JVNの現状報告 - 電磁宇宙物理学 藤沢健太

巨大ブラックホール天文学:最新の動向と課題 京都大学基礎物理学研究所 09/01/20-22
日本VLBI観測網JVNによるAGNの観測
藤沢健太(山口大学)、大学VLBI連携グループ
謝辞:この研究はNICT、ISAS/JAXA、GSIの協力を得て実施されています。
日本国内のVLBI観測局が連携によって一つのVLBI観測網となったのが日本
VLBI観測網(JVN)である。大口径・短基線を有し、低輝度温度電波天体に対す
る感度が高いなどの特徴がある。すでに定常的な観測が実施されており、AGN
の研究に利用されている。
最長基線長が2500kmと比較的短いが、中韓との連携による観測網の発展を目
指している。これを東アジアVLBI観測網(EAVN)とよぶ。EAVNはVSOP-2の観
測における有力な地上観測網となる予定である。
日本VLBI観測網(JVN)の概要
○研究主体 7大学(北大、筑波大、茨城大、岐阜大、大阪府立大、山口大、鹿児島大)と国立天文台
の共同研究、3研究機関(宇宙研、NICT、GSI)の協力
○観測局 VERA4局、苫小牧11m、茨城32m×2(日立、高萩)、つくば32m、鹿島34m、臼田64
m、岐阜11m、山口32m、内之浦34m(合計13台)
○観測周波数
22GHz:VERA・苫小牧・鹿島・(茨城・つくば・岐阜・山口・内之浦)
8GH:VERA・鹿島・つくば・臼田・山口・内之浦・(茨城)
6.7GHz:VERA・臼田・山口・(茨城)
43GHz、2GHzも検討中(2GHzは試験観測を実施した)
○観測実績
2007年度の合計観測回数=21回 大学VLBI連携=12回、光結合VLBI=9回
○実績・その他
2005年度から本格開始、現在までに論文が7本出版済み
東アジアVLBI観測網 韓国・中国との実験観測を推進中
JVNの観測例
Tsuboi et al. (2008) PASJ, 60, 465
Doi et al. (2007) Japanese VLBI Network Observations of Radio-Loud Narrow-Line Seyfert 1 Galaxies
JVN/EAVNと他観測網の比較・VSOP-2観測
The 2006 Radio Outbursts of a
Microquasar Cygnus X-3: Observations
and Data
(土居明広さんのシミュレーション)
左図:JVNは密な局配置、大口径アンテナを有し、
広い赤緯範囲の天体に対して良いu-vカバレッジと
なる
左下:東アジアの協力によるEAVNは、ヨーロッパ
(EVN)、アメリカ(VLBA)と遜色ない性能を持つ
下図:ASTRO-Gと共同で観測するVSOP-2でも、
比較的よいu-vカバレッジが得られる。
δ = 60 deg
δ = 20 deg
EVN 22 GHz
9000 x 5000 km
0.3 x 0.5 mas
1σ = 50 μJy/beam
= 10^7.2 K (1hr)
δ = ―20 deg
EAVN 22 GHz
5000 x 4000 km
0.5 x 0.6 mas
1σ = 150 μJy/beam
= 10^7.2 K (1hr)
VLBA 22 GHz
8000 x 5000 km
0.3 x 0.5 mas
1σ = 200 μJy/beam
= 10^7.6 K (1hr)
VSOP-2観測のu-vカバレッジ
左:JVN+ASTRO-G
右:EAVN+ASTRO-G
結論:JVN/EAVNはAGNの研究に使える
VLBI観測網といえる。VSOP-2の時代に
は、地上観測網として重要な役割を担う。