前回(10月31日)配布プリントの 補足1:人口高齢化の要因 2005年11月7日(月) 人口経済論 人口高齢化の要因 人口高齢化は、人口の「年齢構造の変化」 の帰結である。この年齢構造の変化は、人 口の変動要因(出生、死亡、人口移動)に よってもたらされる。 では、変動要因はそれぞれどのぐらい影響 があるのか? 人口高齢化要因の分析方法 観察法(経験法則適用) 諸外国の人口高齢化の進展状況と出生・ 死亡の水準を観察し、その関係を分析する 方法。 安定人口モデル 年齢構造変化率の要因分解 安定人口モデル 安定人口モデル:年齢別出生率及び年齢別死亡率が一定不 変ならば、(封鎖人口において)十分の期間を経過した後の 年齢構造は一定となるというもの。 下記のA-Dの組み合わせによる安定人口の年齢構造の結果、 出生率が低いときと高いときでは大きな差がある。→出生率 が高齢化に大きな影響を及ぼしている。 A:高出生・高死亡 B:高出生・低死亡 C:低出生・高死亡 D:低出生・低死亡 年齢構造変化率の要因分解 表65歳以上割合変化の要素分解 各要因の寄与( 変化量) 初期値 変化量 期首人 出生率 死亡率 出生・ 国際人 口年齢 変化 変化 死亡相 口移動 構造 互作用 65歳以上割合(%) 期間 25年間隔 1950-1975 1975-2000 2000-2025 2025-2050 50年間隔 1950-2000 2000-2050 100年間隔 1950-2050 4.94 7.92 17.36 28.67 2.98 9.44 11.30 3.98 0.83 6.27 10.74 7.17 1.15 0.64 -0.02 -0.02 0.76 2.25 1.13 0.87 0.17 0.08 0.00 0.00 4.94 17.36 12.43 18.29 1.98 17.12 5.11 -0.28 3.11 2.95 4.94 30.71 2.27 15.32 5.29 各要因の寄与( 変化量に対する割合) 期首人 出生率 死亡率 出生・ 国際人 口年齢 変化 変化 死亡相 口移動 構造 互作用 0.08 27.75 0.21 66.40 -0.55 95.03 -1.04 102.66 38.52 6.76 -0.20 -0.30 25.43 23.78 10.00 12.49 5.60 0.83 -0.01 0.00 2.70 2.24 -4.83 14.84 1.98 -0.01 0.25 -1.49 15.94 93.62 41.13 -1.54 25.00 16.13 15.90 -0.06 2.03 8.15 9.26 -1.43 7.40 49.88 17.23 30.14 -4.65 石川(2002)より 観察期間を25年とすると、1950-75年の間は、出生変動の影 響が大きいが、1975-2000年では、死亡変動の影響のほう が大きい。 出生率の低下は、人口ピラミッドの基底部分 を減少させる。これ(出生率の低下)は上層年 齢部に関係ないので、人口に占める高齢者 の割合を増加させる。 死亡率の低下も高齢者の割合増加に寄与 している。特に長寿化が進むとその影響は大 きい。 今後は、国際人口移動の影響を考える必要 が出てくるだろう。
© Copyright 2024 ExpyDoc