第9回 量子論の始まり ・Bohrの量子条件 ・光電効果 ・コンプトン散乱 ・電子線の波動性 今日の目標 1.ボーアの量子条件で原子スペクトルが説明できる 2.光電効果を説明でし、光の二重性を理解できる 3.コンプトン散乱を説明し、光子の概念が理解できる 4.粒子の二重性を説明し、ド・ブロイ波長を計算できること 2011 Bohrの量子条件 原子内の電子は離散的な条件を満たす軌道にある。 このとき(定常状態)原子は電磁波を吸収・放出しない。 2π ∫0 L dθ = nh L=m r2ω (n=1,2,3,・・・) ;角運動量 r 核 2πm r2ω=nh クーロン力=遠心力 e2 2 = m r ω 4πε0 r2 2πm r2 e √ 4πε0 m r3 電子 m,-e =nh ω= e √ 4πε0 m r3 ε0 h2 r= πm e2 n2 ε0 h2 r= n2 2 πm e e ω= √ 4πε0 m r3 電子のエネルギー =運動エネルギー+位置エネルギー εn = 1 2 e2 4πε0 r mv2 v = r ω= r εn = εn = - 1 2 m e √ 4πε0 m r3 e2 4πε0 m r e2 4πε0 r = me4 8ε02 h2 n2 電子のエネルギーは量子化されている e2 8πε0 r n=2 n=1 電子のエネルギー準位 -1/9 ε4 = ε1 ε3 = ε1 -1/4 ε2 = ε1 0 -1/16 εn = - 1 42 1 32 1 22 me4 8ε02 h2 n2 原子における光の放出・吸収は電子 の定常状態が遷移する事による |εn - εm|= hν -1 me4 ε1 = - 8ε02 h2 9.11 10 31kg 1.602 1019 C 2 4 8 8.854 1012 C 2 N 1m 2 6.626 10 34 Js 2.179 1018 J 13.62eV 2 光の吸収と放射 -3.4 n 4 3 410.17 Paschen系列 656.3 485.13 434.05 eV 0 2 97.25 121.57 102.58 Lyman系列 Balmaer系列 波長λ= C ν |εn - εm|= hν hν= hc λ = hcR n=1,2,3,・・・ -13.53 1 εn = - me4 8ε02 h2 n2 1 n2 1 m2 m=n+1,n+2,n+3,・・・ Rydberg定数:R=10973731.77 m-1 hcR 2.179 1018 J 光電効果 ア ル カ リ 金 属 2.光の振動数を変えると 電子のエネルギー 光 真空 V 1.光がないとき 電流は流れない A 振動数ν 3.光の強度を変えると 電 子 の 数 強度n 4.光の照射と同時に電子が放出 実験事実 光が波ならば 強制振動でエネルギー を電子に与える 電子のエネルギー 振動数ν 電 子 の 数 ν 明るさ(強度) I 矛 盾 n 強度I 電 流 強度 on 時間t t 実験事実 光は粒子の振る舞いをする 電子のエネルギー 振動数ν 電 子 の 数 (1) ε = hν Einstein光量子仮説(1905) 1 E= mv2 = hν - W 2 仕事関数 (2) 光の明るさ(強度)=光子の数 電子の数∝光子の数 強度I 電 流 (3)光子と電子の衝突 1つの光子が1つの電子を 叩き出す on t 光の二重性 コンプトン(Compton)散乱 p 電子 光子λ0 φ θ λ 光子 散乱光子 E=hν 特殊相対性理論 E2 = c2p2 + c4m2 静止エネルギー 運動エネルギー E = cp 光子の質量は0 cp = hν hν h p= c = λ 粒子散乱の力学 光子 衝突前 エネルギー 運動量 衝突後 エネルギー 運動量 エネルギー保存の法則 E0 + mc2 = E+ Ee 運動量保存則 p0 = p + pe p0 = pcosθ + pe cosφ psinθ = pe sinφ E0= hν0 p0 = h λ0 E= hν p = h λ 電子 mc2 0 E e = √ c2pe 2 + c4m2 pe h λ - λ0 = (1 - cosθ) mc 電子の波動性 電子線によるLaue斑点 C.A.Davisson & L.H.Germer (1927) 電子銃 結晶 波の現象 de Broglie波 h λ= p 粒子の二重性 演習 1.仕事関数W=3.2×10-19Jの金属表面に波長λ=300nmの 光を照射したときに放出される光電子の運動エネルギーは いくらか。また、その速度はいくらか。 2.波長が300nmの紫外線の光子1個のエネルギーはいくらか。 3.10keVに加速された電子のド・ブロイ波長はいくらか。 4.静止しているとみなせる電子に波長400nmの光が90゜方向に 散乱されると波長はいくらになるか。 今日の用語 Bohrの量子条件、離散的な条件、量子化、エネルギー準位、 状態の遷移、光の吸収の放射、Rydberg定数、光電効果、 Einsteinの光量子仮説、仕事関数、光の二重性、Compton散乱、 光子、特殊相対性理論、電子の波動性、Laue斑点、deBroglie波、 粒子の二重性 戻り 和田義親 [email protected] 講義のページへ戻る 和田のホームへ戻る 明薬のホームへ戻る
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