講義内容とアンケート集計結果について

2014 年度 神奈川県立こども医療センター理学療法・作業療法研修会
「脳性麻痺児の整形外科的手術と手術前後のリハビリテーションについて」
公開講座 講義内容 要約
1.神奈川県立こども医療センター
整形外科医師
中村
直行
氏
「小児整形外科医も悩む神経性側弯症」
乳幼児期、学童期に発症した進行性側弯は放置すると ADL や生命予後に影響する。
重症心身障害児の死因の 62%は肺炎。脊柱側弯症進行の影響が少なからずある。
神経筋性側弯症に対する手術治療の意義は進行の防止、座位姿勢の維持、呼吸機能の改善、消化・
排泄機能に好影響。
手術による QOL の改善は大きく、タイミングよく手術を行うことが成功の鍵。
脊柱側弯進行予防のためのプレーリーくん装具は側弯角度が軽度なうちに装着することが望ましい。
2.南多摩整形外科病院
整形外科医師
松尾
篤
氏
「脳性麻痺者に対する整形外科的選択的痙性コントロール手術」
仮説
筋腹の長い多関節筋は過緊張により変形を引き起こす
筋腹の短い単関節筋は関節の安定に働く
整形外科的選択的痙性コントロール手術は多関節筋群を選択的に解離し、筋緊張、痙性を減弱させ
る。単関節筋を温存し、多関節筋の緊張により抑制されていた単関節筋の機能を腑活化させる。
選択の順番は基本的には中枢関節から。足関節より股関節や膝関節。手関節より肩関節や肘関節。
中枢の手術で末梢の動きに変化が出る。
3.東京工科大学
医療保健学部
「痙性麻痺患者の評価
助教
楠本
泰士
氏
手術適応の状態や時期について」
整形外科的選択的痙性コントロール手術を中枢関節に施行した場合、再発の可能性が低く、脳の可
塑性の高い 6~7 歳頃までに施行するとより効果が高いと考えている。
末梢関節の方は術式が多種多様で、特に成長期にある小児では再発や新たな変形の出現も考え、慎
重に行う必要がある。
手術後のリハビリテーションは手術によるデメリットを最小限にし、単関節筋の活動を促すことや
アライメントの変化を予測したトレーニングが重要。
2014 年度 神奈川県立こども医療センター理学療法・作業療法研修会
公開講座 申し込み時アンケート集計結果の抜粋
回答数 45
1. 職場の形態
PT
療育センター
17
地域通園教室
4
病院
5
訪問看護ST
2
特別支援学校
5
その他
9
OT
その他
1
1
3
3. 頻度実施合計
1/w
1/2w
1/3w
1/4w
その他
GMFCSⅠ
6
6
2
12
11
GMFCSⅡ
8
11
2
7
8
GMFCSⅢ
12
14
3
7
8
GMFCSⅣ
16
11
3
8
8
GMFCSⅤ
18
12
3
10
8
初回
半年ごと
1年ごと
不定期
しない
ROM-T
15
7
3
24
1
MMT
5
2
1
11
10
GMFCS
8
0
1
13
4
GMFM
1
0
1
4
15
PEDI
1
0
0
6
15
SMTCP
0
0
0
1
1
反応の変化記載
0
1
0
0
0
Gold Smith Index
0
0
1
0
1
LIFE
1
0
0
0
0
4-2. 評価状況合計
写真・ビデオ撮影
あり
必要時のみ
なし
3
30
11
2014 年度神奈川県立こども医療センター理学療法・作業療法研修会
公開講座、グループディスカッション終了後アンケート集計結果抜粋 回答数 43
1.今回の公開講座を何でお知りになりましたか。あてはまるものを丸で囲んで下さい。
8人
神奈川県立こども医療センターホームページ
神奈川県理学療法士会ホームページ
14 人
32%
神奈川県作業療法士会ホームページ
1人
2%
神奈川療育連絡会メーリングリスト
11 人
26%
その他[PT県士会広報誌] 4 人
その他[知人の紹介]
5人
19%
9%
12%
2.今回のセミナー内容について、あてはまるものを丸で囲んで下さい。
非常に良かった
22 人
54%
良かった
18 人
44%
普通
1人
2%
あまり良くなかった
良くなかった
0人
0人
0%
0%
3.今回の公開講座(講演)で、あなたは何を学びましたか。
・PT として利用者へ伝えていく内容(評価の結果)をよりしっかりしたものにしないと他機関につなげ
ていけない。
・手術適応の考え方、適応、年齢・リスクなどを知ることができた。
・OSSCS(整形外科的選択的痙性コントロール手術)について適応を含め詳しく学べた。
・タイミングをのがさないために日常の評価が大事だということがわかった。
・CP 児の理学療法には、整形外科的な治療が大きく関わり、タイミングにも大きく影響することが分か
った。
・手術も子どもたちのための選択肢にしっかり組み込めるよう情報を得なければならないと感じた。
・手術のタイミングの大切さ、キーパーソンを中心とした情報の共有
・医師や地域・病院のセラピストとの連携の重要性
・骨年齢について
・術後の経過等について考えることができた。
・母と情報を共有することの大切さ
・今を乗り切る手術ではなく、予後をみすえた手術についての意図などを学べた。
・筋の解離・切離手術は屈筋・伸筋のバランスを考えて行うこと。
4.今回の公開講座の内容を、今後の仕事にどのように取り入れますか。
・手術の時期を逃さないよう定期的に評価を行い、経年的に変化をとらえていく。
・手術の必要性を考慮しながら日々の評価を丁寧に施行したい。
・病院の紹介のタイミングをのがさないようにしたい。
・手術前後の子どもたちの小さな変化・違和感に気づけるようにしたい。
・保護者・医療従事者・地域の医療機関・施設との連携を深めて情報共有していく。
・グループディスカッションで知り合った人たちとのつながりを活かしたい。
・保護者の方に現在、地域でのサービス内容について実感をもって説明ができる。
・手術のメリット・デメリットやタイミングの重要性を親御さんに情報として伝えていく。
・相談支援事業と絡めて訪問をしていきたい。
・手術を利用者の治療法の選択肢として提示できる。
5.公開講座の感想や意見
・講演を聞くだけではなく、午後の参加型グループワークは多くの人と顔見知りになれて情報交換でき
てよかった。
・とても学ぶことが多く、非常によかった。症例の提示やグループディスカッションによって今後どう
臨床に活かしていくべきか考えることができた。
・ボトックスをやった筋は変性している場合があるとの説明があったが、後遺症はないと思っていたの
で参考になった。
・医療的な判断が必要な患児の観察をどのように行うか?技能的なものを見て行く医療と、長期的なく
らしを見ていく地域の役割分担が明確になってきているのを感じる。共通の理解を構築していくため
に目的と役割を互いに話し合えるとよい。
・診療情報提供書の活用など、母を通して母の理解以上の情報が伝達できる仕組みがあるといい。
・側弯の手術は非常に大がかりでリスクも大きいが、生命予後への貢献が高いとわかった。
・整形など数値化しているものに関しての情報提供がほしい。医師の変更も多々あり、再診時に医師と
親御さんとでする確認内容を予め決めておくことも必要かと思う。
・地域に手術後の情報提供書をいただきありがたいのですが、逆に地域からその後の報告をどうしたも
のか迷っている。書面作成は時間的にきついので電話でもよいか。
・お母さんに「医療情報をもらってきて下さい。」と伝えると「お金がかかりますか?」と質問される。
どんな医療情報がどれくらいかかるのか情報がほしい。
2014 年度
神奈川県立こども医療センター理学療法・作業療法研修会
「脳性麻痺児の整形外科的手術と手術前後のリハビリテーションについて」公開講座の
申し込み時アンケートと、グループディスカッションでの多様な意見交換、
終了後アンケートにご協力いただきましてありがとうございました。
多くの意見を参考にし、今後も関連施設職員で情報交換し、連携を深めたいと思っています。
神奈川県立こども医療センター
理学療法室・作業療法室