17111010.pdf http://www.mani.co.jp/ 企 業 7730 マニー 松 谷 貫 司 (マツタニ カンジ) マニー株式会社社長 固有技術の蓄積で9期連続増収増益 ◆当社の事業概要と強み 当社は、手術用縫合針、各種手術機器、歯科医療機器の開発・製造・販売を事業内容としている。事業の内 訳は、サージカル関連製品が26.0%、アイレス縫合針関連製品38.2%、デンタル関連製品35.8%となってい る。従業員数は279名(国内)、グループ全体で1,008名である。本社工場(栃木県高根沢町)では主にデン タル関連製品を、清原工場(栃木県宇都宮市)ではサージカル関連製品・アイレス針関連製品を製造してい る。主な連結子会社としてベトナムに最初につくった合弁会社MANI-MEINFA CO., LTD.(MMC)、単独資 本のMANI-HANOI CO., LTD.(MHC・昨年9月稼働開始)、ミャンマーのMANI YANGON LTD.(MYL)が ある。 当社の企業理念は「患者のためになり、医師の役に立つ製品の開発・生産・提供を通して世界の人々の幸福 に貢献する」を掲げ、社訓の「科学する心で熱心に粘り強く」を最重要視している。 製品群で中心となるのはアイレス縫合針、外科手術用器具等で、特にステイプラーや眼科用のナイフ、歯科 治療用の根管治療用器具等が伸びている製品である。縫合針製造から始まった当社の歴史の中で、縫合針をス テンレス化したということが最初の業績である。そのステンレスを更に強化させ、それに応じて加工方法を改 善・開発していく技術開発が現在も利益を生んでいる。針以外に、針金からつくる製品への展開も完了し、ダ イヤモンドバー(デンタル関連)などに拡大、切れ味の追求の結果、眼科用ナイフ、歯科医用製品などに製品 範囲を広げてきた。当社の最大の強みは固有技術の長期的な蓄積である。この業界では、根幹的な製品特性は 大きくは変わらず、したがって、長期的に同じ製品をつくり続けてきたことによる技術の蓄積が高品質・低原 価を生みだし、それによって現在の当社の利益が支えられているのである。 ◆第46期(2005年8月期)の業績 当期の連結売上高は66億94百万円(前期比18.8%増)と、4月に発表した予想をクリアし、11期連続の増 収とすることができた。売上高の内訳は、サージカル関連製品が眼科用ナイフ・ステイプラーの前期に引き続 く好調、およびアイド針の回復により17億41百万円(同27.7%増)、アイレス針関連製品が前期の大きな伸 びにもかかわらず当期も堅調で25億57百万円(同10.7%増)、デンタル関連製品はリーマファイル・ピーソ ゲーツ等が伸び、新製品顕微鏡も寄与して23億95百万円(同22.2%増)である。売上高を特に牽引したのは サージカルおよびデンタル関連製品であった。輸出売上高は43億33百万円(同17.9%増)となり、サージカ ル製品の増加が輸出比率を押し上げた。売上総利益は38億40百万円(同18.9%増)と金額は伸びたが、率は 予想に対して若干未達となり57.4%であった。その最大の要因はMHC稼働に伴う費用の増加と原価高の新製 品が売れたことであり、これは長期的にみればプラス要因であるが、当期に限るとマイナスに働いた。営業利 、税引き前利益は 益は9期連続増益で24億51百万円(同25.5%増)、経常利益は25億45百万円(同28.5%増) 25億95百万円(同16.7%増)、当期純利益は15億62百万円(同19.0%増)となった。経常利益の伸びが営業 利益よりも大きいのは、匿名組合投資収益があったこと、および前期の為替差損が当期はないことによるもの である。また税引き前利益については、前期にあった特許の損害賠償金受け取りが当期はないために減少し た。当期純利益には外形標準課税も寄与している。 製品群別営業利益率の順位は、1.アイレス、2.サージカル、3.デンタルと順位は以前と変わらないが、デン タルの利益率の改善が顕著であった。直近5期間の平均業績伸び率は、売上高12.9%、経常利益17.1%、当期 利益18.2%である。売り先別では、最も伸びの大きいのが欧州の21.8%、最も伸びの小さいのが北米の11.0 %である。輸出比率はほぼ横ばいである。当社の地域別売上比率とGDP比を比較すると、国内・欧州・アジ アに対して北米およびその他がまだ弱く、今後の課題とされる。 ◆新製品の紹介 将来的に最も売上に貢献するであろう製品は皮膚縫合器マニプラー AZというステイプラーである。また、 ダイヤモンドティーソー(骨用のこぎり)は、市場的にはあまり大きくないが医学的に意味がある製品であ る。デンタル関連では、マニピュレーザーというレーザー治療器、およびマイクロファイル・ホルダーのほ か、従来のものよりも高品質・高価格な可変鏡筒実体顕微鏡がある。 本著作物の著作権は、社団法人 日本証券アナリスト協会 R に属します。 研究開発投資には積極的に取り組むが、当期の研究開発比率は売上が予想以上に伸びたため7%を割り込ん でしまった。47期(2006年8月期)も、金額的には増加するが売上高比率では更に低くなり6.8%を予想して いる。長期的には研究開発体制を抜本的に見直して7%台を回復させたい。 特許権の取得状況については、数量よりも質の特許を重視し、戦略的かつ積極的な特許取得に注力してい る。保有件数は174件と前期とほぼ変わらないが、海外特許重視により出願中件数が124件と大きく増加して いる。 設備投資については、当期はMHCのクリーンルーム増設を行ったが、47期はMHC増築に5億円程度を見込 んでいる。48~49期に国内工場改築・増設を予定しており、47~49期合計で約30億円を予想している。 ◆47期の業績予想について 連結の売上高は74億3百万円(前期比10.6%増)を見込んでいる。製品群別では、サージカルでステイプ ラーの増産と眼科ナイフが引き続き好調、アイレス針も好調維持、デンタルはファイル、バー類が順調で装置 類も寄与すると予想している。その結果、2ケタ成長は維持できると見込んでいる。 MHCの増築や稼働準備による費用は引き続き発生し、新製品の販売も好調なため、売上総利益率の57.4% は変わらないと予想している。営業利益は27億51百万円(同12.2%増)となり、販管費低下により営業利益 率は改善(36.6%から37.2%へ)するが、経常利益は匿名組合投資収益の消滅等により27億76百万円(同9.1 %増)と経常利益率は低下(38.8%から37.4%へ)し、保険満期返戻金がないことにより税引き前利益は27 億70百万円(同6.7%増)となり、当期純利益は16億62百万円(同6.4%増)となる。10期連続の増収増益を 達成できる見込みである。 売上高の下振れリスク要因は新製品の原価高と円高であり、利益の下振れリスク要因は新製品の原価高と MHCの増築による費用増とみている。 海外については、MYLは生産が充実し、手は加えない。MMCは、増産余地は少ないが、オペレーションが 好調なため、何とか増強策を取りたいと考えている。MHCは、ステイプラー増産でさらなる増築を期中完成 の予定であり、来期はアイレス増産のために更に増築を予定している。 なお、当社は平成17年10月より、確定拠出年金制度に移行するが、47期損益に与える影響は軽微の見込み である。 ◆48・49期の業績および中期的目標 サージカル関連では、ステイプラーが更に伸びる見込みである。また、眼科用海外向け製品も伸びるとみて いる。アイレス針関連では、増産体制を確立し、特に49期にMHC生産規模拡大体制をつくり、これに伴い、 50期以降の原価低減を図る。デンタル関連は、現在は国内に限定している装置等の新製品が開花する可能性 もありとみている。 売上高全体では、二ケタ成長は維持出来る見込みである。根拠としては、ステイプラーおよび新製品の貢献 である。粗利率は、当面は横ばいの見込みであるが、長期的にはアイレス針増産等に伴い、改善出来るとみて いる。MHCの土地買い増し、増築、稼働で費用は増加する。営業利益は規模の改善に伴う販管費率削減によ り改善し、38%を狙う。長期的には40%を視野に入れる。 当社が最も力を入れているのは、海外戦略と新製品投入である。当社の製品はどれも市場規模の小さいもの であり、トップにすぐなれる代わりに伸びが早く鈍化する。したがって、新しい製品を次々に投入する必要が あり、当社が研究開発に注力するゆえんである。20年間のスパンを見て世界市場1、2位を目指せる製品だけ を開発するという戦略を取っている。そして、海外生産の本格化をテコに圧倒的コスト・品質優位の位置を維 持していく。現在行っている設備増強は、売上高100億円体制を構築することを目的としている。 ◆ 質 疑 応 答 ◆ アイレス縫合針の世界的手術件数の増加率に比べて御社の成長が高い要因は何か伺いたい。 最大の要因はシェアである。市場自体は2~3%に過ぎない。また、当社の製品は高度な手術を担っている ものが多いため、数量シェアよりも金額シェアが大きく、11%である。 どの程度までシェアを拡大できるのか伺いたい。 アイレス針のシェアの70%はジョンソン&ジョンソンが自社で生産し自社で消費している。残りの30%を 主に3社で分け合っている。10年以内に、このうちの三分の二まで当社シェアを拡大できると考えている。そ の後は、従来顧客の理解も得られるようになると思うので、現顧客群以外へも、当社からの供給が可能になる のではないか。 (平成17年10月11日・東京) 本著作物の著作権は、社団法人 日本証券アナリスト協会 R に属します。
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