第9章.年金と証券市場

第3章.資産運用と投資信託・年金
(4)年金の制度
• 年金:退職後の所得を保障するために、退職後
一定額を定期的に支給する制度
• 現役(掛金の支払い)→退職後(年金給付金の
受取り)
• 年金積立金の運用:将来の年金支払いに備え
て積み立てた資金を有利な形で運用
・わが国の年金制度の概要
みずほ総研『図解年金の仕組み』東洋経済新報社p.57
・年金基金は基本的に資金運用を外部の運用機関に委託する。
年金積立金管理運用独立法人(2006.4.から)
・
・信託銀行のシェア拡大、
生保への委託停止
日経金融新聞05.07.15
・企業年金の運用委託先
企業年金
連合会
○確定拠出型年金の導入
2001年10月:制度創設
06年6月 :1977社導入、204万人加入、残高2.5兆円
確定給付年金
拠出・給付 給付が確定
掛金運用 国・企業が運用
資金形成 公的年金:世代
間扶養
企業年金:合同
積立て
持ち分
不明確
ポータビリ 難しい
ティ
確定拠出年金
明確
容易
・拠出限度引上げ
及び
従業員による拠出
を認める制度
の要望が強い
久保知行『わかりやすい企業年金』日経文庫p.132
・加入者はあらかじめ決められた運用商品のメニュー
(3種類以上、元本確保商品を含む)の中から選んで
投資運用を行う。
みずほ総研『図解年金の仕組み』東洋経済新報社p.127
・確定拠出企業年金の運用商品のシェア
・
元本確保型商品
の割合が減少
企業年金連合会「確定拠出年金に関する実態調査」
(5)年金資金の運用
日本の年金資産構成:2005年
その他
16%
対外証券
投資
17%
財政投融
資預託金
19%
国債
23%
株式
21%
事業債
4%
・年金資産総額:338兆円、公的年金:221兆円、私的年金:118兆円
・日本の年金運用の特徴:財政投融資預託金(公的金融改革の中で廃止予定)、
日経金融
06.11.28.
アメリカの年金資産構成:2005
その他
23%
国債
3%
投資信託
18%
・年金資産総額:84100億ドル=967兆円
・アメリカの年金資産運用の特徴:
社債・証券
化商品
13%
株式
43%
日本証券
経済研究所
『アメリカの
証券市場』
2002年版
p.245
・アメリカでは
・2005年末残高:確定給付企業年金20561億ドル、
確定拠出企業年金 29069億ドル、
IRA(個人退職勘定、個人型確定拠出年金)36670億ドル
○年金は証券市場、特に株式市場で投資
家として重要な役割を果たしている。
○年金と株式市場:株式保有構造2005
日本
米国
・個人
20.7%
33.5%
・銀行
6.3
0.3
・事業法人
22.1
――
・保険
7.3
・年金
11.7
19.8
・投資信託
4.3
25.1
24.8
12.7
・外国人
7.5
・年金基金とコーポレートガバナンス
• 米国のカルパース(カリフォルニア州職員年
金基金)
– 経営改善を求める企業名をリストアップし公表、
経営不振企業の経営者解任、取締役の独立性、
財務・会計の透明性
– 1992:GMのCEOロジャー・ステンペルの解任
– 2004:ウォルト・ディズニーの会長兼CEOマイケ
ル・アイズナーの解任要求、アイズナーは会長を
辞任、翌年任期を残してCEOを辞任
・日本の年金基金も近年コーポレートガバナンス活動を開始
・企業年金連合会:2002年に議決権行使基準を策定
・株主総会での議決権行使(2005年度)
・企業年金連合会による企業買収防衛策への対応
・今後のコーポレートガバナンス活動:個別企業との対話を重視
・年金運用関連の参考文献
遠藤幸彦『ウォール街のダイナミズム』野村総合研究所1999
証券経営研究会『証券ビジネスの再構築』日本証券経済研究所2004