東京財団2008年度市区町村職員国内外研修プログラム 塩尻まち好きネット 研修講演会 2008年10月14日 塩尻市議会事務局 大村 一 本日のメニュー 1. はじめに (自己紹介・研修概要紹介) 日本の行政職員のイメージ・アメリカの行 政職員のイメージ 3. アメリカの市民活動と、行政への市民参加 4. 市民参加が、なぜ必要か? 2. 5. みなさん、私たち市の職員と何をしましょう か? 3.アメリカの市民活動と 行政への市民参加 • アメリカは日本に比べ「行政への市民参加が 盛ん」と言われています。 • 研修期間をすごしたポートランド市は、アメリ カの中でも特に市民参加が盛んと言われて います。 市民活動の事例1 シティ・リペア • シティ・リペアとは、地域コミュニティ支援のNPO。 • 様々な地域コミュニテイによる公共共有空間づく りの支援をしている。 • アメリカ(特に西海岸)の都市は軍事目的に作ら れた街であり碁盤の目の形がほとんど。 =地域住民が集まる場所がない⇒文化の創造が ない! • ある交差点での交通事故をきっかけに、交差点 に「公共共有空間」を市民が集まって作り始める。 市民活動の事例2 ビジョンPDX • ビジョンPDXとは、ポートランド市の将来像を市民が 共有するための取り組みとして市が行った計画づくり。 • 市の20年後の姿やそれを目指す方法について様々 な人々(人種)にアンケート(1万3000人)を行う。 ⇒ この計画づくりの当初からコミュニティを生かすことを 決め、人と資源(知識ノウハウなど)を集める目的が あった。 ⇒ また、政治がやることを市民にオープンにすることも 目的としていた。 市民活動の事例3 ビジョン・アクション・ネットワーク • ビジョン・アクション・ネットワークとは、ポートランド市の隣、 ワシントンカウンティ(郡)が、急速な社会変化、多様な市 民ニーズへの対応するため、行政や民間が一体となって 問題解決するための計画機関(NPO)。 • 8つの分野(住居、高齢・障害者、健康、マイノリティ(人種 問題)、経済、教育、環境、医療)で問題解決の場を提供 するための行政と住民の中間支援組織。 • 「住民から意見を聞き→計画を立て→実行する」というシン プルな方法で活動している(スタッフ数3人) ⇒ 物事の解決にコミュニティを使い、成功している。 ⇒ 結果までの過程を大事にし、良い結果(新しい組織の立 ち上げなど)があれば、使命は終了。 市民活動の事例4 防犯の取り組み • アメリカは犯罪が多い。ポートランド市は比較的治安が良 いといわれているが、防犯はアメリカにとって最重要といっ てよい街の課題である。 • ポートランド市では、行政が市民の中に入り、95ある自治 会(ネイバーフット)へ出向いて活動している。 • 住民代表と警察・公安との会議を毎月開く。 • パトロールをしたり、電話・メールで意見を聞いている。 • アパートの管理人への個別指導や防犯セミナーの開催 ⇒ とにかく何度も足を運び、市民の意見を聞いている。 ⇒ 犯罪の起こりにくい環境デザインを考え、提案している。 市民活動の事例5 ボーイズ・アンド・ガールズクラブ • ボーイズ・アンド・ガールズクラブとは、アメリカ版の児童館 児童クラブのようなもの。 • 年会費は5ドル(600円程度)で6歳から18歳までを対象 として、会員数は市内で1300人いる。 • 全米にあり、リーダーシップの育成、職業訓練、芸術、ス ポーツなどのプログラムを提供し、そのための施設(体育 館、アトリエ、パソコンルームが備わっている • 多くを市民、企業からの寄付によって運営(民間とのパー トナーシップ)。 ※ 特別な施設として「識字率向上センター」がある。 アメリカでは6、7年生の読む力が落ちている(読み書き の遅れ 全米で約20%の子どもという研究結果もある) 日本の地方自治体の現状と問題 • これまでの中央集権から地方分権推進による地方の 責任と役割の増加 • 国からの交付金や補助金の削減による、地方自治体 の財政難 • 住民ニーズの多様化 • 少子高齢化 問題⇒ 中央集権の長い歴史による地方自治体職員の 依存体質 問題⇒ リスク回避による業務の前例踏襲、横並び主義 問題⇒ 長期的な視点で政策が考えられていない なぜこのような問題が起きているのか ①行政が市民参加の機会を設けていない ②市民と行政、行政職員同士や市民同士の 対話が行われていない ③職員の気付き・論理的な考え方が行えてい ない(柔軟な思考がない) 研修生の考える、日本の自治体の問題の中核 “行政の意思決定が適切に行われていない” 地方自治体の解決策 • “行政の意思決定が適切に行われていない” ⇒これを解決する方法として次の3点である ①行政が市民参加の機会を増やす ②対話を増やす ③職員の気付き・論理的な考え方(柔軟な思 考)が行えるようにする。 市民参加 市民参加が不十分なことで生じる問題 ・行政の取組みが効果的に機能しない ・市民からの苦情の増加 等 地方分権が進む中、市民ニーズに対応でき ず、市民生活の向上が図れない 市民参加 市民参加に関して研修で学んだこと • プロジェクト・マネジメントは、人的要素への配慮が 重要 • 市民参加の利点は、現場の問題やその解決策を集 めることが可能 • ステークホルダー分析と参加選択ツールなど • 市民参加こそが行政の正当性を担保する • 市民参加により市民のオーナーシップが高まるとと もに、プロジェクトの持続可能性が高まること 市民参加 学んだことをどう活かすか ・市民の集まりに入っていき、市民の声を聴く ・市民とのインフォーマルな形での意見交換 ・プロジェクトの最初から市民の意見を聴く ・市民に対して役割と責任を明確に説明する ・行政が市民と対等な関係を築いていく ・仲間をつくりながら、できる範囲で成功事例を 積み上げていく それではみなさん 私たち市の職員と何をしますか? • これからの行政は、きっと変わります。 • でも行政が変わるだけでは意味がありません。 行政職員の意識や、より多くの市民の意識が 変わることが必要だと考えます。 • そのために皆さんは何をしますか?何ができ るのでしょうか? • それを市民と一緒に考えることが、これから の市の職員の役割だと私は思います。 ご清聴ありがとうございました • 本日の内容は、約半年間の研修の一部です。 • 参加した研修生は、今もそれぞれの自治体で研究を 続けています。 • 今後も多くのご質問、ご意見をいただきたいと考えま す。いつでもご連絡ください。 大村 一 TEL:0263-52-0280(塩尻市役所(代表)) FAX:0263-52-3969(塩尻市議会事務局直通) E-mail:[email protected](職場) [email protected](個人) <資料作成協力>TKFD-5
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