第8章 予算編成

第8章 予算編成
1.
予算の本質
戦略的プランニングと予算との関係
経営予測との対比
予算の利用
業務予算の内容
業務予算のタイプ
2.
その他の予算
資本予算
予算B/S
予算C/F
MBO
3.
4.
5.
6.
予算編成のプロセス
組織
予算ガイドライン
予算の起案
交渉
レビューと承認
予算の更新
状況対応予算
予算における行動科学的側面
予算プロセスでの参加
予算目標の困難度
予算の数量的手法
要約
1.予算の本質
ここでは、年次予算での課題について明らかにする。
予算は、戦略と予測とは区別される。
予算は、組織での効果的な短期計画と統制のツールである。それらは、つぎ
の様な特徴をもつ。
1)予算は事業単位の利益潜在力の見積り。
2)貨幣単位で表示された計画であるが、それを保証する非貨幣的裏付け
がある。
3)それは1年単位。
4)それは、マネジメントによる約束である。
5)予算の提案は、上位者によるレビューと承認をうける。
6)一担承認されると、予算は特定の条件がないと変更されない。
7)定期的に予算は、実績と比較される。
1. 予算の本質
戦略的プログラムと予算との関係
プログラム:長期の戦略的計画
単位は、製品ラインなど
責任センターの年度別に整除される
予算:単年度の財務計画、戦略プログラムに誘導
される。
単位は、責任センター
事前・事後でのマネジャーへの動機付けと評
価に利用
1.予算の本質
予測と予算の対比
予測の特徴は次の点で、予測は起こりそうな結果のうちで
最も起こり易い事象をさす。
予測の特徴
1)予測は貨幣数値でなされると限らない。
2)それは、期間を問わない。
3)予測者は達成の有無を問題にされない。
4)予測は上位者から承認される対象でない。
5)予測は条件が変われば、変更される。
6)予測からの差異は、公式・定期で分析されない。
予測と予算の大きな違いは、責任や評価と関係するかどう
かである。
1.予算の本質
業務予算の利用には4つの目的がある。
1)戦略的計画を洗練化させること。
事業年度の開始前に、全てのマネジャーの参加をえて。最新の情報を利用し
て事業機会を探る。それは、業績改善の機会となる決定をすることにつながる。
2)調整を行なうこと。
事業にたづさわる、すべての責任センター長の活動を事前調整する手段である。
とりわけ、生産・販売・購買など。これら課題を事前に部門間で調整する手段
になる。
3)責任を割り当てること。
責任センターのマネジャーの資源利用を前もって明にして、その範囲の活動と
の関係で確定する。(それ以上の資源消費には、追加承認がいる)
4)業績評価の基礎であること。
責任センターの階層構造のなかでそれぞれのレベルに応じて、業績基準、ベンチ
マークを提供する。例えば、利益センター、機能別センター、個別オフイス・タースク。
1.予算の本質
業務予算の内容
戦略的計画
主要プログラムの収益と費
用
責任センター別である必要なし
業務予算をほど詳細でない
業務予算
組織全体もしくは各事業単位
資本予算
各主要な資本予算pJは
個別に計上。
責任センター別に分類
典型的な要素
1)収益、2)製品原価と売上原
価、3)販売費用、4)搬送費用。
5)一般管理費、6)研究開発費、
7)税金、8)純利益
多くの費用が変動費
複数年度
費用は、変動、裁量、既決費に。
1年を月、四半期でわける。
全体額が戦略計画額に一致
全体額が業務予算に一致
総資本支出額は4半期別
に計上。
現金予測と予算BS
1.予算の本質
業務予算のカテゴリー
1)収益予算:収益は価格×数量 若干の要素は、
管理可能である、例えば、広告額と収益額との
関係、サービス水準と売上との関係。
2)予算製造原価と予算売上原価:製造と売上との
間に在庫予算がある。それにより両者が調整さ
れる。
3)販売予算:販売費、広告費、運送費にわかれる。
とりわけ、運送費は、製造原価に近いが、販売組
織の責任の属するので、販売費に入れている。
4)一般管理費
5)研究開発費:
2.その他の予算
1)資本予算
承認された資本PJの予算額をしめす。
資本予算の請求額が、許容予算を上回るときには、一部のPJを縮小、延期あるいは、排除すること
も行なわれる。
2)予算BS
営業予算と資本予算を含む。
予算と業務予算の全体の影響を明らかにする。しかし、これは、MCのための手段でない。
一部については、管理される(短期債権債務)。
3)予算キャシュフロー表
1年ベース、四半期ベース、月次ベースを作成し、財務担当者は、短期資金管理の手段の1つに、
4)MBO(目標管理制度)
財務目標は、個人の公式目標として機能するべきだとされているが、一般に、予算目標と目標管理の
目標とは、区別されて利用されている。
日本でも、MBOの目標は、非財務目標が中心で、
上司と本人の面談とレビューで評価点が事後に確定する。殆ど、予算とは関連しない。目標管理と財務
をつないだ方法は、ABMと方針管理を融合した方式で一部企業で提案された(オムロン社)。
3.予算編成プロセス
組織
1)予算部門、2)予算委員会:CEOを議長に、予算の実質審議と承認を行なう。また、BU長の意見を
のべる場でもある。対話(トップと執行者との)
ガイドラインの作成
予算編成の基本条件をしめす:たとえば、価格動向、賃金水準、ボーナス水準、採用枠と重点配置先、
基準為替水準、購買価格水準、責任センター別の目標(利益、売上高、ROE)
年初の予算原案
ガイドラインの水準をもとに、外部・内部の変化を加味して原案を責任センター別に、スタッフの支援を得
て作成する。
交渉
階層的に予算の中身について、上司が、レビューし、下位者が、提案を説明する。
その過程は、下から上に繰り返される。
レビューと承認
最終的な承認は、取締役会であり、そこまでに、CEOが全社の予算原案をレビューして、ボードにそれ
を原案として提案して、承認をもらう。その過程で、
全社目標の水準と過去との関係、他社の水準との比較などが問題になる。
予算修正
予算の修正には、2つの一般的なタイプがある。1)4半期別の改訂手続きにしたがう。2)特別の状況
での修正手続き。課題は、どの時点で、どう改訂した予算を利用するか。
状況対応予算(contingency budget)
例えば、売上高が予算当初の見込みから、20%以上低下する事態になれば緊急予算が必要である。
例えば、三菱自動車の例(売上高の減少に対応して、コストの削減、運転資金不足への対応、支
払・受取債権・債務の期間の短縮の可能性検討、変動費の単価の見直し、一般管理費、販売費な
どの裁量的費用の見直し)
4.行動科学的側面
MCSの機能は、マネジャーに組織目標の達成に、効果的かつ効率的に
向かわせることにある。それは、動機付けの問題が絡んでくる
。
予算編成での階層間の調整過程(トップダウンとボトムアップ)
予算編成過程での下位者の参加
予算業績の評価とその方法
予算目標の達成レベルの問題
効果的な予算とは、挑戦的でありしかも達成可能な水準である。50%以上の達成確率
をもつこと。
上級マネジメントのプロセスへの参加:様々な過程で上級マネジメントが関連(策
定、評価、改訂)
予算部門:実施者と評価者の間で、中立的な機能を維持する必要がある。
5.予算の数量的方法
ERPなどの利用により、予算編成そのものは、非常に
省力化とスピードが実現した。しかし、予算の目的
は、人間の動機付けにあり、その点では、予算管理
は、依然として、MCSの中心課題である。
確率予算が提案されており、通常の予算が最も起こる
べきレベル1点の予測を基礎にしているのに対して、
1)悲観、2)中間、3)楽観に分けて予算のゾーンを
策定する試みがある。
要約
予算編成と予算管理(予算業績測定と評価)は、組
織的なプロセスであり、一定の全社的な予算編
成のガイドラインにそって、執行者が予算案策定
過程に参加して作成する。予算の承認プロセス
は、政治的であったり、ゲーム的であったりする
が、承認されたものは、予算実行者の業績評価
基準になる。そのために、動機付けや行動科学
的な管理者の対予算行動の検討が組織的にみ
ても重要である。その課題としては、予算の逆機
能問題、スラックの問題、状況変化への柔軟性
の問題などがある。
予算編成のプロセス
市場
資
金
予
算
売
上
高
製
品
総合予算
売管
予理
算費
予
算
・
販
算製
造
費
用
予
予算
販
社
計
画
事
業
所
計
画
事
業
所
計
画
本
社
計
画
営
業
外
予
算
損
益
予
算
研
究
所
計
画
投
融
資
予
算