Interregional Mixed Duopoly, Location and Welfare Graduate School of Economics, Waseda University Tomohiro Inoue, Yoshio Kamijo, and Yoshihiro Tomaru 産業組織研究会; 2007年5月16日 1 概要 » » » » » » 混合寡占 研究目的 先行研究 モデル 結果 結論と今後の研究 産業組織研究会; 2007年5月16日 2 混合寡占 » 公企業と私企業の競争(寡占) 公企業: 私企業: 厚生最大化 利潤最大化 » 例: エネルギー産業(電力・ガスなど); 運 輸業 » 国営企業だけでなく,地方公企業も存在 » 例: 教育(県立校・市立校); 病院(県立・市 立) 地方公企業: 当該地域の厚生最大化 国営企業: 一国全体の厚生最大化 産業組織研究会; 2007年5月16日 3 研究目的 » 地方公企業が当該地域外の市場,企業,消費者 の存在によって受ける影響 » 国際社会における公企業の存在 … 一国における各地域の地方公企業と,国家連合体に おける各国の国営企業の関係の類似性 » 地方公企業についての分析は少ない 立地モデル(線分市場モデル)を用いて分析す る 産業組織研究会; 2007年5月16日 4 先行研究(1/2): 混合寡占 » 混合寡占 De Fraja and Delbono (1989) » 立地モデルを用いた混合寡占分析 線分市場(Cremer et al., 1991; Matsumura and Matsushima, 2003, 2004) 円環市場(Matsushima and Matsumura, 2003; Li, 2006) 産業組織研究会; 2007年5月16日 5 先行研究(2/2): 線分市場モデル 研究の位置づけ(すべて複占,shopping model) 私企業 vs. 研究 私企業 d’Aspremont et al. (1979) 国営企業 地方公企業 Cremer et al. (1991) 本研究 » 各企業の違いは目的関数 私企業: 自己の利潤 国営企業: 一国全体の厚生(社会厚生) 地方公企業: 当該地域の厚生 産業組織研究会; 2007年5月16日 6 d’Aspremont et al. (1979) » 私企業複占,消費者は一様分布,各消費者は財 を1単位購入,輸送コストは距離に関して二次 企業A 0 企業B 1/2 産業組織研究会; 2007年5月16日 1 7 Cremer et al. (1991) » 混合複占(一方の企業は国営企業),消費者は一 様分布,各消費者は財を1単位購入,輸送コスト は距離に関して二次 企業A 0 1/4 企業B 1/2 3/4 産業組織研究会; 2007年5月16日 1 8 モデル(1/3) 消費者は区間 [0 , 1] に一様に分布している 各消費者は必ず財を1単位購入する 消費者の負担する輸送コストは距離に関して二次 区間 [0 , 1/2) を地域A,区間 [1/2 , 1] を地域Bとする 企業Aは地域Aの政府に所有され(地方公企業),企 業Bは地域Bの住民に所有される(私企業)→複占 企業Aは地域Aの厚生最大化,企業Bは利潤最大化 » 各企業は同質財を生産し,生産費用はゼロ » ゲーム構造(2段階ゲーム) » » » » » 1st:立地点の決定, 2nd:財価格の決定 産業組織研究会; 2007年5月16日 9 モデル(2/3): 図解 ① ④ ② PB PA 0 ③ a 1/2 x 地域 A b 1 地域 B » 地域Aの厚生=① - ② - ③ » 企業Bの利潤=④ ※ 社会厚生=-(総輸送コスト) 産業組織研究会; 2007年5月16日 10 モデル(3/3): 立地パターン » 無差別な消費者の立地点 x がどちらの地域に存 在するか(下図),両企業の立地点の関係(a ≦ b or a > b)で4つの立地パターン 企業の立地点の逆転は結果に強く影響する 0 a A 1/2 x b 1 B x 1/2 0 a A 産業組織研究会; 2007年5月16日 b 1 B 11 結果(1/4): Theorem 1 & Proposition 1 » 部分ゲーム完全均衡は2つ存在する(E1, E2) » E2はE1をパレート支配するが,社会厚生はE2に 比べてE1の方が高い a1 E1: E2: 0 1/4 1/2 x2 b2 0 x1 1/4 b1 3/4 1 3/4 1 a2 1/2 産業組織研究会; 2007年5月16日 12 E1の解釈 企業Aの立地決定に影響する3つの誘因 » ① 企業Bから離れる誘因 i. ii. ② ③ 直接効果(乖離による価格弾力性の低下→価格上昇) 間接効果(企業Bの価格上昇→戦略的補完による価格上 昇) 地域A住民の輸送コスト削減誘因 地域B住民からの需要拡大誘因 地域B住民への販売 a a1 0 1/4 x1 1/2 産業組織研究会; 2007年5月16日 b1 1 13 E2の解釈 » 誘因②,③が相対的に強く働き,企業Aは1/2よ りも左方に立地 E1に比べてパレート優位 A) B) 顧客の大部分は地域B住民であるため,高い価格設 定 企業Aの価格上昇により,需要拡大 地域B住民に負担を押し付けているため,社会 厚生はE1よりも低い b2 0 x2 a2 a 1/2 1 産業組織研究会; 2007年5月16日 14 E1 or E2 ? » どちらの均衡が成立するのか? e.g. 2 × 2 matrix 2 L R U (7 , 7) (8 , 0) D (0 , 5) (9 , 9) 1 パレート優位な均衡: (D , R) リスクを考慮する基準(安全性を考慮する場合): (U , L) c.f. マキシミン原理,リスク支配 産業組織研究会; 2007年5月16日 15 結果(2/4): Proposition 2 » 均衡選択 (企業Aの利得,企業Bの利得) 企業B 企業A b1 b2 a1 (0.0548 , 0.1231) (0.0645 , 0.0529) a2 (0.0250 , 0.0656) (0.0913 , 0.1338) E2 = (a2 , b2) はパレート優位だが, リスクを考慮する場 合, E1 = (a1 , b1) が選択される可能性もある 産業組織研究会; 2007年5月16日 16 「国→地方」の影響 » 企業の所有パターンの追加 国 民間 国 地方 民間 民営化だけでなく,地方公営化も・・・地方分 権 どの所有パターンが望ましいのか? 産業組織研究会; 2007年5月16日 17 結果(3/4): Proposition 3 » 社会厚生上,企業Aを所有するのは国が望まし い a 国営企業 b WN 1/4 1/2 3/4 b a 地方公企業 1/4 WL 1/2 a 1 > 0 1 > 0 (E1) 社会厚生 b WP 私企業 0 1/2 産業組織研究会; 2007年5月16日 1 18 結果(4/4): Proposition 4 (政府間 競争) » 各地方政府が自地域の厚生最大化を目的とする » 各国の民営化政策が市場を通じて相互に影響す る場合に各地方政府は民営化を選択するか? (地域Aの厚生,地域Bの厚生) 地域B 地域A 民営化 公営化 民営化 (-0.0417 , -0.0417) (-0.0987 , 0.0548) 公営化 (0.0548 , -0.0987) (-0.0104 , -0.0104) 民営化は選択されない 産業組織研究会; 2007年5月16日 19 結論と今後の研究 【結論】 » 均衡が複数存在し,パレート優位な均衡における社会厚 生はパレート劣位な均衡における社会厚生よりも低い » 地方公企業はどの均衡においても当該地域内に立地する » 国,地方政府は企業を民営化する誘因をもたない 【今後の研究】 » 地域間の規模の違い(非対称地域) » 同質財数量競争 産業組織研究会; 2007年5月16日 20
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