第一席 茶道に染まる 松沢 優花

第一席
茶道に染まる
森村学園高等部一年(神奈川県)
松沢 優
花
中学生の時に茶道を始めてから四年目を迎える今年、茶道の道の
りはまだまだ長いがひとつひとつの所作は身に付いてきたと思う。
洋式の生活スタイルでは使い道がないだろうと。しかし実際に私に
良い変化を与えている。そして先生の言葉の意味を実感する。
つまり茶道を習うこと、知ることで身に付くものは知識だけでは
ないと言うことだ。それも、ただ順番通りに進められることではな
く、その動きひとつひとつの意味を知ること、それから発展してい
く気遣いなどが出来るようになること。それらが大切なのだという
ことに気付いたのは、つい最近のことである。
そんなことに気付き、実感していくうちに私は「茶道に染まって
きたな」と思う。知識を得るだけではない、その本質を身に付けて
いくこと。そして日々の変化に気付けるようになったこと。茶道は
など。茶道を始める前は聞いたこともない、ましてやする機会など
ち着くものへと変わっていくにつれて、その気持ちがどんどん大き
そして今、茶道に染まりつつある私はもっと深く染まりたいと思
うようになった。初めは緊張するものだったお茶室の畳の香りが落
私に様々なことを教えてくれた、身に付けさせてくれた。
ないような所作が自然と身に付いていることに、私は驚きと嬉しさ
くなった。もちろん、身体の奥底まで染まりきるのは何年、いや何
初めは出来なかったことが自然と出来るようになってきた。例え
ば、真行草のお辞儀の使い分けや、座っている時の手の位置や姿勢
を感じた。また、日々の生活で気を付ける点も多くなっていった。
と、駆け足になることなく踏みしめ自分のものにしていきたい。
少しずつでも着実に私を染め上げてくれるもの、立派な大人に近
づくための手助けをしてくれるもの、それが私にとっての「茶道」
十年先の話だろう。しかしそこまでの道のりを楽しんで、しっかり
面倒くさがりな私がここ数年で少し変わったと母が言った。そう
言われて、私もふと気が付いた。食事の時にお茶碗の正面を気にす
途中でも駅のエレベーターなどでの気遣いが出来るようになった。
ではないかと、手に馴染むようになった帛紗を捌きながら私は思う。
るようになったり、猫背気味だったのが直っていたり。また、通学
周りをよく見られるようになった。そんな日常の変化をもたらした
のはなんだろうと考えた時、思い出す。
「茶道は普段の生活に表れるのよ」
私が茶道部に入りたての頃に先生に言われた言葉だった。始めて
すぐは、こんな日常に結びつかない動きが何故日々の生活に活きる
のかと思った。もちろん和室で生活する場合は使えるだろうが今の