電気回路第1 第12回 - 橋本・ミョー研究室【Top】

電子物性第1スライド11-1
電子物性第1 第11回
ー金属の電気的性質ー
目次
2
3
4
5
はじめに
導電率(電子バス)
欠陥の多い結晶
結晶中の波
6
7
8
9
欠陥で散乱
熱平衡
電圧の印加
電子のエネルギー
10
11
12
13
分布関数
電子の波数分布
電界の印加と波数
まとめ
電子物性第1 第11回
-金属の電気的性質-
はじめに
金属では、 結晶格子の中
電子は自由に移動する。
今回はどんなエネルギー
の電子が電流を流すかを
考えよう。
① 今日は金属中の電子のエネルギーを考える。
導電率(電子バス)
電流をどれだけ流すか、導電率σは、
19 C
電子が電流を流すことから、
0- ×1
1.6 子バス
σ=enμ となる。
電
電子バスの乗客数×バスの台数
×バスの走りやすさ ←これはどう決まるのだろ
う?
電界E
電子物性第1スライド11-2
金属イオン
電子
電子
電子
電子
電子
自由電子の海
はじめに
金属では、結晶格子の中
電子は自由に移動する。
今回はどんなエネルギー
の電子が電流を流すかを
考えよう。
金属イオン
欠陥の多い結晶
電子
バスの走りやすさ移動度μは、
道が凸凹なとき速度が上がない。
実際には結晶中の電子が、
ぶつかって散乱されると、
移動度が減少します。
電子
電子
電子
電子
自由電子の海
導電率(電子バス)
-1 C
0 ×1
バス
電子
9
1 .6
電界E
電子の速度が上がら ない。
電子物性第1スライド11-3
電流をどれだけ流すか、 導電率σは、
電子が電流を流すことから、
σ= e n μ となる。
-1 9 C
0
×1
6
.
1
バス
子
電
電界E
電子バスの乗客数 ×バスの台数
×バスの走りやすさ ←これはどう決まるのだろう?
① 導電率は電子の数に、走りやすさをかける。
結晶中の波
導電率(電子バス)
電流をどれだけ流すか、導電率σは、
19 C
電子が電流を流すことから、
0- ×1
1.6 子バス
σ=enμ となる。
電
電子バスの乗客数×バスの台数
×バスの走りやすさ ←これはどう決まるのだろ
う?
電界E
バスの走りやすさ 移動度μは、
道が凸凹なとき 速度が上がない。
実際には結晶中の電子が、
ぶつかって散乱されると、
移動度が減少します。
電子
電子の波は多くの原
子にまたがって分布。
結晶格子(周期的ポテン
シャル)は邪魔でない。
電子物性第1スライド11-4
欠陥の多い結晶
① 欠陥の多い結晶では移動度が低い。
(a) きれいな結晶
結晶中の電子は、波の性質で、
結晶中に広がっています。
きれいな結晶では、格子原子は
規則的(周期的)に並んでいますが、
これらは電子を散乱しません。
19 C
- 0
×1
6
.
1
バス
子
電
電界E
電子の速度が上がら ない。
欠陥の多い結晶
バスの走りやすさ移動度μは、
道が凸凹なとき速度が上がない。
実際には結晶中の電子が、
ぶつかって散乱されると、
移動度が減少します。
欠陥で散乱
-1 C
0 ×1
バス
電子
9
1 .6
電界E
電子の速度が上がら ない。
一方、結晶中に、他の原子など
異物があったり、格子原子の抜け
原子核の位置のずれなど、
結晶が完全でないときには電子を
散乱し、移動度を低下させます。
(b) 欠陥のあ る 結晶
電子
異物等
異物等
異物( 結晶格子以外の
原子) 等が電子を 散乱。
電子物性第1スライド11-5
結晶中の波
(a) きれいな結晶
結晶中の電子は、 波の性質で、
結晶中に広がっています。
きれいな結晶では、格子原子は
規則的(周期的)に並んでいますが、
これらは電子を散乱しません。
① 格子原子は電子を散乱しない。
電子
電子の波は多くの原
子にまたがって分布。
結晶格子(周期的ポテン
シャル)は邪魔でない。
結晶中の波
熱平衡
(a) きれいな結晶
結晶中の電子は、波の性質で、
結晶中に広がっています。
きれいな結晶では、格子原子は
規則的(周期的)に並んでいますが、
これらは電子を散乱しません。
電子
電子の波は多くの原
子にまたがって分布。
結晶格子(周期的ポテン
シャル)は邪魔でない。
電界をかけないとき全体として
電流は流れませんが、個別に
電子は動いています。
熱的に四方に動いているだけで、
熱平衡状態と呼ばれます。
散乱し、移動度を低下させます。
① 結晶に欠陥があると電子を散乱し移動度を下げる。
電子の運動エネルギーは
あるが、速度はまちまち。
電子物性第1スライド11-6
欠陥で散乱
一方、結晶中に、 他の原子など
異物があったり、 格子原子の抜け
原子核の位置のずれなど、
結晶が完全でないときには電子を
(a) 電界のない状態
(b) 欠陥のあ る 結晶
電子
異物等
異物等
異物( 結晶格子以外の
原子) 等が電子を 散乱。
欠陥で散乱
一方、結晶中に、他の原子など
異物があったり、格子原子の抜け
原子核の位置のずれなど、
結晶が完全でないときには電子を
散乱し、移動度を低下させます。
電界の印加
(b) 欠陥のあ る 結晶
電子
異物等
異物等
異物( 結晶格子以外の
原子) 等が電子を 散乱。
電圧をかけると、対応する方向に
動く電子が増えます。全体として
右方向に動く電子が増えて、
電流を流していることがわかる。
⇒どの電子が流れるか考えます。
熱平衡
電界をかけないとき 全体として
電流は流れませんが、 個別に
電子は動いています。
熱的に四方に動いているだけで、
熱平衡状態と呼ばれます。
① 熱平衡では電子の動きが四方に向き、平均ゼロ。
(b) 電界のあ る と き
ばら つき はあ る が、 電界
方向に進む電子が多い。
電子物性第1スライド11-7
(a) 電界のない状態
電子の運動エネルギーは
あるが、速度はまちまち。
熱平衡
電界をかけないとき全体として
電流は流れませんが、個別に
電子は動いています。
熱的に四方に動いているだけで、
熱平衡状態と呼ばれます。
電子のエネルギー
(a) 電界のない状態
電子の運動エネルギーは
あるが、速度はまちまち。
価電子は、エネルギー帯だが、
エネルギー毎に電子の座席数
(状態密度)が決まっている。
電子は下から、フェルミレベル
までの座席に着席するが、
室温では、境界がぼける。
電界の印加
電圧をかけると、 対応する方向に
電子のエネルギー
室温ではフェルミ
レベルより上にも
いくつかの電子。
空席
e
フェルミレベル
e e e e
価
電
子
帯
e e e e
e e e
0
空席
フェルミレベルより
下はほぼ電子で埋っ
ている。
下のエネルギー(安定)
から電子が入る。
電子の座席数
電子物性第1スライド11-8
(b) 電界のあ る と き
動く電子が増えます。全体として
右方向に動く電子が増えて、
電流を流していることがわかる。
⇒どの電子が流れるか考えます。
① 電圧をかけると右方向を向く電子が多くなる。
電子の入る目安
がフェルミレベル
ばら つき はあ る が、 電界
方向に進む電子が多い。
電界の印加
電圧をかけると、対応する方向に
動く電子が増えます。全体として
右方向に動く電子が増えて、
電流を流していることがわかる。
⇒どの電子が流れるか考えます。
分布関数
(b) 電界のあ る と き
ばら つき はあ る が、 電界
方向に進む電子が多い。
座席を占める電子の割合は、
分布関数f(E)と言いますが、
1
と、
f(E)=
E-EF
e kBT +1
① 電子のエネルギー毎に座席があり、EFまで埋まる。
f(E)
f(E)
k T = 26 m eV
e
0
フェルミレベル付近で1から0に変化する。
電子のエネルギー
価電子は、エネルギー帯だが、
エネルギー毎に電子の座席数
(状態密度) が決まっている。
電子は下から、フェルミレベル
までの座席に着席するが、
室温では、境界がぼける。
1
電子のエネルギー
電子物性第1スライド11-9
室温ではフェルミ
レベルより上にも
いくつかの電子。
空席
e
フェルミレベル
e e e e
価
電
子
帯
e e e e
e e e
0
EEFF 電子のエネルギーEE
空席
電子の入る目安
がフェルミレベル
フェルミレベルより
下はほぼ電子で埋っ
ている。
下のエネルギー(安定)
から電子が入る。
電子の座席数
電子のエネルギー
価電子は、エネルギー帯だが、
エネルギー毎に電子の座席数
(状態密度)が決まっている。
電子は下から、フェルミレベル
までの座席に着席するが、
室温では、境界がぼける。
電子の波数分布
電子のエネルギー
室温ではフェルミ
レベルより上にも
いくつかの電子。
空席
e
フェルミレベル
e e e e
価
電
子
帯
空席
0
電子の入る目安
がフェルミレベル
フェルミレベルより
下はほぼ電子で埋っ
ている。
e e e e
e e e
熱平衡状態での電子の波数は
全ての方向を向いています。
合計の電子は動いていません。
フェルミレベルの付近まで、
電子が分布しています。
下のエネルギー(安定)
から電子が入る。
(a ) 電界な し
熱平衡状態
ky
フ ェ ルミ
レ ベル
0
kx
電子の座席数
電子物性第1スライド11-10
分布関数
座席を占める電子の 割合は、
分布関数f(E) と言いますが、
1
と、
f(E)= E-EF
e kBT +1
f(E)
f(E)
1
e
0
フェルミレベル付近で1から0に変化する。
① 電子の分布関数はフェルミレベル付近で0になる。
kBTT = 26 m eV
EFF 電子のエネルギーE
E
E
電界の印加と波数
分布関数
座席を占める電子の割合は、
分布関数f(E)と言いますが、
1
と、
f(E)=
E-EF
e kBT +1
1
f(E)
f(E)
e
k T = 26 m eV
0
フェルミレベル付近で1から0に変化する。
EEFF 電子のエネルギーEE
電圧をかけると、電子の波数が、
kx方向にずれて、x方向に移動
するが、中央の低エネルギーの
電子は寄与しない。流れるのは
フェルミレベル付近の電子。
全ての方向を向いています。
合計の電子は動いていません。
フェルミレベルの付近まで、
電子が分布しています。
① 熱平衡では、電子の波数は全部の方向に向く。
ky
0
kx
全体が右側
にシフ ト 。
電子はx方向
に流れる 。
電子物性第1スライド11-11
電子の波数分布
熱平衡状態での 電子の波数は
(b) x方向に電界
非平衡状態
(a ) 電界な し
熱平衡状態
ky
フ ェ ルミ
レ ベル
0
kx
電子の波数分布
熱平衡状態での電子の波数は
全ての方向を向いています。
合計の電子は動いていません。
フェルミレベルの付近まで、
電子が分布しています。
(a ) 電界な し
熱平衡状態
まとめ
ky
フ ェ ルミ
レ ベル
0
kx
金属の導電率は、キャリアの密度と移動度の積になる。
エネルギー毎に、取れる電子の数(状態密度)が決まる。
電子の分布関数はフエルミレベル前後で1から0に減少。
電流に寄与するのは、フェルミレベル近辺の電子のみで、
電子で充満した、価電子帯の底の電子は流れない。
電子物性第1スライド11-12
電界の印加と波数
(b) x方向に電界
非平衡状態
電圧をかけると、 電子の波数が、
kx方向にずれて、 x方向に移動
するが、中央の低エネルギーの
電子は寄与しない。 流れるのは 全体が右側
にシフ ト 。
フェルミレベル付近の電子。
① 電圧をかけても、動くのはフェルミレベル付近だけ。
電子はx方向
に流れる 。
ky
0
kx
電界の印加と波数
電圧をかけると、電子の波数が、
kx方向にずれて、x方向に移動
するが、中央の低エネルギーの
電子は寄与しない。流れるのは
フェルミレベル付近の電子。
(b) x方向に電界
非平衡状態
ky
スライドを終了します。
0
kx
全体が右側
にシフ ト 。
電子はx方向
に流れる 。
まとめ
電子物性第1スライド11-13
金属の導電率は、 キャリアの密度と移動度の積になる。
エネルギー毎に、取れる電子の数(状態密度)が決まる。
電子の分布関数はフエルミレベル前後で1から0に減少。
電流に寄与するのは、フェルミレベル近辺の電子のみで、
電子で充満した、価電子帯の底の電子は流れない。
① 導電率と移動度、状態密度とフェルミレベルを学習。