ユースケース • オブジェクト指向の要求分析のためのモデル。 • スウェーデンのイヴァー・ヤコブソンが1990年代前半に開発。 – 現在、UMLの標準モデルの1つになっている。 • システムの要件を外部環境との相互作用に着目して明確化。 – ユースケースとは、システムを外部から利用(use)する事例パターン (case)という意味。 – ユースケースは、システムが外部環境と相互作用した結果生じる一連 のアクティビティを示す。 – 相互作用とは、一方のリクエストに対して、他方がレスポンスすること。 顧客 リクエスト レスポンス システム リクエスト 取引先 レスポンス リクエスト 他システム レスポンス All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 1 ユースケース図 • アクター – 対象システムに直接関わる人やシステムを役割として表わす。 – 主アクター:対象システムに対する要求をもった人やシステム。 – 支援アクター:対象システムからの要求に応じる人やシステム。 • ユースケース – 主アクターの要求を達成する処理。 – 支援アクターを使って自ら(システム)の要求を達成する処理。 • 関係 – 相互作用:アクターとユースケースの間の相互作用。 – 包含:複数のユースケースが、1つの共通的なユースケースの機能 を含む。 – 拡張:あるユースケースが別のユースケースの機能を拡張したもの である。 – 汎化:類似した機能のユースケースを抽象的なユースケースにまと める。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 2 ユースケース図 交信X ユースケース1 交信Y ユースケース2 アクターA ユースケース3 ビジネスシステム 交信Z アクターB All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 3 ユースケースのシナリオ ■基本パス 単純な正しいパス(ハッピーパス)、すなわち、間違いや失敗がなく、最 も一般的な流れを示す。 ■拡張パス どちらかというと一般的でないパス(選択肢)、または、間違いがあった ときに発生するパス(エラー処理)。 ■事前条件 ユースケースを開始するために準備すべきこと。 ■事後条件 ユースケースが正常終了した後に満足されている条件。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 4 オンラインショッピングのユース ケース図 顧客 商品を選ぶ <<extend>> 期間限定の商品を注文する 汎化 商品を注文する <<include>> 配送業者 <<include>> ユーザ認証を行なう 商品の状況を確認する 会員 決済する ネット銀行 オンライン決済する 汎化 クレジット決済する クレジット会社 オンラインショッピングシステム All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 5 「商品注文」ユースケースのシナリオ ■ユースケース名:顧客からの注文を受け付ける ■要約:顧客から注文を受け、商品を調達して、顧客の元に配送する。 ■基本パス: 1. 顧客から注文を受ける。 2. 商品の在庫を調べ予約する。 3. 顧客に商品の納期と価格を回答する。 4. 配送業者に商品の発送を依頼する。 ■拡張パス: 2a. 商品の在庫がない: 2a1. メーカに商品を発注し、納期を確認する。 3a. 顧客が注文をキャンセルする: 3a1. 注文のキャンセルを記録し、商品の予約を解除する。 ■トリガー:顧客が注文を提示する。 ■事前条件:商品の注文受付準備ができている。 ■事後条件:注文された商品を配送業者に依頼済み。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 6 ユースケースの作成手順 1. アクターを識別する。 – – – 2. 開発対象とするシステムを定義し、それと相互作用(要求と)する外 部環境をリストアップ。 システムに処理を要求する主アクターをシステムの左に配置。 システムから処理を要求される支援アクターをシステムの右に配置。 ユースケースを識別する。 – – – 主アクターとシステムの相互作用に対応したユースケースを設定。 支援アクターとシステムの相互作用に対応したユースケースを設定。 相互作用を見つけるには「業務イベントモデル」が有効。 3. ユースケースのシナリオを記述する。 – – – 各ユースケースの処理手順を記述(10ステップ以内が適当)。 何も失敗がなくうまくいく状況を仮定して、基本パスを記述。 条件分岐や例外処理として、拡張パスを記述。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 7 業務イベントモデル 要求 ①準備 依頼者が実行者に 業務を提示する 依頼者 代案提示 ②交渉 依頼者と実行者が 実行条件に同意する 満足 同意 受入拒否 ④合意 依頼者が業務の成果を 受入れ評価する : 状態 完了報告 実行者 ③実行 実行者が業務を実行し 完了を通知する : 業務イベント All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 8 オンラインショップの業務イベントモデル ①準備 HPアクセス ②交渉 • 商品の選択 • 商品の注文受付 商品の再選択 満足 注文確定 ④合意 返品 ③実行 • 商品の受注処理 • 注文状況の確認 • 決済 発送 : 状態 : 業務イベント All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 9 ユースケースの演習問題 [問題1] ATMで現金を引き出すときのユースケースを書きなさい。 1. ユースケース図の作成 ① アクターを洗い出し、対象システムの範囲を確定せよ。 ② ATMとアクターとの相互作用を全て挙げよ。 2. ユースケースの作成 ① 最も重要と思われるユースケースを選び、基本パスを書け。 ② 拡張パスを追加せよ。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 10 ユースケースの演習問題 [問題2] インターネット入試募集要項を読み、次の1~4の手 順に従ってインターネット入試をサポートする情報シス テムのユースケースを作成せよ。 1. 2. 3. 4. アクターを全て洗い出せ。 アクターとシステムの相互作用をリストアップせよ。 ユースケース図を作成せよ。 ユースケース図の中から最も重要と思うユースケースを1 つ選んで、その具体的な実行手順をかけ。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 11
© Copyright 2024 ExpyDoc