堆積学

堆 積 学
Sedimentology (& Stratigraphy)
地球惑星科学科2年目講義(選択2単位)
レジュメ
Sedimentology & Stratigraphy
Ⅶ.地質系統区分
- time-stratigraphic unitと地層(群)の記述ロジック
・年代層序ユニット(Time-Stratigraphic Unit):
もともと,地質年代区分は地層同定の法則を用いた“相対年代”を全地球的に
構築することから始まったので,年代(抽象概念)とそれを代表する地層(具
象概念)との間には,切っても切れない関係が存在する.
例)地質年代の名前 -現在使用されている地質年代名の多くは,その年代を
決める基礎となった地層(の研究が行われた土地)の名前に由来している.デ
ボン紀・ジュラ紀...など.
『年代層序ユニット』は,抽象・具象,両者の概念を兼ね備えたものである.
ある特定のローカルセクションを構成する地層は,全地球的な年代層序ユニッ
トのどれか(=一般名詞)に“所属する”ことになる.
Sedimentology & Stratigraphy
年代層序ユニットの区分法 -統階区分
地質年代
年代層序ユニット
代(Era)
界(Erathem)
紀(Period)
系(System)
世(Epoch)
統(Series)
期(Age)
階(Stage)
時(Phase)
--
表現例)
地質年代: 新生代新第三紀中新世アキテーヌ期
Cenozoic Era: Neogene Period: Miocene Epoch: Aquitanian Age
年代層序ユニット: 新生界新第三系中新統アキテーヌ階
Cenozoic Erathem: Neogene System: Miocene Series: Aquitanian Stage
* 年代名と層序区分名がほとんど1:1で対応していることに注意.
Sedimentology & Stratigraphy
・岩相層序ユニット(Rock-Stratigraphic Unit)
地層を,岩相とその積み重なり(sequence)によって区分したもの.
年代層序ユニットからは基本的に独立しており,基本的に,ある検討地
域の中で固有なローカルな名前(区分)となる.
地質年代区分
岩
Barremian
白
前
亜
紀
期
Hauterivian
相
山鳥層
ュ
Kimmeridgian
期
Oxfordian
ラ
紀
Bajocian
三 畳 紀
400
岩
相
玄武岩溶岩流( 乾陸成)
下部安山岩質火砕岩部層
1,200
デイ サイ ト ~安山岩質火砕流( 一部水中)
ド ウメ キ砂岩部層
300
~600
粗粒砂岩( 礫質)
小長渡砂岩頁岩部層
400
粗粒砂岩・ 頁岩
牡
清崎砂岩部層
640
粗粒砂岩・ 頁岩
鹿
福貴浦頁岩砂岩部層
層
小積頁岩部層
荻の浜層
600
~650
150
~200
中層理頁岩砂岩互層
頁岩
牧の浜砂岩頁岩部層
380
粗粒砂岩・ 頁岩・ 礫岩
狐崎砂岩頁岩部層
350
中層理砂岩頁岩互層・ 礫岩
侍浜頁岩部層
500
頁岩
群
Callovian
期
上部玄武岩溶岩層
層厚
(m)
頁岩・ 薄層理頁岩砂岩互層
中
Bathonian
分
620
Tithonian
ジ
区
長渡頁岩部層
鮎川層
Berriasian
累
層
群
(Supergroup)
層群(Group)
累
層
(Formation)
部 層
(Member)
単層(Bed)
序
不整合
Valanginian
後
層
月の浦層
月の浦砂岩部層
不整合
稲
井
層
群
120
~150
粗粒砂岩・ 砂質頁岩・ 礫岩
--
葉理砂質頁岩・ 頁岩・ 砂岩
Sedimentology & Stratigraphy
前ページの例の場合,年代層序区分としては,
中生界
ジュラ系
マルム統
ティソス階
...に“所属”することになる.
しかし,年代層序区分の境界と岩相層序区分の境界が一致して
いないことに注意.
一般に,層群と層群の間は,顕著な地層学的不連続(=不整
合)によって境される場合が多い.単層(およびそれ以下の単位)
については,固有名詞を冠されるは,ほとんど無い.
*これらの区分カテゴリーの『規模』については特に定まった
基準はない.厚さ10 mの累層もあれば厚さ100 mの部層もある.実
は,年代層序区分も同様.