中部国際空港の建設によって生じた海洋環境変化につい

C08046 村田 世那
C08048 山崎 貴文
C08050 山中 大智
C08047 山口 大知
C08049 山田 豊
調査の目的
・中部国際空港の海洋環境変化に関連する生態系や
水質などの変化について調べることにしました。
調査したこと、役割分担
・海底環境変化
・生物の生態変化
・海上の変化
・漁場の変化
・水質の変化
(山中、山崎)
(山口、山田)
(村田、山田)
(山崎、村田)
(山口、山中)
調査方法
・主にインターネットを使って調べました。
1.潮流の変化
・空港島と対岸の知多半島の間は、狭いところでは約1kmの狭水道
となっており、潮流がかなり変化しているとの情報が寄せられていました。
・空港島の埋め立てが完成するまで、周辺海域の潮流は、せいぜい0.3ノット
ノット:速さの単位、1ノット=1852m/s
程度でした。
・そこで海上保安本部がセントレアの東にある流速系を設置して潮流観測を行いました。
その結果、大潮期の後の2日間最大流速1ノットを越える下げ潮を観測して、上げ潮で
は下げ潮を越える強い潮流は観測されなかったが、これは伊勢湾の潮流形態を実証する
結果となりました。
・対策1.空港島と対岸部の海域幅は、最も狭くても1.1kmを確保している。
・対策2.丸みを持たせた島の形で、海域幅
を拡大している。
・対策3.島の角に丸みを持たせ、渦の発生
を抑える。
2.生態系の変化
・空港島建設前に、日本海洋学会は周辺浅海域では貧酸素と底質の劣化が起きる
可能性が高いと警告したが、建設後の調査でそれが実証された。
空港島と前島によって潮流がさえぎられ、貧酸素や高濃度の赤潮が発生するように
なった。海底のヘドロ化がすすみ、貝類が激減している。貧酸素、浅場喪失、栄養
不足で、アサリ、ノリ、カレイも減少。漁業生物に悪影響が出ている。
・セアカゴケグモは東南アジアやオーストラリアなどの熱帯
から亜熱帯に分布。積極的に人をかむことはないが、
かまれると激痛があり、吐き気などの症状が出る。日本には
いないとされてきたが1995年以降に全国各地で見つかり、05年に特定外来生物
に指定された。愛知県内では、05年に中部空港の滑走路で初めて生息を確認。
↓
・2008年8月9日、中部国際空港の高速船乗り場付近で、毒グモの「セアカゴケグモ」
数十匹と卵が見つかった。空港周辺では2005年以来、
数匹程度の生息が何度か確認されたが、
大量に発見されたのは初めて。
セ
ア
カ
ゴ
ケ
グ
モ
・主な原因としては航空機のコンテナ等に付着して侵入してきた可能性が高いと見られる。
対策
・海洋生物への配慮は航空島を達成する際に、護岸を自然と共生できるよ
うに配慮されている。具体的には、島東岸は自然石を用いた傾斜提護岸を
造成し、西岸は上部に消波ブロック、下部に自然石による岩礁性藻場を創
設し、自然生物が読みやすいようになっている。
・アラメ、カジメ、オオバモクなど多様性の海藻を移植して藻場を造成した。
その藻場には現在、アイナメ、カレイ、イシガニ、メバル、アオリイカなどさま
ざまな生物が見られる。
また、空港島護岸の平坦部では、一年を通して多年生海藻の藻場が、秋
から春にかけては、天然のワカメ藻場が確認されている。
・そして、藻場には窒素やリンなど栄養塩類を吸収することによる水質の浄
化機能や、光合成により二酸化炭素を吸収することで地球温暖化対策の
効果も期待されている。
セントレア周辺の海域で見られる主な生物
アオリイカ
メバル
アラメ
カジメ
3.漁場の変化
・美浜町議会中部国際空港対策特別委員会は町内で同空港に関する航空機騒音調
査や漁業者からの聞き取り調査を行った。町民から騒音苦情や漁業への影響の声が
各議員や町に寄せられていることから、開港後初めて実施した。
・同町奥田の野間漁協で役員ら7人から話を聞いた。漁業補償の交渉の際などに影響
が警備とされたアサリについて「成育状況がここ3年間壊滅的。それまでなかったので
空港の影響と考えざるを得ない」との指摘があった。
・ノリ養殖についても「色落ちがひどい」「漁場にヘドロがたまっている」などといった状
況が示され、アサリを含めて「想定外ばかり」と説明。
・「美浜町は潮干狩りを観光の“売り”にしているので、これらは町全体の問題」との声
に対し、同特別委は「しっかり対応させていただく」と答えた。
4.海底環境変化
・空港島水道が下層で夏、冬ともに顕著な収束域になるとともに、空港島の遮蔽
効果により前後数キロにわたって流れが弱まるため、泥質や有機物が空港島の
風下から空港島水道にわたる広い範囲で堆積しやすくなり、底質が悪化すること
が予想される。底質の悪化は水質の悪化をもたらし、底性生物や魚介類の生存
にも影響を及ぼす。これに波が起原のトンボロ現象が重なるので、底質の変化は
長期的にはかなり大きなものとなる可能性がある。
・トンボロ現象(トンボロげんしょう)とは、普段は海によって隔てられてい
る陸地と島が、干潮時に干上がった海底で繋がる現象。
環境と漁業資源の関係の解析、漁業資源への影響予測
・準備書は、空港建設に伴う海岸地形、底質、水質の変化は小さいから、アマモ場
や底生生物、魚類への影響も小さいとしている。しかし、空港島の南部から空港島
水道に至る広範な海域は水・底質がかなり悪化し、長期的にはアマモ場や砂質浅
海域生態系としての特徴が失われる可能性が高い。
・この海域の広さはざっと見て空港島の2~3倍。従って、埋め立てによって失われ
る可能性のあるアマモ場の面積も伊勢湾全体の1/3に及ぶ。こうした変化が個々
の漁業資源にどのような影響を及ぼすのか、定性的なものに止まるとしても、綿密
な検討が必要である。
5.水質変化
・埋め立てや藻場衰退による海域の浄化力の喪失や底質の悪化等に
よって生ずる水質変化について、立ち入った検討を加えていない。しかし、
空港島の遮蔽効果によって流れが弱まる海域では、空港島建設に伴っ
てチッソ、リンの局所的流入負荷が増大するほか、まずは埋立区域の浄
化力が失われ、その影響が流れの変化とともにCOD、チッソ、リン、溶存
酸素(以下DO)の濃度変化として周辺に及ぶ。
・第二段階としては、これに埋立区域による流れや波の変化による底質
の変化が加わる。
・第三段階としては、さらにトンボロ現象による海岸地形と海底地形の変
化が加わる。これらによる底質の変化が底生生物群集とそれらをめぐる
物質循環の変化を通じて水質に跳ね返り、水質の変化は透明度を通じ
てアマモ場や付着珪藻に、またデトリタスの堆積やDOの変化を通じて底
質や底生生物群集に跳ね返る。従って、底質変化を組み込んでCODや
透明度、DO等の水質変化を予測する必要がある。そのためには、底質
と底生生物群集の関係やそれらをめぐる物質循環の現状を把握し、モデ
ル化することが必要である。
今後の予定
・生態系や空港島周辺海域のことをもっと詳しく知るために11月27日(木)に
中部国際空港へ現地調査に行く予定です。
参考文献
中部国際空港 http://www.centrair.jp/index.html
ウィキペディア http://ja.wikipedia.org/wiki/中部国際空港
http://ja.wikipedia.org/wiki/セアカゴケグモ
http://ja.wikipedia.org/wiki/コアジサシ
http://ja.wikipedia.org/wiki/カワウ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ハマシギ
http://ja.wikipedia.org/wiki/アオリイカ
http://ja.wikipedia.org/wiki/メバル
http://ja.wikipedia.org/wiki/サザエ
アラメ 市場魚貝類図鑑 http://www.zukan-bouz.com/kaisou/kassou/konbu/arame.html
カジメ 市場魚貝類図鑑 http://www.zukan-bouz.com/kaisou/kassou/konbu/kajime.html
中日新聞
http://www.chunichi.co.jp/
「万博・道路・新空港やめよう大集会」(1999/11/13)の資料集