2m電波望遠鏡の製作と 中性水素21cm線の検出

2m電波望遠鏡の製作と
中性水素21cm線の検出
國安 正志
動機
自作した装置で宇宙を観測できないか?
地球上から大気の影響をあまり受けずに観測できるのは
可視光,電波の一部
→まだアマチュアではあまり観測されていない宇宙電波を
観測したい
観測できそうな宇宙電波の種類
銀河電波 短波帯で銀河面に沿って強く放射される
シンクロトロン放射により説明される
一昨年30MHz程度で観測し発表されている
強度が弱く観測は困難だが,輝線スペクトルなので銀河
太陽電波
高い周波数になるほど強く放射される
系の構造や質量分布がわかり,銀河を真上から見たイメ
放射機構は黒体放射
ージやダークマターの存在がわかる
たまにバーストと呼ばれる現象が起き太陽活
動の様子がわかる
原子輝線 水素原子が発する波長21cmの電波
観測装置
2mパラボラアンテナ
初段アンプ(GaAsHEMT)
受信機(アマチュア無線機)
変換器
記録装置
観測装置の製作
アンテナのパラメータ
•周波数 1.42GHz
•F/D(焦点,口径比) 0.5
•利得 26.47db
•分解能 半値角9.61°
•偏波 円偏波(左旋偏波)
12mmのアルミパイプ12本を放物線状に曲げ,2m
のリングで結び金網を貼ることで反射鏡を形成
受信機の周波数を変化させることで分光器に対応
観測結果
アンテナを赤経23h03min・赤緯28°に向け観測
同じ領域をスペクトラムアナライザーで追観測
周波数を20kHz間隔で1420.3~0.4まで分光
周波数に直して1420.360MHzで電波強度が上昇
power(dbm)
21cmline
8.00E+00
7.00E+00
6.00E+00
5.00E+00
4.00E+00
3.00E+00
2.00E+00
1.00E+00
0.00E+00
14:44:1 14:45:3 14:47:0 14:48:2 14:49:5 14:51:2
0
6
2
9
5
2
time
系列1
本格的な観測に向けて
•ビームパターンなど電波望遠鏡の特性調査
•R-SKY法による電波強度の見積もり
4月中にはこれらの調査を行い,いよいよ本観測へ
考えられる観測内容
掃天観測→視野が広く解像度が悪いことを利用して,おおざ
っぱに全天を観測
銀河系の構造,ダークマターの分布のあらまし
その他,近傍分子雲の観測など