底生生物を用いた水質判定法 1.水質の判定の方法 わが国の水質判定法は主に以下の4種が使用されてる。 1)B.I(Biotic-index)法 2)多様性指数(Diversity index)法 3)P.I(Pantle u. Buck)法 4)Zelinka u. Marvan法(以下Marvan法) 1)B.I(Biotic-index)法 B.I法はBeckが1955年に河川の調査地点に生息す る肉眼的動物の種類を利用し汚濁の指数として提案したも のを1960年に津田松苗氏が改良し(Beck-津田α法) を、更に、1972年に津田松苗氏が改良し直し(Beck- 津田β法)として、再提案したものである。 ある河川について採取した水生生物を汚水生物学指標生 物表という資料から汚水非忍耐性(汚水に耐えられない生 物の種類数でこれを”A”とする)と汚水忍耐性(汚水に 耐え得る種生物の種類数でこれを”B”とする。)とに分 類し、次の式で判定する。 B.I=(2×A)+B このように計算が簡単なため主に小・中学校で使用され ているが、この判定は種類数だけを考慮して判定するので、 判定結果に疑問を生じる場合がある。 2)多様性指数(Diversity index)法 多様性指数法は、環境に加わるストレスを考慮し、ストレ スに耐えられない種は滅亡し、耐えうる種の個体数を増加 させるという考え方です。この考えを汚濁生態系に適用し たものが次の仮説です。 ①環境変化は生物たちの住み方に変化をもたらす。 ②生物たちの住み方の変化は多様性の変化をもたらす。 ③多様性の変化は汚濁などの環境変化では減少する傾向にある。 多様性指数の判定結果は次式にて表される。 D.I=-[pi×log2(pi)] pi :Ni/N Ni :種iの個体数 N:[Ni]全個体数 採取した生物の1種が極端に少ない場合は判定ができない ため不安定です。 3)P.I(Pantle u.Buck)法 採取した生物のそれぞれの種類における個体数を生物種 の体型によって大型、中型、小型の3段階に分け(出現多 少度:h)、またその生物が一般的に多く存在する水域の 水質状態(汚濁階級値:s)を、4段階に分類し、それぞ れのhとsの値を次式 P.I=Σ(s×h)/Σh に代入し、そのP.Iの指標を得ようとするものである。 しかし、個体数の多い少ないを見積もり、必然性のない評点 を与えていることから、Benisch(1957)、Liebmann (1962)、Caspers u.Schulz(1960、1962)らは”う わべの精確さ”にすぎないとして、適当に数値を与え、計 算するこの方法に批判的です。 精確:[形動] [ナリ]詳しくてまちがいのないさま。綿密で正確なさま。 「対象を―に分析する」「―な考察」 4)Zelinka u.Marvan法(以下Marvan法) この水質判定法では、前の3つの方法と同様に汚濁階 級というものを用いて判定する。汚濁階級は、貧腐水性 (os:きれい)、β中腐水性(βms:少しきたない)、 α中腐水性(αms:きたない)、強腐水性(ps:たい へんきたない)の4段階に分類されており、これらをザ プロビ値(Saprobielle Valenz)と呼んでいる。このザ プロビ値は環境における条件を表現するための1つの方 法である。水生生物は1つのザプロビ値のみに所属する と言えない場合が多い。貧腐水性にのみ出現するという 種はむしろ少なく(カゲロウ類の1部とトビケラ類の1 部、そしてカワゲラ類等がこれに当てはまる)、4つの ザプロビ値のうちの2~3の水域にわたって出現する種 が殆どを占める。つまり、このザプロビ値は各汚濁階級 における個体数の多少を表現するものではないというこ とである。むしろ、指標性の重点を表現するものと考え るべきである。 インディケーター価値は水生生物がこのように広範囲の 環境に生息しているか、1つのザプロビ値のみに出現す るような狭い環境に生息しているかを指標性の重みとし、 数値で表す。インディケーター価値の低い種は広環境性 種(群)、高い種は狭環境性種である。 このMarvan法では、独自の生物リスト(当プログラム では御勢 久右衛門氏が日本水処理生物誌(Vol.14、 No.1、1978及び1982に「環境科学」研究報告 書で追補改訂)に発表した我が国の河川用にアレンジさ れたリストを使用)をつくっています。わが福井県は都 市圏と違い貧腐水性(きれい)からα中腐水性(きたな い)にわたる水生生物が多く生息しているようです。
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