看護学生への喫煙教育による 認識の変化からみた禁煙支援 Ⅰ 研究目的 「喫煙問題」に関する講演受講前後の 看護学生の喫煙に対する認識の変化を 把握し、看護学生への禁煙支援のあり 方を検討する。 Ⅱ 研究方法 1.研究対象:K看護学校2年生29名 2.調査期間:2005年5月~6月 3.調査方法 1)専門医による「喫煙問題について」の講演聴講 前後の無記名自記式質問紙による調査 2)調査内容 ①喫煙問題に関する知識 ②喫煙に関する認識の変化 ③喫煙行動への意志の変化 Ⅲ 結果及び考察 1.回収状況 表1 回収状況 時期 回収率 性別 年齢分布 ~19歳 :41,4% 女性:82,8% 講演前 (n=29) 20~24歳:31,0% 25~29歳: 10,3% 100% 30~34歳: 7,0% 男性:17,2% 35歳~ :10,3% ~19 歳:41,4% 女性:82,8% 講演後 (n=29) 20~24歳:31,0% 25~29歳:10,3% 100% 30~34歳: 7,0% 男性:17,2% 35歳~ :10,3% 2.喫煙問題に関する知識 表2 喫煙問題に関する知識[%](n=29) 講義内容(知識) よく知っている 少し知っている ①肺・咽頭癌の高発生率 58,6 41,4 0 ②妊娠への悪影響 62,0 38,0 0 ③依存性がある 51,7 48,3 0 ④呼吸器疾患の高発生率 34,5 58,6 6,9 ⑤循環器疾患の高発生率 27,6 65,5 ⑥歯周病・口腔内疾患の高発生率 27,6 58,6 13,8 ⑦主流煙と副流煙 38,0 51,7 10,3 ⑧受動喫煙と悪影響 27,6 69,0 3,4 ⑨喘息・中耳炎・SIDSの高発生率 31,0 48,3 20,7 ⑩運動能力の低下 37,9 34,5 27,6 ⑪学習能力の低下 20,7 48,3 31,0 ⑫健康増進法の受動喫煙防止 10,4 24,1 65,5 ⑬有効な分煙方法 13,8 13,8 72,4 ⑭看護協会の取り組み 10,4 44,8 44,8 6,9 31,0 62,1 ⑮たばこCMのねらい 知らなかった 6,9 3.喫煙に関する認識の変化 1)喫煙行動についての意見 図1 喫煙行動についての意見:複数回答 62.1 健康上好ましくない 胎児や子供の健康のためすべきでない 65.5 時と場所を選べば個人の自由 13.8 看護学生でも授業や実習外は自由 79.3 58.6 48.2 看護学生であることと関係ない 72.4 講演前(n=29) 講演後(n=29) 24.1 37.9 24.1 48.3 51.8 女性は好ましくない 20.7 看護学生として好ましくない 0 10 20 31.0 30 40 50 60 70 80 90 % 2)喫煙者と喫煙行動との関連 ①一般の人の喫煙について 図2 一般の人の喫煙について 周囲に迷惑をかけなければよい 34.5 個人の自由である 10.3 41.4 17.2 講演前(n=29) 講演後(n=29) 10.3 13.8 自分の責任でならかまわない 17.3 20.7 自分の健康のためやめた方がよい 13.8 周囲の健康のためやめた方がよい 0 10 20.7 20 30 40 50 % 2)喫煙者と喫煙行動との関連 ②未成年者の喫煙について 図3 未成年者の喫煙について 24.1 自分の健康のためやめた方がよい 法律で定められているのでいけない 17.3 自分の責任でならかまわない 7.0 13.8 10.3 周囲の健康のためやめた方がよい 0 5 講演前(n=29) 講演後(n=29) 13.8 3.4 個人の自由である 20.7 24.1 10.3 周囲に迷惑をかけなければよい 41.4 10 13.8 15 20 25 30 35 40 45 % 2)喫煙者と喫煙行動との関連 ③看護職(学生)の喫煙について 図4 看護職(学生)の喫煙について 周囲に迷惑をかけなければよい 13.8 自分の責任でならかまわない 13.8 看護職としてやめた方がよい 10.4 個人の自由である 10.4 17.2 20.7 20.7 17.2 20.7 自分の健康のためやめた方がよい 3.5 周囲の健康のためやめた方がよい 0 5 講演前(n=29) 講演後(n=29) 24.1 24.1 10 15 20 25 30 % 4.喫煙行動への意識の変化 1)禁煙できない理由 図5 禁煙できない理由(n=4) 25.0 タバコのつきあい 0.0 50.0 吸わずにはいられない 0.0 無回答 0.0 25.0 その他(やめるつもりなし) 0.0 その他(やめられないから) 0.0 25.0 タバコはおいしいから 0.0 25.0 落ち着かないから 0.0 25.0 0 講演前(n=4) 講演後(n=4) 25.0 10 20 30 40 50 60 % 2)禁煙の条件 図6 禁煙の条件:複数回答(n=5) 体調が悪くなる 20.0 医師による禁煙の指示 20.0 タバコ代金が高くなる 20.0 講演後 補助手段のサンプル配布 40.0 0 10 20 30 40 50 % 3)今後の喫煙の意志 図7 今後の喫煙の意志 25.0 25.0 やめるつもりはない 本数を減らしたい 0.0 25.0 講演前(n=4) 講演後(n=4) 50.0 50.0 やめたいけどやめられない 25.0 やめたい 0.0 0 10 20 30 40 50 60 % Ⅳ まとめ 1.看護学生の喫煙問題に関する知識 喫煙と疾患の関連については、看護学生 でも認知度にばらつきがある 喫煙が周囲に与える影響・喫煙防止対策 についての知識は少ない 2.喫煙に関する教育による認識の変化 看護学生の喫煙行動は望ましくないとい う認識が高まる 喫煙は周囲や自分の健康のためにやめ た方がよいという認識が有意に高まり、 喫煙の社会的問題に気づく 3.看護学生の喫煙行動 禁煙できない理由として ①たばこの依存性 ②喫煙による仲間意識 がある 4.看護学生への禁煙支援体制 教科とは別立ての喫煙に関する教育の 実施が必要である。 学生は禁煙したいと望んでおり、禁煙の ための人的支援を求めている。 今までの喫煙教育の機会が少なく、ニコ チン依存や友人関係を保つために喫煙 をやめられない学生理解と、心理面に配 慮した教員の関わりが大切である。
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