物理システム工学科3年次 「物性工学概論」 第6回半導体と光(3) ー光る半導体ー 物理システム工学科量子機能工学分野 佐藤勝昭 半導体の反射 • シリコンの反射、ゲルマニウムの反射 • 金属の反射と半導体の反射の違いはあるのか • 自由電子の運動による電子分極:Drudeの法則 量子的描像:バンド内遷移(intraband transition) • 束縛電子の運動による電子分極:Lorentzの法則 量子的描像:バンド間遷移(interband transition) • 反射率R={(n-1)2+2}/{(n+1)2+2} nが大きくても が大きくてもRは大きくなる 束縛電子による電子分極 md2u/dt2+(m/)du/dt+m02u=-eE u, Eにexp(-it)型の時間依存性を仮定 -2u -i(m/)u+ 02u=-eE u=-eE/(02-2-i/) P=-Neu=Ne2E/(02-2-i/) D=0E+P= 0E+ Ne2E/(02-2-i/) = {1+Ne2/0 (02-2-i/)}0E= rE • r=1+Ne2/0 (02-2-i/) • • • • • • Lorentz型の分散曲線 • r=1+Ne2/m0 (02-2-i/) • 0:r () 1+Ne2/m0 02 • :r() 1 • 実数部は分散型 • 虚数部は吸収型 虚数部 実数部 復習:自由電子による電子分極 • • • • • • md2u/dt2+(m/)du/dt=-eE u=eE/(2+i /) P=-Neu=-Ne2E/m(2+i /) r=1-(Ne2/m0){1/ (2+i /)} Drudeの分散曲線 実数部:負 シリコンの金属光沢 半導体の反射色 シリコン ゲルマニウム 可視光領域 反射スペクトルのピーク • シリコンやゲルマニウム はバンドギャップ付近の 光子エネルギーに対して は間接遷移であるが、バ ンドギャップより高いエネ ルギーでは、k空間の広 い範囲にわたって直接遷 移である。これが高い屈 折率→反射率をもたらす 金色の半導体 黄鉄鉱(パイライトFeS2)を例に research.kahaku.go.jp/geology/ sakurai/033.GIF staff.aist.go.jp/takumi-sato/ koubut/ryuka/B018.jpg なぜ金ぴか? 赤から緑の波長域にある強い 吸収が原因 パイライトの反射スペクトルとバンド構造 FeS2 半導体 反磁性 CoS2 金属 強磁性 NiS2 半導体 反強磁性 半導体からの発光 • 基底状態から何らかの形で励起状態に遷 移が起きたとき、基底状態に戻るときに、熱 や光の形でエネルギーを放出する。光を放 出する減少をルミネセンスという。 • 光で励起:フォトルミネセンス(PL) • 電界で励起:エレクトロルミネセンス(EL) • キャリア注入で励起:発光ダイオード(LED) • 電子線で励起:カソードルミネセンス(CL) フォトルミネセンス • 光子(h>Eg)入射 • 価電子帯から伝導帯 へ電子が遷移 • 伝導帯に電子、価電 子帯にホール生成 • 電子、ホールが移動 • 再結合してエネルギー 差を光子として放出 伝導帯 価電子帯 さまざまな発光過程 伝導帯 • バンド間遷移 • バンド・不純物準位間遷移 価電子帯 伝導帯 伝導帯 価電子帯 価電子帯 伝導帯→アクセプター ドナー→価電子帯 ドナーアクセプター対遷移 • ドナーに捉えられ た電子とアクセプ ターに捉えられた ホールとの再結合 伝導帯 価電子帯 プラズマディスプレイ • 微小電極間で放電 →気体原子が励起 →紫外線を放出 →蛍光体を励起 →可視光発光 ハイビジョン用 102cm(42型) 富士通日立プラズマディスプレイ㈱のHPより • 予備放電→書き込み放電→維持 放電→消去放電 • カラーPDPの原理は蛍光灯とよく 似ており、極小の蛍光ランプが無 数に並んで1枚の画面を作ってい る、そんなイメージです。 NECプラズマディスプレイ㈱のHPより 無機エレクトロルミネセンス • • • • • 電子が電界により絶縁体/ZnS界面から放出される 電界で加速されホットエレクトロンとして移動 ホットエレクトロンがMnなど発光中心に衝突 発光中心の電子系が励起される 励起状態が放射遷移 ZnS:Mnの発光(結晶場遷移) • ZnS:Mnの発光は、 Mn2+イオンの3d5多電 子系における励起状態 4T から基底状態6A へ 1 1 のd-d遷移による。 • このような遷移を結晶場 遷移または配位子場遷 移とよぶ。 • 1電子系のバンド図では 説明できない 基底状態 励起状態 4T 2 4T 1 4A 1 有機エレクトロルミネセンス • 有機ELは、有機発光層を金属電極と透明電極ではさん だ構造をとっている。 • 金属電極と透明電極との間に電圧を加えると、有機分子 上を電荷が対向電極に向かって移動する。この移動中 に、ホールと電子が出会うと、有機発光層の中で再結合 し、この時エネルギーを放出する。このエネルギーによっ て有機発光層が発光する。 光産業技術振興協会のHPより FED(電界放出型ディスプレイ) • 真空中において電極から 電子を電界放出 • 低速電子線が対抗電極 上の蛍光体を励起 • カーボンナノチューブを 電極に用いたFEDが有 望 光産業技術協会HP pixtech社(2002.6破綻) 各種ディスプレイの比較 光産業技術協会 のHPより 発光ダイオード(LED)と半導体レーザ (LD) 三洋赤色LD 日亜 青色LED 三洋青色LD 日亜 電球色LED 日亜化学青紫LD 交通信号機が変わった 半導体pn接合 E P形 N形 P形とN形を接合するとキャリア拡散が起きる - + + + + 拡散電位差 + 拡散電位差 LEDの原理 • • • • pn接合を順バイアス 電子は、p層に注入 ホールはn層に注入 界面付近で再結合 p型 再結合 - + + + + n型 空間電荷層 ミニテストについて • • • • 指定に従って着席する 学生証を机の上に提示 参考書1冊持ち込み可 カンペA41枚持ち込み可: – コピー・ワープロ不可 – 自筆に限る。記名して必ず提出。 • 電卓持ち込み可 • 式の誘導はDrude則のみ • 基礎知識と物理的思考を問う問題を出題
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