脳卒中片麻痺の筋緊張異常の捉え方

脳卒中片麻痺の筋緊張異常の捉え方
内容
① 筋緊張の概念についての復習
②脳卒中における筋緊張異常の分類について
③ 分類された各項目の詳細について
④ 理学療法の中でどのように筋緊張異常に
アプローチするか
筋緊張
●他動的関節運動時の抵抗をいう
痙縮
錐体路障害
固縮
錐体外路障害
亢進
筋緊張
低下
・小脳障害
・末梢神経障害
※ 病変部位の診断として重要
脳卒中における筋緊張異常の分類
①痙縮
筋緊張異常
②筋自体の硬さ
②動作時筋緊張
※臨床では「痙性が強い」という言葉でまとめられるが、
筋緊張異常を3つに細分化して捉えるべき
①痙縮
●腱反射の亢進を伴った、速度依存性の緊張性伸張反射
の亢進
原因・・・ Γ運動ニューロン活動亢進、筋紡錘受容器の感受性上昇、シナプス
前抑制の減少、Ⅰa群線維の発芽減少、シナプス後膜の感受性増大
α運動ニューロンへの興奮入力増大、α運動ニューロンへの抑制入力
減少など
評価・・MAS、振り子試験、腱反射、電気生理学的検査など
※歩行障害に痙縮は関与しない
→伸張反射が出現しているわけではない
筋自体の硬さ
●筋の収縮要素(アクチン、ミオシン)、弾性要素(筋、筋膜、
腱)の変化
他動関節運動時の抵抗
=筋活動(反射性)+筋自体の硬さ(非反射性)
MASの解釈に注意
動作時筋緊張
●広義の連合反応
→他部位の随意運動で、別の部位が無意識に
働く不随意運動
全般性
いわゆる痙性
連合反応
影響する因子
横側性
狭義の連合反応
協調性
協同運動
姿勢
安定性
動作時筋緊張
努力量
各要素間の関連性について
痙縮(伸張反射亢進)
×
筋の硬さ(伸張性の低下)
×
○
動作時筋緊張
※3つの要素の関連は低く、それぞれ独立している
理学療法について
理学療法では、ADLや動作能力の向上が目的
動作能力の制限として筋緊張異常をとらえることが必要
3つの要素のうち痙縮は歩行障害に関与しない
理学療法では痙縮よりも、筋自体の硬さ、動作時
筋緊張に対してアプローチする方が効果的?
持続的ストレッチについて
ストレッチ
筋の硬さの改善○
×
α運動ニューロンの興奮抑制○
動作時筋緊張改善×
動作が引き金となりα運動ニューロン
が興奮
動作時筋緊張に対して
動作時筋緊張は、努力量によって連合反応の
波及量が変化する。
・安定性を高めること(杖、歩行器など)で波及量は
減少する。
・筋力が増強すれば、同様の運動においても、相対的
努力量が低下する。
まとめ
・筋緊張は、広い概念でとらえるのではなく、3つの
要素に細分化してとらえることが重要
・特に動作時筋緊張が理学療法にとって重要
・今後は動作時筋緊張の標準的な評価方法が
確立される必要がある