プロジェクト 開始 ユースケースポイント法 <ユースケースポイント法とは> プロジェクトが完了するまでの工数(人時)を、ユースケースに 基づいて見積もる。 具体的には、アクターのタイプとユースケースの複雑さをベース とし、それを技術要因(技術的な難しさ)と環境要因(メンバーの 経験レベル)を加味して補正する。 UCP= UUCP×TCF×EF UUCP (未調整UCP)=①+② TCF (技術要因の重み)=0.6+(0.01×③) EF (環境要因の重み) =1.4+(-0.03×④) 工数= UCP×20 人時 (危険指数≦2 ) UCP×28 人時 (危険指数=3又は4 ) プロジェクトの再計画(危険指数≧5) ただし、 危険指数=EFのE1~E6で2以下の数+E7~E8で4以上の数 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 1 プロジェクト 開始 ユースケースポイント法 <アクターの重み付け> タイプ 意味 単純 プログラムによるインタフェース 1 平均 対話型またはプロトコルのインタフェース 2 複雑 グラフィカルインタフェース 3 アクター名 合計 係数 係数 理由 ① All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 2 プロジェクト 開始 ユースケースポイント法 <ユースケースの重み付け> タイプ 意味 係数 単純 3以下のトランザクション/4以下の分析クラス 5 平均 4~7のトランザクション/5~10の分析クラス 10 複雑 8以上のトランザクション/11以上の分析クラス 15 ユースケース名 合計 係数 理由 ② All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 3 プロジェクト 開始 ユースケースポイント法 <技術要因(Technical Complexity Factor)の重み付け>(係数は0~5の6段階) 要因 意味 重み T1 分散システム 2 T2 レスポンス/スループット性能を重視 1 T3 オンラインでエンドユーザの効率を重視 1 T4 内部処理が複雑 1 T5 コードを再利用する 1 T6 インストールしやすい 0.5 T7 使いやすい 0.5 T8 移植性が高い 2 T9 変更しやすい 1 T10 並列処理を行なう 1 T11 特別なセキュリティ機能が必要 1 T12 第三者に直接アクセスを提供 1 T13 特別なユーザトレーニングが必要 1 合計 係数 値 理由 ③ All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 4 プロジェクト 開始 ユースケースポイント法 <環境要因(Environmental Factor)の重み付け>(係数は0~5の6段階) 要因 意味 重み E1 採用するプロセスに慣れている 1.5 E2 その分野での開発経験がある 0.5 E3 採用する方法論に慣れている 1 E4 プロジェクトリーダの能力が高い E5 プロジェクトに対するやる気がある 1 E6 要件が安定している 2 E7 メンバーにパートタイムスタッフがいる -1 E8 難しいプログラミング言語を使用 -1 合計 係数 値 理由 0.5 ④ All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 5 プロジェクト 開始 見積りの演習問題 今回は、インターネット入試システムの全体機能のうち、①出願手続、②選抜、③合格発表の3つの ユースケースを対象としたシステムを構築する。 これらのユースケースのうち、③はトランザクションが3個以下の単純な処理であり、 ①と②は4個か ら7個の平均的な処理である。また、教官や学生課にはグラフィカルな使いやすい画面を提供し、志願 者にはメールによるインタフェースを提供する。 技術的な難しさとしては、次の点があげられる。 ・レスポンスとオンラインでの効率性を重視している。 ・エンドユーザが計算機に不慣れであるため、プログラムのインストールが容易で、使い勝手がよくな ければならない。 ・教官や学生課の担当者がマルチユーザのスタイルで利用する。 ・入試のルールは変わりやすいのでシステムの拡張性が必要。 ・入試業務という性格上、セキュリティが極めて大事。 これら以外の項目に関しては、平均的なレベルとする。特に、コードの再利用や移植性に関しては、予 算の都合上考慮しないことにする。 環境要因としては、次の点が気になるところである。 ・開発メンバーの顔ぶれを見ると、今回採用する段階的なシステム開発のプロセスに慣れている人が いない。 ・入試関係のシステムの構築は初めてである。 ・オブジェクト指向技術を全面的に採用する予定であるが、この技術に詳しいメンバーがいない。 また、プラス要因としては、次の2点があげられる。 ・メンバーは全員専任であり、このプロジェクトの成功を確信して燃えている。 ・入試業務の仕様は検討に検討を重ねており、要件が変更することはない。 さらに、プロジェクトリーダの能力は平均レベルであり、プログラミング言語はPHPという新しいが習熟 しやすいものを採用する。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 6 プロジェクト 開始 見積りの演習問題 インターネット入試 サポートシステム 入学資格審査 登録手続き 志願者 学生課 受験準備 出願手続き 選抜 教官 合格発表 入学手続き All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 7 プロジェクト 開始 見積りの演習問題 ■ユースケース名:選抜 ■要約:入学願書、学業成績、論文、面談に基づいて合格者を決める。 ■基本パス: 1. 教官は、志願者が提出した入学願書、学業成績、論文に基づいて書類審査合格者 を決める。 2. 教官は、書類審査不合格者に、メールで連絡する。 3. 教官は、書類審査合格者と、メールで面談の日程を決める。 4. 教官は、書類審査の内容に関して面談を実施する。 5. 教官は、書類審査と面談の結果に基づいて最終合格者を決める。 ■拡張パス: 1a. 論文の内容に不明点がある: 1a1. 教官は、志願者にメールで問い合わせる。 ■トリガー:出願手続きが終了。 ■事前条件:入学願書、学業成績、論文が準備完了。 ■事後条件:最終合格者のリストが作成済み。 All Rights Reserved Copyright © 2004, Takashi Kobayashi 8
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