電気電子工学概論 電子回路の応用1

電気電子工学概論
電子回路の応用1
教科書 5・2,6・2
半導体の復習
Si
∼n形半導体∼
伝導帯
ドナー準位
Si
As
Si
Si
禁制帯
価電子帯
半導体の復習
Si
Si
B
∼p形半導体∼
伝導帯
Si
禁制帯
アクセプタ準位
Si
価電子帯
pn接合
∼空乏層と拡散電位∼
p形半導体とn形半導体を
くっつけると
p形半導体
n形半導体
n形半導体
空乏層(空間電荷層)の形成
内部電界(拡散電位)の発生
p形半導体
n形半導体
拡散によるキャリアの移動
内部電界
内部電界が
キャリアの拡散を止める
pn接合
∼整流性∼
pn接合に電圧をかけると
+
p形半導体
−
n形半導体
正孔
電子
電流
p→+, n→-:電流が流れる
(順方向)
p→-, n→+:電流が流れない
(逆方向)
−
+
電子
正孔
電流
pn接合
∼電流-電圧(I-V)特性∼
順方向・・・内部電界(拡散電位)を打ち消すように電圧
を印加するため電流が流れやすい。
逆方向・・・ごくわずかの電流が流れる。
電流
拡散電流の式
⎧ ⎛ qV ⎞ ⎫
I = I S ⎨exp⎜
⎟ − 1⎬
⎩ ⎝ kT ⎠ ⎭
IS:飽和電流、q:電子の電荷
k:ボルツマン定数、T:温度
電圧
pn接合
∼バラクタダイオード∼
pn接合面は正負電荷が対面した高抵抗層(空乏層)
→電極を対向させたコンデンサCや
拡散電位φ0の電池のように働く。
容量
拡散容量(空乏層容量)の式
dQ
qεN A N D
1
C=
=
dV
2( N A + N D ) φ0 − V
ε:半導体の誘電率、q:電子の電荷
NA:アクセプタ密度、ND:ドナー密度
Cの値は印加電圧Vによって変化する。
電圧
pn接合
∼降伏電圧∼
pn接合の逆方向電圧(負電圧)
を大きくしていき-VBになると、
電流
・急激に電流が増大
・やがて電圧を下げても電流が
増加し続ける。
・絶縁物の絶縁破壊と同じ
ような現象。
・温度が上昇し、pn接合は
焼損する。
-VB
電圧
pn接合
∼ツェナダイオード∼
電流
不純物(アクセプタとドナー)の
量を多くしたp+n+接合では、
・電圧-VZで電流が急激に増大。
・空乏層幅が非常に狭くなり、
キャリアが空乏層をトンネル。
-VB
-VZ
・温度上昇による破壊が起こら
ない程度の電流であれば、電
圧を下げれば元の特性に戻る。
定電圧ダイオードとも呼ばれ、
電子回路では、一定電圧を保持するのに利用
電圧
発光ダイオード
∼発光機構∼
伝導帯の電子と価電子帯の
正孔が再結合すると、
伝導電子 伝導帯
光
電子はエネルギーEgを放出
エネルギーEgの光を発光
E g = hν = h
c
λ
h:プランク定数、ν:光の振動数
λ:光の波長、c:光速
Eg
正孔
禁制帯
価電子帯
発光ダイオード
∼pn接合での発光∼
光
pn接合に順方向電圧を加えると、
pn接合に電流が流れる。
電子:n形からp形へ
正孔:p形からn形へ
接合付近で電子と正孔が再結合
→接合付近から発光
光の波長λは
p
n
+
−
正孔
電子
再結合
発光ダイオード
∼2重へテロ構造∼
ヘテロ接合・・・異種材料の接合
2重ヘテロ接合に順方向電圧を加えると、
GaAs層で電子と正孔が再結合
n層から注入された電子はヘテロ接合の障壁により
p形AlGaAsへ拡散できない
→GaAs層で強い発光
AlxGa1-xAs GaAs AlyGa1-yAs
p
p n
光
+
正孔
電子
再結合
リング電極
発光面
フォトダイオード
∼光起電力∼
pn接合に光(エネルギーE≧Eg)を照射すると、
・電子-正孔対が生成
・内部電界により電子はn形へ、正孔はp形へ移動
→ドリフト
・n形がー極、p形が+極→光起電力
光
p
伝導電子 伝導帯
光
Eg
正孔
禁制帯
価電子帯
内部電界
+
n
−
正孔
電子
フォトダイオード
∼pin PDとAPD∼
pinフォトダイオード・・・暗電流が少ない。
暗電流・・・光の入射がない状態での電流。
光検出の感度の低下をもたらす。
アバランシェフォトダイオード(APD)
・・・感度を上げるため、バイアス電圧を上げて
アバランシェ増倍作用を利用
アバランシェ増倍作用(電子なだれ)
・・・大きなバイアス電圧のもと、電子が加速され、
原子と衝突し複数の電子を弾き出す。この繰
返しにより電子が増える。
金属・半導体接合
∼ショットキー接合∼
ショットキー障壁ダイオード
・・・金属と半導体が接触して整流性を持つ接合
n形半導体の伝導電子のエネルギーφSが金属
の伝導電子のエネルギーφMより高い場合
金属
n形半導体
エネルギーの低いほうへ
電子が移動
空乏層(空間電荷層)の形成
内部電界(拡散電位)の発生
内部電界
内部電界が電子の移動を止める
金属・半導体接合
∼整流性∼
ショットキー障壁ダイオードに電圧をかけると
金属
n形半導体
金属→+:電流が流れる(順方向)
金属→-:電流が流れない(逆方向)
電流
電流
−
+
電子
+
−
電子
金属・半導体接合
∼オーム性接合∼
金属の伝導電子のエネルギーφMがn形半導体
の伝導電子のエネルギーφSより高い場合
電流
・金属から半導体へ(エネルギーの
低いほうへ)移動。
オーム性
・半導体に空乏層は形成されず障壁
は生じない。
→オーム性接合(オーミック接合)
電流は電圧に比例
(オームの法則が成立)
ショットキー
電圧
整流回路
∼半波整流∼
整流回路・・・交流を直流に変換する回路
+
v1が正の場合
ダイオード
i
v1 ∼
RL
-
v1
t
-
入力電圧
v1 ∼
v1が負の場合
ダイオードは順方向
i
t
ダイオード
出力電流
RL
+
ダイオードは逆方向
整流回路
∼全波整流∼
+
v1が正の場合
D1
v1 ∼
RL
-
v1
D2
D1は順方向
D2は逆方向
i
t
t
入力電圧
-
D1
v1 ∼
v1が負の場合
出力電流
RL
+
D2
D1は逆方向
D2は順方向
整流回路
∼平滑回路∼
平滑回路・・・脈動波(リップル)を平均化する回路
大きなコンデンサCを負荷RLと並列
に接続しRC回路の過渡現象を利用
i
i
v1 ∼
C
RL
i
v1 ∼
C
RL
i
t
出力電流
t
出力電流