寡占市場 • 少数の企業 • 競争はあるが、企業は一定の価格支配力を もつ(完全競争ではない) • 典型的なモデルの一つが、クールノー・モデ ル:2社の場合であると、企業1について、以 下のような利潤関数を想定する: ( y1, y2 ) P( y1 y2 ) y1 C( y1 ) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved クールノー・モデル(1) • 利潤関数を独占の場合と比較すると、 P( y1 y2 )の部分が異なっていることがわかる。 • 他社の供給量が増加することは、価格を下げる ことを通じて、自社の利潤を減らす。 • 企業1が、 y2 が外生変数であると想定し、 y1 を最適に選択するという問題を考える。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved クールノー・モデル(2) • 以下が利潤の関数 ( y1, y2 ) P( y1 y2 ) y1 C( y1 ) • y1 で微分してゼロと置くと、条件は ( y1 , y2 ) P( y1 y2 ) P '( y1 y2 ) y1 MC 0 y1 • となるが、 y1 を y2 に応じて変化させることを 考慮して y1 f1 ( y2 ) を反応曲線と呼ぶ。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 反応関数と均衡 y2 y1 f1 ( y2 ) クールノー均衡 y2 f2 ( y1 ) M: 独占の生 産量(横軸) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved y1 クールノー均衡の性質 • 独占企業よりも生産量は一般に多い(競争が あるため) • 完全競争均衡よりは生産量が少ない(価格 は限界費用を上回るため) • 市場参加者が少ないので、「ゲーム的状況」 となる。 • もし2社が共謀して総供給量を独占企業並み に抑えれば、「カルテル」になる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved カルテル • クールノー企業(2社:A社、B社) • 2社で共謀して、独占企業と同じ生産量を市 場に供給(この場合、利潤が最大になる) • このとき、2社の状況は、ゲーム理論でいうと ころの「囚人のジレンマ」の状況になる。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved プレイヤーAとBの利得の例 (Aの利得, Bの利得) • 利得行列 B 生産量 少量 生産量 多量 生産量 少量 A 10,10 0,20 20,0 5,5 生産量 多量 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 支配戦略 • A社は、B社の戦略が何であれ、生産量を多く したほうが自分の利得が高い。 • このため、「生産量を多くする」ことは、いつで も最適であるといえる。このような戦略が存在 するとき、それを「支配戦略」とよぶ。 • B社にとっても同様に、生産量を多くすること が支配戦略である。 • 両社が生産量を多くすると、均衡では独占利 潤の「分け合い」は行なわれない。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved ゲームが繰り返されると: • すなわち、1回だけのゲームであれば、どちら も多い数量を生産し、共謀は成立しない。こ れは消費者にとってはよいことである。 • しかし、共謀はゲームが何度も繰り返される ときでも、成立しないのだろうか?(ゲームと しての問題) • (10,10)と(5,5)を比較すると、双方の利得は5 ずつ減少している。これをわかっていて、2企 業はそれを繰り返すだろうか? © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 複数回繰り返すとき • 有限回の繰り返しであると、結局、(5,5)の均 衡が繰り返されることになる。 • 最終回は、1回だけの場合と同じ結果になる はず。 • それがわかっていれば、最終回の前の回も、 1回だけの場合と同じ。 • この理由を続けて適用することにより、有限 回であれば、共謀は実現しない。常に、囚人 のジレンマ状態である。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 無限回の繰り返し • それでは、無限回繰り返す場合には、共謀は 成立するか? • 実は成立することが知られている。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 課税の場合の計算問題 • 課税の場合に均衡がどこにくるかは、スライド のような図で理解できる。 • この場合の条件は、 – 税金が需要者の支払価格(税込)と供給者の受 取価格(税引き後)の差に等しくなっている – 需要量と供給量が一致する(ように価格が調整し ている) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 負担割合(均衡付近の拡大図) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 応用問題:税金のある時の均衡 連立方程式を用いた解法(1) • 税金と需要者・供給者価格 Pd1 Ps1 t (1) (税金のかかり方によって、 Pd 1 1 t 1 Ps • 需要と供給(需給は数量Xで均衡) X D(Pd1 ) X S ( Ps1 ) (2) (3) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 等となることも) 税金のある時の均衡 連立方程式を用いた解法(2) • (1)-(3)を連立させて、内生変数 Pd1, Ps1, X を求め る。 • そうすると、需給の均衡と、税の水準がすべ て条件を満たしている価格と数量が導出でき る(価格は2つあることに注意。ただし、上記 の場合は、最初の式を使えば、片方はもう片 方から導出できる)。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 企業の費用最小化 • 複数の生産要素を用いて生産活動を行なう 企業を想定。 F ( L, K ) は生産関数。 min C ( w, r; y ) wL rK L,K subject to F ( K , L) y C ( w, r; y ) 費用関数 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 消費者の支出最小化 • 複数の財を消費する消費者を想定。 min E( p1 , p2 ; u ) p1 x1 p2 x2 x1 , x2 subject to U ( x1, x2 ) u 支出関数 E( p1, p2 ; u) © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 補償需要関数 • 支出関数の導出においては、x1,x2が内生変 数である。 • これらのx1,x2を需要量とする、需要関数を導く ことができる。この需要関数を補償需要関数 C x とよぶ。 i ( p1, p2 ; u) と表記(Cはcompensatedに 対応)。 • この需要関数は、費用関数における要素需 要関数と同じであることに注意。 シェパードの補題 • 補償需要関数について、以下が成り立つ: E ( p1, p2 ; u ) C xi ( p1, p2 ; u) pi i 1, 2 シェパードの補題の考え方(1) • 支出関数とは以下である: E( p1, p2 ; u) p1x1C ( p1, p2 ; u) p2 x2C ( p1, p2 ; u) • この左辺の変化分を、 E と書く。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(2) • いま、 p1 のみが変化すると考える。このとき、 支出額の変化は E p1x1 p1 x1 p2x2 = p1x1 p2x2 p1 x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(3) • ここで、以下が成り立つ: p1x1 p2x2 0 • 効用が一定水準に保たれていることから、 x1, x2 は無差別曲線に沿って動いている ことに着目する。 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(4) • 【復習】支出最小化の条件とは、限界代替率と価 格比率が一致すること。 • 限界代替率の定義を用いて、この条件は以下の ようになる。 x2 U / x1 p1 MRS x1 U / x2 p2 • © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(5) • 無差別曲線に沿って動くとは、 x1, x2 が以下を満たすことを意味する: x2 U / x1 MRS x1 U / x2 • しかし一方で、最適解の条件とは: x2 U / x1 p1 MRS x1 U / x2 p2 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved 支出最小化 等支出曲線 傾きの絶対 値:p1/p2 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(6) • 支出関数は、費用最小化の最適点での支出 である。最適解の条件を変形すると: p1x1 p2x2 0 • これを代入して: E p1x1 p1 x1 p2x2 = p1 x1 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved シェパードの補題の考え方(7) • 以上から、一般性を失うことなく E E ( p1, p2 ; u) x ( p1, p2 ; u) pi pi C i i 1, 2 © Yukiko Abe 2014 All rights reserved
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