中の D Dt は
(6.4)
D




 u v w
Dt t
x
y
z
(6.5)
を意味し,D Dt を実質微分(material derivative)といい,流
体塊が保有する物理量の時間変化率を表している。
加速度αの各軸(x,y,z)方向成分はつぎのようになる.
Du u
u
u
u

u
v
w
Dt t
x
y
z
Dv v
v
v
v
y 

u v w
Dt t
x
y
z
Dw w
w
w
w
z 

u
v
w
Dt
t
x
y
z
x 
2015/9/30
(6.6)
(6.7)
(6.8)
5
6.2.2 円筒座標系における流体の加速度
(その1)
★円筒座標系について
z
円筒座標系は,右図に示されるよう
に,3つの座標 (r, , z) が用いられ
る。一般的によく用いられる直交座標
系と円筒座標系 (r, , z ) との関係は
つぎのようになる。
x  r cos 
y  r sin 
Vθ
Vr y
θ
(6.9)
x
r
zz
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Vz
熱流体力学第6章
6
6.2.2 円筒座標系における流体の加速度
(その2)
★円筒座標系における流体の加速度
・円筒座標系において(r, , z) 方向の単位ベクトル
e , e , e 
を:
・微小時間dt 後の流体移動:
r
( r , , z )
z
z
r  dr,  d , z  dz
・  から,  d への移動は単位ベクトルとの変
θ
e t  dt 
e

ez
e (t )
化を誘起することに注意する必要がある。
・すなわち,右図から明らかなように, d →0のと
きの d 方向は e の方向に一致し,e の方
向は er の方向の反対向きに一致するようにな
る。したがって,これらは近似的に,
d
e t  dt 
r
er  er t  dt  er (t )  e d
e  e (t  dt)  e (t )  er d
2015/9/30
(6.10)
d
er (t )
er
r
(6.11)
熱流体力学第6章
7
6.2.2 円筒座標系における流体の加速度
(その3)
★微小な位置の変位 dr, d , dzと微小時間dt
の関係は,つぎのようになる。
dr  Vr dt rd  V dt dz  Vz dt (6.12)
以上のことを前準備として用いると,任
意の時間における速度ベクトルV Vr ,V ,Vz 
は,単位ベクトルを用いて表すと,右図
に示されるように
(6.13)
V  V e V e V e
r r
 
z z
Z
V+ΔV
Vz+dVz
V θ +dV θ
dz
Vr+dVr
VZ
V
Vθ
z
Vr
dθ
となり,微小時間dt後の速度を V  V
とすれば,  V は次式となる。
X
V  Vr er  V e  Vz ez  Vr er  V e  Vz ez
2015/9/30
熱流体力学第6章
θ
r
y
r+dr
(6.14)
8
6.2.2 円筒座標系における流体の加速度
(その4)
・式(6.14)で示された,( r ,  ) 方向の単位ベクトルは角速度 V
で方向が変化するので,
V
er  e d 
V
r
e dt
e  er d  

r
e dt
ez  0
r
・速度の微小変化 V r, , z,t  は,全微分をとることにより
Vi 
Vi
V
V
V
dt  i dr  i d  i dz
t
r

z
r
(6.15)
(6.16)
ここで,添字はi  r , , zに適用される。さらに,
dr  Vr dt, rd  V dt, dz  Vz dt
であるから,式(6.16)は Vi   Vi  Vr Vi
r
 t
★結論
結局,円筒座標系における加速度αは

V Vi
V 
 Vz i dt
r 
z 
 V

V 2 V
V V V


r

r
z


 V  V 
,
 V  V 
,
 V  V 
r

z
 t
r
t
r
t


となる。ここで,
2015/9/30
 V 

熱流体力学第6章
V    Vr

 Vz
r r 
z
(6.17)
(6.18)
(6.19)
9
★6.2.2 円筒座標系の研究課題
1.円筒座標系 (r, , z) において, t 時間後の速度変化 V が
(r, , z ) 方向の単位ベクトルを er , e , ez  とするとき,
V  Vr er  V e  Vz ez  Vr er  V e  Vz ez
で表されることを証明せよ。
2.円筒座標系における加速度  の各軸成分  r   z を次
式から求めよ。
 V

V 2 V
V V V


r

r
z
 
 V  V 
,
 V  V 
,
 V  V 
r

z
 t
r
t
r
t


ただし,
2015/9/30
V    Vr
 V 


 Vz
r r 
z
で与えられる。
熱流体力学第6章
10
6.3 連続の式
6.3.1 直交座標系における連続の式
この式はすでに第5章で質量保存の法則から導出し
た。結果のみを以下に要約して記述しておく。
★2次元圧縮性非定常流の連続の式
 u v


0
(5.14)
t
x
y
★3次元圧縮性非定常流の連続の式
 u v w



0
(5.15)
t
x
y
z
あるいは,流体の速度ベクトルVを用いて,

A A A
 div ( V )  0
divA 


t
ここ
x
y
z
と表される。
で,
x
2015/9/30
熱流体力学第6章
y
z
11
6.3.2 円筒座標系における連続の式(その1)
★円筒座標系における軸対称流れ
で, V  0 の場合の連続の式に
ついてはすでに第5章で学び,そ
の結果はつぎのようであった。
z
dθ
差し引き:
r
 ( V )
d

dz
V
V z
θ


 Vr 
 (  Vr )
dr
r
r
( Vr )
rddz  Vr drddz
r
( Vr r )

drddz

r
2015/9/30
r
dr
 Vr
★ V  0 の一般的な軸対称流れの
場合の連続の式
1)r方向の質量流量の変化
入る質量流量: Vr rddz
出る質量流量: V  ( V ) r  drddz
r
 ( V z )
dz
z
V 
 1 Vr r  V z


0
t r r
z


V z 
(6.21)
熱流体力学第6章
12
6.3.2 円筒座標系における連続の式(その2)
★  方向の質量流量変化は
入る質量流量: V drdz
出る質量流量:
( V ) 

 V   d  drdz


差し引き

 ( V )
drddz

(6.22)
★z方向の質量流量変化は
入る質量流量: Vz rdrd
 ( V ) 

z dz rdrd
 V 
z

z



( Vz )
rdrddz
z
出る質量流量:
差し引き:
★単位時間当たり,微小要素の質量変化は,時間をdtとして,

rdrd dz
t
(6.24)
★結論:円筒座標系の連続の式はこれらをまとめて
 1 vr  u
 1 ( V r ) 1  ( V )  ( V )



0 ;


0
r
t
r
r
r

V  0
(6.23)
z
z
t
r
r
x
(6.25)
V  0
13
6.4 流体に働く力
★熱流体の微小要素には流体要素に直接働く
力(重力,遠心力,電気力,ローレンツ力など)
として,質量力(body force)と,隣り合う流体
要素から面を通じて働く力(圧力,粘性力な
ど)として面積力(surface force)が考えられ
る。この中で質量力としての圧力はすでに第
2章で学んだ。ここでは圧力以外の質量力お
よび面積力について学ぶ。
2015/9/30
熱流体力学第6章
14
6.4.1 質量力(体積力加速度)
★右図に示す微小な直方体に
おいて,単位質量当たりに働く
質量力を F x, y, z  とすれば,微
小直方体dxdydzに働く力はつ
ぎのようになる。
(6.26)
dy
z
密度ρ
dz
Fdxdydz
Fy
ちなみに,質量力Fのx,y,z成分
が
Fx
dx
Fz
Fx  0 Fy  0 Fz   g
F(x,y,z)
であれば,質量力は
F (0,0, g )
x
y
と書き表される。
2015/9/30
熱流体力学第6章
15
6.4.2 面積力
★右図に示すような微小直方
体の面に働く力を面積力と
いい,単位面積当たりの面
積力を応力(stress)という。
応力を各軸方向に成分表
示をする場合には, ij など
と表示する。ここで,第1添
字iは応力が働いている面
の方向,第2添字jは力の
方向を表すことに決める。
すると,応力として図に示し
た9個の成分が考えられ,
これらを総称して応力テン
ソル(stress tensor)という。
2015/9/30
 zz
z

zx
xz
 xx
 zy
yz
 yy
 xy  yx
y
x
熱流体力学第6章
16
6.4.2 面積力(その2)
★応力テンソル(stress tensor )

 xx

  yx
 zx

 xy  xz 

 yy  yz 
 zy  zz 
(6.27)
★応力テンソルにおける対角要素は
垂直応力(normal stress):    zz
といい,面に垂直に働く応力を表し,その値は一般
には異なった値をとる。流体中の微小要素では,そ
れらの平均値が圧力 pとなり, p は次のように定義さ
れる。
( xx   yy   zz )
p
3 熱流体力学第6章
(6.28) 17
2015/9/30
xx
yy
6.4.2 面積力(その3)
★応力テンソルにおける残った6個の要素は面
に平行に働く応力であり,せん断応力
(shearing stress)という。このせん断応力
はモーメントのつり合いから,つぎの関係式
が成り立つ。
 xy   yx ,  yz   zy ,  zx   xz
(6.29)
このように,流体に働く面積力としては,圧力
と粘性力を考えればよい。
2015/9/30
熱流体力学第6章
18
6.4.3 粘性法則(その1)
★ニュートンの粘性法則からせん断応力が    (du dy)
というように,速度勾配に比例して発生することを学
んでいる。これらをまとめると,ニュートン流体では,
応力とひずみ速度に関して以下の仮定が成り立つ。
(1)静止流体には粘性による応力は働かない。
(2)粘性による応力はひずみ速度と一次式で結ば
れる。
(3)特別な方向性はない。等方性。
★この仮定から,せん断応力 ( , , ) とひずみ速度
の関係は,第2章で学んだせん断ひずみ速度を参
照して,つぎのようになる。
xy
2015/9/30
熱流体力学第6章
yz
zx
19
6.4.3 粘性法則(その2)
 v
u 
 w
 xy   yx     
 x y 
v 
 yz   zy     
 y z 
 u w 


 z x 
 zx   xz   
一方,非圧縮流体の場合,流体要素がx方向に伸
び,y方向に縮むときの垂直応力    は,
 u v 
 u v 
       
    2   
(6.31)
 x y 
 x y 
これらを変形して整理すれば,垂直応力はそれぞれ
 u v 
 u v 
 u w 
u
v
    2    (6.34)
  2     
  2     
 x z 
x
y
 x y 
 x y 
このようにして得られた以上の各式の和をとれば
 u v w 
u

(6.35)
3         6
 2   
x
 x y z 
xx
xx
yy
xx
xx
2015/9/30
yy
xx
yy
xx
xx
yy
yy
zz
zz
熱流体力学第6章
20
6.4.3 粘性法則(その3)
★さらに,圧力pが ( xx   yy   zz )  3 p であることを考慮すれば,
各方向の垂直応力はそれぞれつぎのように与えられる。
 xx   p  2
 zz   p  2
u 2  u v w 

   
x 3  x y z 
 yy   p  2
v 2  u v w 

   
y 3  x y z 
(6.38)
w 2  u v w 

   
z 3  x y z 
とくに,非圧縮性流体では上式の右辺第3項は連続の式
( divV  0 )からゼロとなり,この場合には垂直応力( xx , yy , zz )
は最終的につぎのようになる。
 v 
 u 
 w 
   p  2  
   p  2  
   p  2  
(6.39)
 x 
 z 
 y 
xx
2015/9/30
yy
熱流体力学第6章
zz
21
6.5 粘性流体の運動方程式
6.5.1 ナビエ・ストークスの運動方程式
右図に示されるように流れ場
に想定した微小な直方体を考
える。そして,運動方程式を組
み立てるために,ニュートンの
運動第2法則を微小要素に適
用して,以下,順次考察する。
x
★面xに働くx方向の応力に基づ
くx方向の力は,

dy
z
 zx   zx
 yx
 xx   xx
熱流体力学第6章
dz
 yx   yx
 zx
 xx


xx





dx
dydz

dxdydz
xx
 xx

x
x


2015/9/30
 xx
dx
y
(6.40)
22
6.5.1 ナビエ・ストークスの運動方程式(その2)
★面yに働くy方向の応力に基づくx方向の力









dy
dxdz

dxdydz


(6.41)

y

y


★面zに働くz方向の応力に基づくx方向の力









dz
dxdy

dxdydz
(6.42)


z
z


以上の力を合計すると,x方向の面積力が求
められる。ここで,単位質量あたりの質量力
(体積力加速度)のx方向成分をXとすれば,

 
 
Du
dxdydz
dxdydz  Xdxdydz 


Dt
y
z 
(6.43)
 x
yx
yx
yx
yx
zx
zx
zx
zx
xx
2015/9/30
yx
zx
熱流体力学第6章
23
6.5.1 ナビエ・ストークスの運動方程式(その3)
この式に先に求めた式(6.33)の xx , yx , zx  を代入して整理す
ると
  u  u  u  1   u v w 
Du
1 p
     


 X   


Dt
 x

x

y

z

 3 x  x y z 
(6.44)
  v  v  v  1   u v w 
Dv
1 p
    


 Y   


(6.45)
Dt
 y
y
z  3 y  x y z 
 x
(6.46)
  w  w  w  1   u v w 
Dw
1 p
    


 Z  


2
2
2
2
2
2
2
2
Dt
 z
ただし,動粘度は
れる。
2
2
2
2
 x 2

2
y 2
2
2
z 2  3 z  x
   ,実質微分 D Dt
y
z 
は以下のように表さ
D




 u v w
Dt t
x
y
z
2015/9/30
熱流体力学第6章
24
6.5.1 ナビエ・ストークスの運動方程式(その4)
★もう少しこのNS方程式を簡略化して表わすと
Du
1 p

 X   2 u
Dt
 x
(6.47)
Dv
1 p

 Y   2 v
Dt
 y
(6.48)
Dw
1 p

 Z   2 w (6.49)
Dt
 z
ここで,演算子 2 は
2
2
2
  2  2  2
x
y
z
2
(6.50)
で表わされる。
2015/9/30
熱流体力学第6章
25
6.5.2 円筒座標系におけるNS方程式
★円筒座標系における左辺の実質微分項は6.2節ですでに求められており,
その結果はつぎのように表された。
 V

V 2 V
V V V


r

r
z


 V  V 
,
 V  V 
,
 V  V 
r

z
 t
r
t
r
t


V    Vr
 V 


 Vz
r r 
z
★さらに, r , , z  方向の質量力 R, , Z  をとすれば,円筒座標系
におけるNS方程式はつぎのようになる。
V
V
V
1 p
2 V 

(6.51)
 V  Vr 

 R    V  

t
r
 r
r
r  

(6.52)
V
VV
V
1 p
2 V 

 V  V 

     V 


(6.53)
t
r
 
r
r  

2

r
2


r 
2

r
2
r

2

2
r
2
Vz
1 p
 V   Vz  
 Z   2Vz
t
 z
ここで,演算子は,
2015/9/30
2 
2 1 
1 2
2



熱流体力学第6章
r 2 r r r 2  2 z 2
(6.54)
26
☆6.5.2 円筒座標系におけるNS方程式の研究課題
1.円筒座標系のNS方程式(6.51),(6.52)およ
び(6.53)について,各軸成分 V ,V ,V  を用い,
演算子を開放した形で記述せよ。
r

z
2.直交座標系におけるNS方程式(6.47),
(6.48)および(6.49)を円筒座標系に変換し,
式(6.51),(6.52)および(6.53)となることを導
け。
2015/9/30
熱流体力学第6章
27
6.6 理想流体の運動方程式(オイラーの運動方程式)
6.6.1 直交座標
★理想流体は非圧縮,非粘性である。したがって,NS方程式
において,動粘度または粘性係数を   0 ,   0 とおけば
よい。 Du 1 p
Dw
1 p
Dv
1 p

Z

X

Y
Dt
 z
Dt
 x
Dt
 y
(6.55)
実質微分の部分を書き換えれば, x, y, z  方向運動方程式は
u
u
u
u
1 p
u
v
w

X
t
x
y
z
 x
(6.56)
v
v
v
v
1 p
u v w  
Y
t
x
y
z
 y
(6.57)
w
w
w
w
1 p
u
v
w

Z
t
x
y
z
 z
(6.58)
★オイラーの運動方程式は,このように書き表される。
2015/9/30
熱流体力学第6章
28
6.6.2 円筒座標
★円筒座標系の加速度はすでに,6.2.2節において以下のよう
に求められている。
 V

V 2 V
V V V


r

r
z


 V  V 
,
 V  V 
,
 V  V 
r

z
 t
r
t
r
t


V    Vr
 V 


 Vz
r r 
z
★したがって,この場合のオイラーの運動方程式は,単位質量

R, , Z とすれば次式となる。

あたりの質量力の r, , z方向成分を
DVr V
1 p


R
Dt
r
 r
2
(6.59)
DV VrV
1 p



Dt
r
r 
(6.60)
(6.61)
DVz
1 p

Z
Dt
 z
ここで実質微分は次式で与えられる。
D

 V 

  Vr

 Vz
Dt t
r r 
Z
2015/9/30
熱流体力学第6章
(6.62)
29
第6章 総合演習問題(その1)
1.断面積が一定のまっすぐな水平管内を,非圧縮性の理想流体が加速度αで流れるとき,管
軸方向の圧力の分布式を求めよ。ただし,重力の影響は無視できるものとする。
解答: p    x  const
2.鉛直軸(重力場)のまわりに,流体が一定角速度で回転しているとき,流体内の圧力分布を
求めよ。ただし,流体は非圧縮性で密度はとする。
  2r 2

p   
 gz   const
解答:
 2

3.一定の水平軸まわりに,流体が一定の角速度で回転している時,流体内の圧力分布を求
めよ。ただし,流体は非圧縮性で密度はとする。
  2r 2 2

2
ヒント: u  0, v  z, w  y ; x  Y  0, Z   g
解答: p    2 y  z   gz  const


4.静止流体の基礎方程式を,NS方程式またはオイラーの運動方程式から証明せよ。
5.速度成分がそれぞれ,u  Ax ;v   Ay で与えられるような非圧縮性2次元流れがある。らだしA
は定数。流体の密度をρとして,軸上の圧力分布を求めよ。ただし,質量力,粘性の影響
は無視できるものとし,原点における圧力は p0とする。
解答: p   1 A 2 ( x 2  y 2 )  p0
2
6.定常非圧縮性2次元流れで,x方向速度が u  Ay x 2  y 2  のとき, y方向速度vを連続の式
から求めよ。ただし, y  0 のとき v   A x とする。
2015/9/30
解答:
熱流体力学第6章
v
 Ax
x2  y2
30
第6章 総合演習問題(その2)
7.定常非圧縮性2次元流れで,原点から流体がわき出しているとき,半径方向速度を連続の
式から求めよ。ただし, r  R で,速度 Vr  U とする。
UR
解答:Vr  r
y
8.右図に示した,間隔Hの平行平板間を,
平板に平行な方向に非圧縮性ニュート
u
H
ン流体が層状に流れている。最大速度
u  u max
を umax として,速度分布を求めよ。ただ
し,流れの方向をx軸,平板に垂直な方
向をy軸とし,外力は無視できるものとする。
x
9.直交座標系における非定常3次元完全流体の運動方程式(オイラーの運動方程式)を円筒
座標 r , , z  で表せ。
10.番外問題
円筒座標系であらわされたオイラーの運動方程式(659)から(6.61)を実質微分を展開して書
2
き改めよ。 Vr
Vr V Vr
Vr V
1 p
t
解答:
2015/9/30
 Vr
r

r 
 Vz
z

r

 r
R
V
V V V
V V V
1 p
 Vr   
 Vz   r   

t
r
r 
z
r
r 
熱流体力学第6章
Vz
Vz V Vz
V
1 p
 Vr

 Vz z  
Z
t
z
r 
z
 z
31