第8回 古典物理学の破綻 ・黒体放射 ・原子スペクトル 今日の目標 1.黒体の意味を説明できること 2.黒体放射のスペクトルをPlanckの輻射式発見の過程を通して 説明できること 3.原子スペクトルの特徴を示し、古典物理学的な原子模型で 説明できない点を考察すること 黒体放射 全ての波長の光を吸収する 全ての波長の光を放射する 黒体 温度Tで熱平衡状態 空洞放射 分光器と カロリーメーター 溶鉱炉での観測結果 T=1000K T=1500K T=3000K λmT=3000°K 6.00E+03 エネルギー密度 T=2000K 考察 1.波長が500nm以下の光は ほとんど出ていない 5.00E+03 2.中間にピークがあり長波長 でなだらかに減少する 可 視 光 4.00E+03 3.00E+03 2.00E+03 1.00E+03 0.00E+00 0 1000 2000 3000 波長(nm) 4000 5000 λ λ 3.ピークの位置は炉の温度 に依存している λm T = 2.898×10-3 m・K Wienの法則(1893) 4.放射される全エネルギーは温度の4乗に比例する ∫I(λ,T) dλ = σT4 ;Stefan-Boltzmanの法則 = 5.67 ×10-8 W/m2・K4 エネルギー密度 Wienの輻射式(1896) 光の粒子性(古典粒子) Maxwell-Boltzmann分布 8πhc exp(-hc/λkT) λ5 波長の短い所で合う I(λ,T) = Rayleigh-Jeansの輻射式(1900) 光の波動性(電磁波動) 振動子のエネルギー等分配則 T=1000℃ T=1500℃ T=2000℃ 8πkT λ4 波長の長い所で合う I(λ,T) = T=3000℃ エネルギー密度 6.00E+03 5.00E+03 中間で合わない ? 4.00E+03 3.00E+03 2.00E+03 1.00E+03 0.00E+00 0 1000 2000 3000 波長(nm) 4000 5000 c 黒体から放射される光の エネルギーはhνの整数倍 エネルギーは不連続 ε= hν:振動数νの光子1個 のエネルギー 和:Σ εn=nhν 理想気体の分子運動 数学公式集 T=1000゚K T=1500゚K T=2000゚K Planckの輻射式(1901) T=3000゚K エネルギー密度 6.00E+03 I(λ,T) = 8πhc λ5 5.00E+03 4.00E+03 3.00E+03 2.00E+03 1.00E+03 0.00E+00 0 エネルギー密度 T=1000 1000 2000 3000 波長(nm) T=3000 T=4000 4000 T=5000 5000 1 exp(hc/λkT) - 1 h = 6.626×10-34J・s Planck定数 T=6000 1.80E-15 1.60E-15 1.40E-15 1.20E-15 1.00E-15 8.00E-16 6.00E-16 4.00E-16 2.00E-16 0.00E+00 I(ν,T) 3 1 8πhν = c3 exp(hν/kT) - 1 0 500 1000 1500 2000 2500 振動数(×10^12 1/s) 3000 3500 原子スペクトル G.R.Kirchhoff & R.W.Bunsenの実験(1859) スリット プリズム 放電管 10-3~10mmHg 異なる原子 原子スペクトルは原子に特有な配列を持つ 水素原子のスペクトル Hα=656.21nm Hβ=486.07nm Hγ=434.01nm Hδ=410.12nm バルマー系列(J.J.Balmer,1885) 規則性 λ = λn m2 m2 - n2 (n=2, m=3,4,5,6,・・・) 波長(nm) 4000 3500 3000 Lyman 1500 Paschen n=1 n=2 n=3 1000 Bracket n=4 2500 Balmer 2000 500 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 m 1 =R λ 1 n2 1 m2 n=1,2,3,・・・ m=n+1,n+2,n+3,・・・ Rydberg定数:10973731.77 m-1 Rutherfordの原子模型(1911) 電子 核 10-12cm 10-8cm 古典物理学では 1.電子が円運動すると 電磁波を放射し、運動 エネルギーを失う。 (原子核と電子は 一体になる) 2.原子スペクトルは 連続である。 矛盾 演習 1. Planckの輻射式が波長の短いところでWienの輻射式を 満たしていることを確かめなさい。 2. Planckの輻射式が波長の長いところでRayleigh-Jeansの 輻射式を満たしていることを確かめなさい。 今日の用語 黒体、黒体放射、空洞放射、熱平衡状態、分光器、光の波長、 カロリーメーター、可視光、エネルギー密度、 Wienの法則、 Stefan-Boltzmanの法則、Wienの輻射式、 Maxwell-Boltzman分布、 Rayleigh-Jeansの輻射式、振動子のエネルギー等分配則、 光子1個のエネルギー、 Planckの輻射式、原子スペクトル、 ライマン系列、バルマー系列、パッシェン系列、ブラケット系列、 Rydberg定数 戻り 和田義親 [email protected] 講義のページへ戻る 和田のホームへ戻る 明薬のホームへ戻る
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