第6章 デフレの鍵は賃金 ー「なぜ日本 だけ

第6章 デフレの鍵は賃金
ー「なぜ日本だけが?」の答え
D班 板橋、西野、渡辺
石井、宮川
2013.11.20
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1.賃金の変動に注目する
“実体経済が回復しても改善の兆しがみられないもう一
つの問題はデフレーションである”
⇒ *日本の物価・・・下げ
*GDPデフレーター・・・下げ
*卸売物価指数・・・下げ
*消費者物価・・・デフレ
*名目賃金・・・下げ
2002年 多くの企業でベースアップゼロ
・定期昇給制度見直し
・年俸制導入企業増加
制度変更は平均的な名目賃金水準を低下させる
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90年代 日本の労働分配率が以上に高まる
“維持不可能なほど高い水準に”
よって、、、経営者側が賃金上昇の抑制
賃下げを求める
1998年 日本の名目賃金下落傾向
図6-1,2
中堅・中小企業では分配率の低下は緩やか
大企業セクターでは労働分配率が水準を下回って低下
⇒大企業の人件費抑制スタンスの強まりが分配率の下げすぎの
主要
*平均賃金低下の理由
・賃金の低い非正規労働者の比率があがったこと
・フルタイムの正規労働者の賃金がさがったこと
*ユニットレーバーコストの低下
⇒生産一単位あたりに要するコスト
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★名目賃金の下落が始まった1998年になにがおこった
のか。
1997年 タイのバーツが急激に値下がり
⇒アジア通貨危機発生
(アジア経済危機の影響などで輸出が減少)
1998年 小渕首相が金融再生法
⇒金融庁設置
・北海道拓殖銀行破綻
・日本長期信用銀行は日本政府により国有化され新生銀行
に生まれ変わった。
“日本経済がマイナスに陥った年”
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なぜ日本の賃金は下落するのか?
<理由> ほかの国と比べて賃金が伸縮的で
あるため
①「ボーナス」の役割
→景気・企業業績に応じて賃金を変えやすい
②「春闘」の役割
→全企業・全産業で賃金が毎年同時期に決まってしまう
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効率賃金モデル
◆従業員が最も効率よく働いてくれる賃金の額を
決定付けるモデル
• 高すぎる→企業の利潤が減る
• 低すぎる→従業員のやる気が低下or辞めてしまう
参照 P181 (6.1)~(6.3)式
一般的な賃金モデルでは…
需要αの変化に対して賃金Wには影響を与えず、
労働雇用Lのみを変化させる
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「日本型」効率賃金モデル
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2-1 日本の賃金とデフレ体質
・日本独特の賃金傾向
①「雇用を増やした成長業種ほど賃金が下がる」
→増加した雇用の多くを低賃金の非正規雇用で賄うため
→日本のパートの賃金は正規社員の48%と低く、企業は人
件費を抑えるべく積極的にパートを起用
②「事務職の飽和」=「賃金の低下」
→給与の高い技術職等は人手不足だが一般的な事務職は人
手が余っている
→事務職の求職者間の競争が激しいため、人件費を抑えたい
企業は賃金を低く設定する
上記2点の改善のためには…
日本の産業における生産性の向上が求められる
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2-2 合成の誤謬としてのデフレ
◆合成の誤謬とは
個人にとって合理的な行動であっても、多くの人がその行動
をとることによって、社会全体に不都合な結果が生じること
e.g. 将来に備えての貯蓄
→結果として社会経済の停滞を招く
◆日本がデフレーションに陥った理由
企業にとって一時的に合理的なこと(e.g. コスト削減のため
の定期昇給の見直しetc.)が、結果として名目賃金の低下を
招き、デフレーションを誘因した
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