スライド 1 - YAMAGATA UNIVERSITY

科学研究費補助金等説明会
平成18年9月29日(金)
山形大学研究プロジェクト戦略室
マネージング・プロフェッサー
山﨑 淳一郎
◆制度の概要◆
科 学 研 究 費 補 助 金 と は
◇ 「学術研究」(研究者の自由な発想に基づく研究)を対象とした
競争的研究資金。
◇ 人文・社会科学から自然科学まですべての分野をカバー、基礎
から応用までのあらゆる段階の研究活動をサポート。
◇ 審査は、延べ5,400人に及ぶ審査員(ピアレビュー)による。
◇ 予算規模は1895億円(平成18年度)。政府全体の科学技術
関係経費(約3.6兆円)の約5%、競争的研究資金全体(約4700
億円)の約40%を占める。
2
科 学 研 究 費 補 助 金 の 位 置 付 け
◇政府による研究推進の分類と「科研費」の位置付け◇
イ
研
究
内
容
・
研
究
者
・
研
究
組
織
等
ニ
シ
ア
テ
ィ
ブ
政府による主導
【mission-oriented research】
研究者の自由な発想
【学術研究 (curiosity-driven research)】
めあ
設ら
定か
じ
政府主導の国家プロ
ジェクトの実施(約2兆円)
大学共同利用機関、大学附
置研究所などにおける特定
目的の研究の推進
【
競
争公
的募
研・
究審
資査
金
】
各省がそれぞれ定める
目的のための公募型
研究の実施
研
自究
由者
の
科学研究費補助金
による研究の推進
基盤的経費
による研究の推進
(矢印は、研究が拡大・発展していく一般的なプロセスを示す。)
3
「30年後の重点分野」を育ててきた科学研究費補助金
「半導体多層薄膜構造による光集積
回路用レーザの研究」
昭和41年度~
光 通 信 の 実 現
(超高速ブロードバンド時代の実現)
末松安晴(国立情報学研究所長)
「ポリアセチレンフィルムの半導体と
しての応用に関する研究」 昭和44年度~
白川英樹(筑波大学名誉教授)
昭和47年度~
「遷移金属錯体を用いる新規合成反応」
野依良治(理化学研究所理事長)
電気を通すプラスチックの実用化
(携帯電話の電池などさまざまな電子
部品に利用)ノーベル化学賞(平成12年)
化学物質の画期的な合成法実現
(副作用のない薬品の製造に幅広く
応用)ノーベル化学賞(平成13年)
4
5
科学研究費補助金に関するルール①
科研費のルールには、「応募ルール」、「評価ルール」、「使用ルール」の3つがある。
①応募ルール
応募・申請に関するルール
• 科研費への応募・申請に関するルール。「公募要領」の内容。
• 応募資格
<研究者要件>
①研究機関に、研究活動を職務に含む者として所属する者
②研究機関の研究活動に実際に従事
<研究機関要件> 補助金が交付された場合、
①研究活動を当該研究機関の活動として行わせること。
②機関として補助金の管理を行うこと。
6
科学研究費補助金に関するルール②
②評価ルール
事前評価(審査)、中間評価、事後評価に関するルール
• ピア・レビューの具体的方法について定めたルール
• 「科学研究費補助金における評価に関する規程」等の内容
• 研究期間が長期の課題→「中間評価」、「事後評価」も
③使用ルール
交付された科研費の使用に関するルール
<研究者使用ルール>交付決定時の「補助条件」の内容
・ 研究者による科研費の使い方に関するルール。
<研究機関使用ルール>
交付内定時の「科学研究費補助金の使用について各研究機
関が行うべき事務等」の内容
・ 研究機関が科研費の管理等を行うことに関するルール。 7
科学研究費補助金の研究種目①
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目
特別研究員奨励費
*日本学術振興会の特別研究員が行う研究助成。
<研究者として採用>
若手研究(スタートアップ) 2年。年間150万円以下。
*研究機関に採用されたばかりの研究者が一人で行う研究
B 2~4年。応募総額500万円以下。
若手研究
*37歳以下。一人で行う
研究
萌芽研究
A 2~4年。応募総額500~3,000万円以下。
1~3年。1課題500万円以下。
*独創的な発想、特に意外性のある着想に基づく芽生え期の研究
8
科学研究費補助金の研究種目②
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目
基盤研究
*一人又は複数の研究者
が共同して行う独創的・
先駆的な研究
*一人又は比較的少人数
の研究者が行う独創的・
先駆的な研究
特別推進研究
C
2~4年。500万円以下。
B 2~4年。500~2,000万円以下。
A
2~4年。2,000~5,000万円以下。
S
5年。1課題5,000万~1億円以下。
3~5年。1課題5億円程度を目安。
*国際的に高い評価を得ている研究で、格段に優れた研究成果を
もたらす可能性のある研究
9
科学研究費補助金の研究種目③
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目
特定領域研究
3~6年。単年度当たり(目安)2000万~6億円。
*我が国の学術研究分野の水準向上・強化につながる研究領域、
地球規模での取組が必要な研究領域、社会的要請の特に強い
研究領域を特定して機動的かつ効果的に研究の推進を図るもの
学術創成研究費
推薦制。5年。
*特に優れた研究分野に着目し、当該研究分野の研究を推進する
上で、特に重要な研究課題を選定し、創造性豊かな学術研究の
一層の推進を図るもの
10
科学研究費補助金の研究種目④
◇研究段階・規模等に応じた多様な研究種目
特別研究促進費
*緊急かつ重要な研究課題の助成
□2006年5月 インドネシア・ジャワ島中部地震による被害に関する調査研究
□2005-2006年 冬期豪雪による広域雪氷災害に関する調査研究
□ハリケーン「カトリーナ」を契機として発生した広域災害に対する社会の対応に関する
総合的検討
*研究助成に関する実験的試行
□年複数回応募の試行→2006年度から実施
ー前年11月の公募受付後、応募資格を得た者及び前年度産前産後の休暇又は
育児休業を取得していたため、前年11月に応募できなかった者が対象。
11
科学研究費補助金の研究種目⑤
◇研究成果の発表のための研究種目
研究成果公開促進費
研究者グループ等による学術的価値が高い研究
研究成果公開発表 成果の社会への公開や国際発信への助成
A <シンポジウム開催> 応募総額の制限なし
科学研究費補助金による相当規模の研究で一般国民の関心が高
いもの、又は民間等との共同研究、受託研究等による相当規模の研
究に関する成果をわかりやすく発表しようとするもの
<講演収録集刊行> 300万円以内
公開シンポジウムの講演収録集を発刊し普及啓発を図るもの
B 学会、民間学術研究機関等が主催するシンポジウム・学術講演会
等で、青少年、一般社会人の関心が高い分野の研究動向・内容をわ
かりやすく普及啓発しようとするもの 150万円以内
C 我が国の学会が主催する国際シンポジウム・国際会議等で、主催
にかかる運営体制が確保されているもの 応募総額の制限なし
12
科学研究費補助金の研究種目⑥
◇研究成果の発表のための研究種目
学術定期刊行物
*学会又は複数の学会の協力体制による団体等が学術の国際交流に資す
るため定期的に刊行する学術誌の助成
学術図書
*個人又は研究者グループ等が、学術研究の成果を公開するために刊行
する学術図書の助成
データベース
*個人又は研究者グループ等が作成するデータベースで、公開利用を目
的とするものの助成
13
科学研究費補助金の配分結果(件数)
平成17年度科学研究費補助金 配分状況
-研究機関別の応募件数・採択件数(新規採択分+継続分)-
その他
10.7%
12,393
【分野別】
その他
1.9%
その他
10.2%
4,579
私立大学
24.9%
28,738
【設置者別】
応募件数
採択件数
人文科学系
7.5%
生物科学系
11.7%
私立大学
21.1%
9,481
社会科学系
10.9%
薬学系
1.9%
公立大学
6.7%
3,013
その他
1.9%
脳・神経科学系
3.6%
国立大学
62.0%
27,821
公立大学
6.6%
7,685
人文・社会系
18.4%
数物科学系
4.9%
歯科疾患関係
3.9%
国立大学
57.8%
66,728
環境・自然災害・
エネルギー科学系 3.3%
生物系
44.6%
地球・宇宙科学系
3.3%
成人病・感染症・その他
疾患関係
16.1%
その他の内訳
研究機関種別
その他
短期大学、高等専門学校
大学共同利用機関法人
国・公立試験研究機関
特殊法人・独立行政法人
企業等の研究所
その他
応募件数
12,393
3,229
1,571
1,694
4,399
250
1,250
(
(
(
(
(
(
(
理工系
35.1%
物質・材料科学系
10.0%
採択件数
10.7%
2.8%
1.4%
1.5%
3.8%
0.2%
1.1%
)
)
)
)
)
)
)
4,579
812
779
675
1,759
70
484
(
(
(
(
(
(
(
10.2%
1.8%
1.7%
1.5%
3.9%
0.2%
1.1%
)
)
)
)
)
)
)
がん・エイズ等
難治疾患関係
7.4%
情報・電気電子
工学系 6.7%
構造・機能工学系
6.9%
14
近年の主な制度・運用上の改善点
年 度
事
項
11
■外国旅費等への使用制限を大幅緩和。
■日本学術振興会へ基盤研究等の種目を移管。
13
■「基盤研究(S)」、「学術創成研究費」を新設。
■一部種目に「間接経費」を導入。
■指定する研究機関の大幅拡大(国の設置する研究機関その他を対象とする)
■直接経費による研究支援者の雇用を可能に。
14
■「若手研究(A)(B)」、「萌芽研究」を新設。
■基盤研究等について、不採択の場合の審査結果の開示内容を充実。
■境界領域の研究の推進等に適切に対応するため「分科細目表」を抜本改正。
15
■文部科学省において学術調査官大幅増員、日本学術振興会において「学術システム
研究センター」を設置し、プログラムオフィサーを配置。
■応募対象者を企業研究者にも拡大。
■年度を越えて使用可能に(繰越明許費として登録)。
■育児休業により研究を中断した場合には、研究を廃止せず再開を可能に。
■不正に使用した研究者及び共同研究者について、一定期間の資格停止措置を導入。
16~
■科研費のルールを明確化するとともに、研究機関との契約によりその責任を明確化。
■研究費目を大括り化し、執行を弾力化。
■平成17年度公募分より、応募資格を「常勤の研究者」から抜本改正。
■不正に関与した共謀研究者についても、一定期間の資格停止措置を導入。
■文科省所管の競争的資金について、資格停止措置ルールの一斉適用
15
■「若手研究(スタートアップ)」を新設。年複数回応募を試行。
補助金の翌年度への繰越し
補助金の翌年度への繰り越し
平成15年度に制度化
平成15年度:24件 平成16年度:10件 平成17年度:55件
◎ 繰越しの要件
① 交付申請書において確認できる研究計画であること
② 交付決定時には予想できなかった外部要因※に基づくものであること
③ 該当する研究計画の経費を繰り越さなければ補助事業が完了することが
できないことができない場合であること
④ 翌年度内に補助事業が完了する見込みがあること
※
①
②
③
④
外部要因
研究方式の決定の困難さ
計画に関する諸条件
気象の関係
資材の入手難
ex.ファージライブラリーの作製のための検討に予想外の期日を要した
ex.外国製加速器の故障・修理のため予想外の期日を要した
ex.地震、津波、豪雨等による研究継続困難
ex.生体肝移植の際の患者死亡による代替の肝細胞入手困難
16
補助金の翌年度への繰り越し(平成18年度改正)
4月1日から、科研費繰越しの取扱いが改正
◇繰り越しの対象を、外部要因に限らず、広く、交付決定時には
予想し得なかった要因によるものとした。
◇繰り越しの事由として「研究に際しての事前の調査」及び「そ
の他のやむを得ない事由」を追加。
◇「繰越し事由」の例示を、10例追加し、5例とした。
〔繰り越し事由〕
1 研究に際しての事前の調査 2 研究方式の決定の困難
3 計画に関する諸条件 4 気象の関係 5 資材の入手難
6 その他やむを得ない事由(1~5の事由に類似した事由に限る。)
17
繰り越し事由「計画に関する諸条件」に次の
例示が追加。
◇ 研究を実施していく中において、○○の事象が生じたこと
で当初予定していた成果が得られないことが判明したため、
当初の研究計画を変更する必要が生じたことにより、その
調整に予想外の日数を要したため…
◇ 研究の進展に伴い、当初予想し得なかった新たな知見が
得られたことから、その知見を使用し十分な研究成果を得る
ために、当初の研究計画を変更する必要が生じたことによ
り、その調整に予想外の日数を要した…
18
使用の柔軟化
◆改善・弾力化を進め、柔軟な使用を実現◆
使用できる例
■研究に協力する者を雇用するための経費(研
究機関が雇用する場合)
■研究場所を借り上げるための経費
(借料、敷金、礼金など。なお、研究機関の施設
で使用料が必要な場合も含みます。)
■海外・国内での研究・会議参加のための旅費
■シンポジウムなどを開催するときの食事費用
(ビール、ワインなどのアルコール類は除く)
■研究成果発表のための学会誌投稿料、HP開
設経費
■経費の使用内訳の一定範囲内の変更
使用できない例
■施設整備に関する費用
■通常研究機関において整えるべき机や椅子、
コピー機などの事務用品
■科研費と他の資金を混ぜた使用(旅費の場
合など、補助条件に示された一定の例の場
合には、可能です。)
以下の事項は、文部科学大臣の承認を経て、変更が可能です。
■経費の使用内訳の一定限度以上の変更 ■研究代表者・分担者の変更 ■分担金の配分
■翌年度への繰越 ■育児休業による研究の中断と年度を越えた再開
19
機関管理
◆研究機関による事務支援と管理◆
○「機関管理」とする趣旨
■研究者の負担の軽減
■意図せぬルール違反の防止
研究機関
○各研究機関が行う事務
■科研費の応募資格を有する研究者の登録
■文部科学省・日本学術振興会への応募・交付申
請などの手続き
■交付された研究費にかかる管理・諸手続きを、
研究者に代わって行うこと
・「公募要領」、「交付内定書」等に具体的に記載
・更に「科研費ハンドブック(研究機関用)」にまと
めて一括記載
○各研究機関の「事務局」の役割
管理する義務
日
本文
学部
術科
振学
興省
会・
「契約」
管理を委託す
る義務
補助条件
研究者
■適正な管理のために積極的役割を果たす
■適正な管理と、柔軟な運用との調和を目指す
20
不正使用・不正受給対策
◆公正な利用の確保◆
◆不正使用、不正受給の例
・ いわゆる「預け金」、「カラ出張」、「カラ謝金」
・ 「無資格応募」
・ 会計年度を越えた使用
・ 他の研究のための立替
・ 他の資金を混ぜた使用
・ 研究室内での一括管理・再配分
等
◆不正使用、不正受給
の防止対策
・ 「使用ルール」の周知
・ 教員のモラル、コンプ
ライアンス意識の向上
・ 事務局の管理・チェッ
ク体制の強化
◆不正に対する措置
・ 不正にかかる補助金の返還
・ 不正を行った者に対する学内処分
・ 不正を行った研究者に対する受給資格停
止処分(後述)
・ 刑事罰(私的流用の場合)
21
不正使用の態様例
預け金
架空の取引により大学を騙して代金を支払わせ、業者にその代
金を預け、管理させること。研究室管理もその一態様。
カラ謝金
実体を伴わない作業の謝金の全部又は一部を大学を騙して支
払わせ、管理すること。研究支援者に無断で研究室で預金通帳
管理をする場合もある。
カラ出張
実体を伴わない旅費の全部又は一部を大学を騙して支払わせ、
管理すること。
不正受給
関連病院の医師や雇用関係にない大学院生など、応募資格の
ない者が有資格と偽って不正に研究費を受給すること。他に研
究計画の虚偽記載などがある。
共
謀
研究チームにいない講座責任者が無資格受給や研究計画の
虚偽記載等を企図・指示し、不正に研究費を受給し、当該研究
と異なる目的のために当該研究費の使用を謀ること。
22
不正使用の事例①
〔預け金〕
○ 架空の取引により大学に研究費を請求し、支払われた代金を業者に預け金として
管理させ、動物実験施設の工事費用に充当。
○ 備品を購入したにもかかわらず、消耗品を購入したとして虚偽の取引により大学に
研究費を請求し、支払われた代金と備品購入費の差額を業者に預け金として管理
させ、次年度以降の研究費として準備。
〔カラ謝金〕
○ 実体の伴わない謝金の請求を行い、支出された謝金を出勤表に記載せずに実施
させた別の研究支援業務に対する謝金に充当。
○ 実体の伴わない謝金の請求を行い、支出された謝金をNPO法人の運営費やサー
クル活動の資金に充当。
〔カラ出張〕
○ 出張していないのにもかかわらず出張したとして旅費の請求を行い、支出された
旅費を当該研究と無関係の旅費(研修出張や私的旅行)に充当。
○ 出張はしたが、当該研究と無関係の用務(教育の準備や執筆活動と称し、実は
気分転換)のため、用務日を水増し請求し、支出された旅費の差額を他の経費に
充当。
23
不正使用の事例②
〔不正受給〕
○ 応募・受給資格のない研究者が研究費の応募・交付申請を行い、不正に研究費を
受給。
○ 応募・受給資格のない大学院生に研究計画調書の作成を行わせ、研究代表者の
研究実績と異なる内容を記載して、不正に研究費の受給を企図。
〔他用途使用〕
○ 本来、基盤的経費で支払うべき消耗品の代金を科学研究費補助金で充当。
○ 本来、厚生労働科学研究費補助金で支払うべき消耗品の代金を科学研究費補
助金で充当。
〔混合使用〕
○ 本来、基盤的経費で支払うべき物品の代金を予算が足らないために、その差額
を科学研究費補助金で充当。
24
不正使用・不正受給対策
◆受給資格停止処分◆
■処分の対象者
・ 「不正」を行った研究者(研究代表者・分担者)
・ 「研究組織」に名前がなくても、不正を共謀した研究者は処分の対象となります。
■受給資格停止期間
・ 補助金適正化法第17条等による取消があった年度の翌年度から2年~5年
補助条件等違反
2年
科研費の研究以外の研究活動に使用
3年
研究以外の活動に使用
4年
個人的な利得のために使用、不正受給
5年
■受給資格停止の効力
・ 資格停止処分を受けた者が研究代表をつとめる研究費は、新規・継続を問わず、資格停止期
間中一切交付されません。研究分担者の場合は、分担をはずさない限り交付されません。
・ 科学研究費補助金のみならず、他の競争的研究資金も同時に資格停止となります。
■共同研究者の責任
・ 取り消された補助金に係る研究かかわる研究者は、その不正に直接かかわっていなくても、
25
自動的に1年間、新規課題にかかる補助金を受けることはできません。
国会審議-研究機関停止論
「 ある大学で科研費の不正が起こった場合、1回目は研究者
本人に対して制裁措置を取り、同じ機関で再度科研費の不正
が起こった場合には、大学に所属する全員が科研費の申請
資格を少なくとも1年失うという厳しい措置を取らなければなら
ない。
(2003.4.5 参議院決算委員会 与党議員の見解)
平成16年度会計検査院会計実施監査、本年度総務省行政監視
においても、科学研究費補助金の不正経理について着目。
26
会計検査院の動向
◇ 大学の会計書類(見積書、納品書、請求書)は、
信用できない-書類の日付は取引の実体ではなく、
経理担当者の作文であるとの認識。
◇ このため、平成16年度検査は、大学の会計書類と
業者の売上伝票をとつ合し、納品の日付(年度をまた
ぐもの)、品名が異なるものは全て不当として指摘。
◇ こうした手法は2~3年続く見込み。
◇ 特に、実験動物(マウス)の購入、役務契約に着目。
◇ 研究者による経理は不正の温床と認識し、慶応大
医学部「納品検収センター」を例に挙げ、機関経理の
徹底を志向。
27
文部科学省不正使用対策チーム検討結果①
1.公的研究費の使用に関するルールの徹底と研究者の意識
向上の方策
◇研究機関における研究費の管理・運営に関する基本方針の明確化
◇ルールの周知…ハンドブック、電子申請システムを活用
◇アンケート調査…研究費の使いにくさ等につき研究者の意見聴取
2.研究機関の内部における研究費の管理・監査体制の整備
の方策
◇研究機関による具体的取組方針の資金配分機関への申告、一般への公表
◇公的研究費の管理・監査の実施基準に基づく対応
・文科省が示す実施基準に沿って、研究機関は一定期間内に体制を整備。
・文科省は実施調査等を通じて、研究機関の体制整備を把握・指導。
必要があれば何らかの制裁措置を講じる。
28
文部科学省不正使用対策チーム検討結果②
3.研究機関における公的研究費にかかる報告体制の在り方
◇内部通報窓口の設置、文部科学省への速やかな報告
4.文部科学省の関与
◇研究資金制度間のルールの共通化・統一化・簡素化
◇申請等資格制限の一斉適用の競争的資金以外への拡大適用の検討
◇過去の不正使用の是正促進のため、制裁減免措置導入の可能性につき
検討
◇ガイドラインに沿った指導を行う担当室・相談窓口の設置
◇間接経費の活用と拡充
29
科研費の適正な執行管理の徹底通知①
会計検査院による、物品費の不適正な会計処理の指摘を受け、
9月1日付けで各研究機関に通知。
1.研究機関使用ルールの改正〔購入物品の納品検査の適正化〕
①物品費の適正な執行を図るため、検収センターの設置など納品
検査を確実に実施する事務処理体制を整備すること。
②物品費を支出する際、購入物品について、会計事務職員が納
品検査を行うか、適切な研究職員等を検収担当職員に任命し、
必ず納品検査を行うこと。
③補助金の不適正な執行に対する疑いが生じた際、適切な納品
検査が行われていない場合、研究機関が当該補助金に相当す
る額を文部科学大臣に返還すること。
30
科研費の適正な執行管理の徹底通知②
2.研究者・事務職員に対する適切な周知
今回の会計検査院からの指摘と納品検査の徹底に関する趣旨
について、各研究機関における研修会・説明会等を通じ、研究者
及び事務職員に対し周知徹底すること。
3.研究機関における検収事務の実施体制の報告
当分の間、科研費応募時に、研究機関における検収事務の実施
体制(今後の改善・充実方策を含む)を報告すること。
31
研究機関における科研費管理の徹底
総務省「民間団体等を対象とした補助金等に関する行政
評価・監視結果に基づく勧告(第2次)」(2006.8.16)
◇アルコールの支出など不適切な経理事務の事例が指摘。
1.
2.
3.
4.
研究者自らが補助金の管理を行うことがないよう、研究機
関による経費管理を徹底。
経費の支払い、精算等を行う際、研究費の使途が明確に
確認できる証拠書類を徴するなど、関係書類の整理・保管
を行うこと。
直接経費により購入した設備等について、研究代表者・研
究分担者からの寄付手続きを行い、これを適切に管理す
ること。
内部監査の実施に当たって、監査対象課題の経理執行を
直接担当していない者が監査を実施する。その一部は、
実際の補助金使用状況、納品の状況等事実関係の厳密
な確認など徹底的なものとすること。
32
科学研究費補 助金の拡 充と 改革
研究者の自由な発想に基づく学術研究を幅広く推進
研究者の自由な発想に基づく学術研究を幅広く推進
平成19年度概算要求額
210,600百万円(189,500百万円)
平成18年度予算額 189,500百万円 (17年度予算額 188,000百万円)
○科学技術基本計画 (閣議決定)
“競争的資金の拡充”
「経済財政運営と構造改革に関する
“間接経費30%の早期実現”
基本方針2005 」
科
◎ 間接経費の拡充
(閣議決定)
・競争的研究資金の拡充
◎ 若手研究者育成・支援の充実
研
・若手研究者の育成
「科学研究費補助金の在り方
・若手研究(S)の新設
等
・間接経費の拡充
について」(中間まとめ)
“競争的資金の拡充”
・年複数回応募の実施
○「平成18年度の科学技術に関する予算、
費
(科学技術・学術審議会
◎ 審査・評価体制の充実
人材等の資源配分の方針」
・独立した配分機関体制の構築
○経済成長戦略大綱
(経済財政諮問会議)
学術分科会研究費部会)
○「競争的研究資金制度改革について
・審査体制の充実・強化
(意見)」
“若手研究者への支援”
の
◎ 独創的・先駆的な研究の重点的推進
○経済財政運営と構造改革に関する
基本方針2006 (閣議決定)
○「科学技術基本政策策定の基本方針」
(総合科学技術会議)
○平成19年度の科学技術に関する予
算等の資源配分の方針
拡
“若手研究者支援、間接経費の充実”
“イノベーションの源の潤沢化”
◎ 独創的・先駆的な研究の 充
(総合科学技術会議)
重点的推進
○研究費の有効活用
◎ 若手研究者育成の充実
・補助金の不正使用の防止
-スタートアップ支援-
・研究活動の不正行為の防止
・研究費配分における無駄の排除
◎ 間接経費の拡充
○科研費の弾力的使用
◎ 日本学術振興会への更なる移管
改
◎ 年複数回応募の試行
◎ 不正使用等への対応
・機関管理の体制強化
◎ ・ルールの徹底
日本学術振興会への更なる
等
研究種目の移管
◎ 電子システム化の推進
革
審査・評価体制の充実
◎◎年度間繰越の活用促進
と
33
平成19年度公募に当たっての主な変更点①
◇公募要領編①
〔共通事項〕
1.「基盤研究(C)」審査区分「企画調査」の廃止
◇「基盤研究(C)」の審査区分は「一般」のみに。
2.「若手研究(A・B)」の研究期間
◇「2~3年」→「2~4年」に変更。
3.応募受付の電子化
◇「基盤研究(S・A・B)」は完全電子申請化。紙媒体の提出不要に。
◇「特定領域研究(新規の研究領域)」は、「電子申請システム」を利用し応募
書類の一部を作成・提出(送信)
◇「特定領域研究(継続の研究領域及び終了研究領域)」、「基盤研究(C)」、
「萌芽研究」、「若手研究(A・B)」は、昨年同様、「電子申請システム」を利用
し応募書類の一部を作成・提出(送信)
34
平成19年度公募に当たっての主な変更点②
◇公募要領編②
4.研究計画調書(応募情報等)の修正機能
◇応募者(研究者)が研究機関に提出した研究計画調書(応募情報等)
の
内容を修正する場合、研究機関担当者が「電子申請システム」により該
当課題を「却下」しないと修正できなくなったこと
5.重複応募制限への追加
◇「若手研究(スタートアップ)」及び「特別研究促進費(年複数回応募の
試行)」を追加。
・基盤研究、若手研究、若手研究(A・B)公募要領(P16)
・特別推進研究、特定領域研究、特別研究促進費公募要領(P12,19,51)
◇重複応募制限の特例ー「若手研究(スタートアップ)」継続課題
・基盤研究、若手研究、若手研究(A・B)公募要領(P15)
継続課題の研究代表者は、他の研究種目に応募可。
ただし、他の研究種目で研究代表者として採択された場合は、「若手研究
35
(スタートアップ)」の継続課題を廃止すべきこと。
平成19年度公募に当たっての変更点③
◇公募要領編③
6.特定領域研究(新規領域)の提出方法の変更
◇これまで領域代表者が応募書類を文科省に提出していたのを、領域代表
者所属の研究機関から提出することとしたこと。
◇応募情報の承認手続き→11月16日 23:59まで
◇特定領域計画書の提出→11月28日・29日
7.補助金の適正な使用
公募要領(P6~7)
◇科研費の交付を受ける研究者には、法令及び研究者使用ルール(補助
条件)にしたがい、これを適正に使用する義務が課せられていること
◇科研費の不正使用を行った研究者に対し応募(受給)資格が停止される
こと。
なお、当該研究者の氏名、研究者番号、交付停止期間を公表すること
があること。
◇応募書類の記載の虚偽や、関係法令・指針等に違反し研究計画を実施
した場合、「補助金の交付をしないこと」、「補助金の交付を取り消すこと」
36
があること。
平成19年度公募に当たっての主な変更点④
◇公募要領編④
8.補助金の使用に当たっての留意点
公募要領(P9)
◇補助事業の年度と異なる年度の経費の支払いに科研費を使用すること
はできないこと。
◇なお、当該年度の補助事業が、交付決定時には予想し得なかったやむ
を得ない事由により年度内に完了できない見込みとなった場合、所要の
手続きにより財務大臣の繰越承認を得た上で、当該経費を翌年度に繰
越して使用できること。
9.研究機関における検収体制の整備状況報告
公募要領(P44)
◇「研究機関が行う事務」に、検収(納品検査)体制の整備状況について
の
報告を追加。 様式T-5
1 組織体制 2 検収行為の現状 3 研修実施体制の改善計画等
◇検収体制の整備に関する留意点
1 全ての購入物品の納品検査を確実に実施できる事務体制の整備
2 適切な研究職員を検収担当事務職員として任命は可。ただし、発注者
自らが納品検査を行うことのない体制を確保
37
3 不正経理が判明した際、不適切な納品検査による場合は、研究機関
が
平成19年度公募に当たっての主な変更点⑤
◇研究計画調書編①
〔作成・記入要領 応募内容ファイル(2)〕
10.「今回の研究計画を実施するに当たっての準備状況等」欄
の記入内容の見直し
◇欄の名称を「準備状況等」から変更。
◇科研費が国民から徴収された税金等で賄われており、研究者は、研究
成果を国民にできるだけわかりやすく説明することが求められていること
から、 「施設・設備・研究資料等研究環境の状況」、「共同研究者との連
絡調整の状況等研究着手に向けての状況」に加え、 「研究成果を社会・
国民に発信する方法等」を追加。
(例)HPや研究成果広報用パンフレットの作成、公開行事等への参加、
マスメディアヘの発表予定等
38
平成19年度公募に当たっての主な変更点⑥
◇研究計画調書編②
〔作成・記入要領 応募内容ファイル(1) 〕
11.「これまでに受けた研究費とその成果等」欄の記載方法の
見直し
◇欄の名称を「従来の研究経過・研究成果」から変更。
◇研究課題に対する研究遂行能力を審査するため、研究代表者に加え、
「研究分担者」の研究費の受給実績・研究成果等を記載すること。
◇また、研究費の配分機関が行う中間評価・事後評価の結果を簡潔に記載
すること。
◇これまで「科研費の受給状況、当初の研究計画・研究経過・研究成果及
び
科研費以外の研究費の受給状況、研究経過・研究成果」を記載していた
が、
「科研費とそれ以外の研究費に区分し、その受給状況、研究成果」を記載
すること。
◇従来通り、前ページ「研究計画最終年度前年度の応募」欄に記載のもの
は記載しない。
39
平成19年度公募に当たっての主な変更点⑦
◇研究計画調書編③
〔作成・記入要領 応募内容ファイル 1.全体研究計画 (1) 〕
12.「研究経費の妥当性・必要性」欄の新設
◇これまで「研究計画・方法」欄に、経費と研究計画との関連性を記入するこ
ととしていたのを、固有の欄を新設。
◇研究規模・研究体制等を踏まえ、研究経費の妥当性・必要性・積算根拠を
記入すること。
◇また、従来、「設備備品費」、「旅費」、「謝金等」が全体の研究経費の90%
を超える場合にその必要性(内訳等積算根拠)を記入することとしていたの
を、これに加え、「その他の費目」で、特に大きな割合を占める経費がある場
合にも記入すること。
〔作成・記入要領 応募内容ファイル 1.全体研究計画 (5)〕
13.「人権の保護及び法令等の遵守への対応」欄の新設
◇これまで「研究計画・方法」欄に、社会的コンセンサスが必要とされている
研
究、生命倫理・安全対策に対する取組が必要とされている研究を含む場合、
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講じる対策・措置を記入することとしていたのを、固有の欄を新設。
平成19年度公募に当たっての主な変更点⑧
◇研究計画調書編④
14.「研究業績」欄の記載方法の見直し
◇ 論文、著書、工業所有権等に加え、「国際会議や学会等に
おける招待講演」を記載可としたこと。
◇ 学術誌への投稿中の論文は、掲載が決定しているものに
限
ること。
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平成19年度公募に当たっての主な変更点⑨
◇研究計画調書編⑤
<第2・3種科研費>
15.研究規模に応じた研究計画調書の分量の見直し
① 「基盤研究(A・B)」と「基盤研究(C)」の様式を分離。
② 全体の分量
・基盤研究(S)
12ページ→14ページ
(ⅰ:研究内容ファイル10 ⅱ:研究者調書2)
(ⅰ:10 ⅱ:4)
・基盤研究(A・B)(一般)
13ページ→15ページ
・基盤研究(C)(一般)
13ページ(前年同)
・基盤研究(A・B)(海外学術調査) 15ページ→16ページ
・萌芽研究
6ページ→ 8ページ
・若手研究(A・B)
10ページ→12ページ
③ 「研究業績」欄のページの追加不可:研究規模に応じた分量としたこと。
・基盤研究(S)
3ページ以内→2ページ
・基盤研究(A・B)(一般)
4ページ以内→3ページ
・基盤研究(C)(一般)・基盤研究(A・B)(海外学術調査)・若手研究(A・B)
4ページ以内→2ページ
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平成19年度公募に当たっての主な変更点⑩
◇研究計画調書編⑥
<第2・3種科研費>
16.「研究費の応募・受入等の状況・エフォート」欄の見直し
①「応募中の研究費」と「受入予定の研究費・その他の活動」を別ページに。
②様式を「A4横」から「A4縦」に変更。
③エフォートの記載方法を変更
◇ 「(1)応募中の研究費」、「(2)受入予定の研究費」、「(3)その他の活動」
ごとに、エフォート(仕事の配分率)を記入。
◇ 採択時に決定するエフォートについて、総合科学技術会議「政府研究開
発データベース」にこれまで「登録する必要があります」としていたのを、「登
録することとなります」に改めたこと。
43
平成19年度公募に当たっての主な変更点⑪
◇研究計画調書編⑦
<第1種科研費>
15.
17.特別推進研究「最終年度前年度の応募の概要」欄の見直
し
◇従来先頭ページにあったものを「準備状況等」欄の次ページ
(特推-4-( ))に「最終年度前年度の応募を行う場合の記
入事項」欄として移動。
◇当初研究計画、新たな知見等の研究成果に加え、「中間評価
結果(特別推進研究及び基盤研究(S)が該当)」を記述。
◇本欄に記述する継続研究課題の研究成果等は、「これまでに
受けた研究費とその成果等」欄に記述しないこと。
◇「応募する理由」欄には、「今回再構築して本研究を応募する
理由(研究の展開状況、経費の必要性等)」を記述。
44
平成19年度公募に当たっての主な変更点⑫
◇研究計画調書編⑧
<第1種科研費>
18.「研究業績」欄の様式の見直し
◇ 特別推進研究について、論文、著書、工業所有権等を記入
する「研究業績Ⅰ」と、招待講演等を記入する「研究業績Ⅱ」と
に様式を分離。
19.「研究資金の応募・採択状況」の見直し
◇様式を「A4横」から「A4縦」に変更。
45
研究活動における不正行為
《背景》
○ 昨年から今年にかけて、韓国の黄教授の論文捏造事件報道、我が国でも東京
大学、大阪大学の論文データ捏造・改ざん事件次々に発覚。
○ 最近でも、早稲田大学、本学医学部の論文データ捏造事件が多発。
《問題意識》
○ 政府としては、第3期科学技術基本計画において、25兆円の投資目標を提示。
○ 一方、国費による競争的資金において、研究費の不正使用や研究活動における
不正行為が頻発。
○ これが科学技術関係予算拡充のブレーキをもたらすのではないかと懸念。
○ 研究活動における不正行為防止対策を緊急に制度化の動き。
46
文部科学省における審議経過
2006.2.1
2006.3.17
2006.7.8~7.23
2006.8.8
科学技術・学術審議会で「研究活動の不正行為に関する特別委員会
設置
特別委員会第1回会合
委員会報告書(ガイドライン)案についてパブリックコメント
ガイドライン策定、研究機関に周知
47
研究活動の不正行為への対応のガイドライン
<2部構成>
第1部 不正行為に関する基本的考え方
◇はじめに-検討の背景
◇不正行為に対する基本的考え方
◇不正行為が起こる背景
◇不正行為に対する取り組み
第2部 競争的資金に係る不正行為対応ガイドライン
◇目的
◇定義
◇告発等の受付
◇事案の調査 (1) 調査を行う機関 (2) 調査体制・方法 (3) 認定
◇告発者及び被告発者に対する措置
◇不正行為と認定された者に対する資源配分機関の措置
48
ガイドラインのポイント
1.不正行為を「捏造、改ざん、盗用」に限定。
2.対象経費を「国費による競争的資金(科研費等13
制度」に限定。
3.告発等の受付窓口を必置。
4.調査機関は、大学等研究機関が原則。
5.予備調査及び本調査の2段階調査により実施。
6.調査機関による調査結果の公表。
7.資源配分機関における検討体制、措置の決定。
8.資源配分機関による競争的資金の返還、申請制限
等の措置。
49
ガイドライン①◇不正行為の告発から認定まで
◇研究機関、資源配分機関は告発等の受付窓口を設置
告発等の受付 ◇告発は顕名が原則。不正とする科学的合理的理由の
明示。匿名の場合、内容に応じ顕名に準じた取扱可。
◇告発内容の合理性、調査可能性等を調査。
予 備 調 査 ◇本格的な調査を実施すべきか否かを判断。
本
調
◇調査委員会に属さない者を含む「調査委員会」を設置
査 ◇資源配分機関の求めに応じ、調査の中間報告を提出
◇被告発者の弁明の機会を保障
認
定
◇不正が行われたか否か認定。
◇被告発者に説明責任。
◇不正行為と認定された場合、その内容、不正行為に関与
した者とその度合、研究・論文等における役割等を認定。
◇不正行為と認定された場合、不服申し立てが可能。
不正行為の認定を踏まえ、研究機関・資源配分
機関は措置を実施
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ガイドライン②◇調査中における被告発者に対する
一時的措置
研究機関
◇告発された研究に係る研究費の
支出停止
資源配分機関
◇告発された研究に係る研究費の
使用停止
◇交付決定した当該研究に係る研
究費の交付停止
◇申請されている競争的資金の採
択決定やその後の交付留保
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ガイドライン③ ◇不正行為認定者に対する措置
決定手続き
資源配分機関に「措置を検討する委員会」を設置
「措置を検討する委員会」で不正行為と認定された者に対して
取るべき措置を検討
検討結果を資源配分機関に報告
資源配分機関は「措置を検討する委員会」の報告に基づき措置
を決定
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ガイドライン④◇不正行為認定者に対する措置
資源配分機関
□競争的資金の打ち切り
□競争的資金申請の不採択
□不正行為に係る競争的資金の返還
□全ての競争的資金の申請制限
研究機関
□内部規程に基づき適切
な処置
□不正行為と認定された
論文等の取り下げ勧告
*不正行為の重大性等に応じ委員会が制限期間を決定
①不正行為があったと認定された研究に係る論文等の
不正行為に関与したと認定された著者(共著者を含む) →2~10年
②不正行為があったと認定された研究に係る論文等の
著者ではないが、当該不正行為に関与したと認定され →2~10年
た者
③不正行為に関与したとまでは認定されないものの、不
正行為があったと認定された研究に係る論文等の内容 →1~3年
について責任を負う者として認定された著者
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不正行為に対する基本姿勢
◇不正行為は、科学そのものに対する背信行為。
◇不正行為は、研究費の多寡や出所の如何を
問わず、絶対的に許されない。
◇不正行為は、科学者としての存在意義を自ら
否定するもの。自己破壊につながるもの。
研究者生命を絶つことになろうとも、学術研究の信頼保持
(回復)のためには、厳正な態度で臨むべき!
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•不正行為の態様
捏 造
存在しないデータ、研究結果等を作成すること。
改ざん
研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、
データ、研究活動で得られた結果等を真正で
ないものに加工すること。
盗 用
他の研究者のアイディア、分析・解析方法、
データ、研究結果、論文又は用語を、当該研
究者の了解若しくは適切な表示なく流用する
こと
•
55
不正行為防止策の方向
《予防策》
1.告発等窓口の設置
2.自己点検の実施
3.内部監査の実施による牽制体制の強化
4.研修会・説明会の実施
5.若手研究者及び学生に対する研修・教育
《事後策》
1.調査委員会による調査
2.研究資金の返還・執行停止
3.研究資金の応募資格の停止等の措置
4.人事上の処分
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