CBOオールジャパン - 新生証券

Credit & Market Comments for Bond & CDS Trading
新生証券
債券調査部
新生クレジットマーケット・デイリー
www.shinsei-sec.co.jp
2009 年 7 月 3 日(金)
アナリスト 松本康宏、03-6408-4844、[email protected]
注目トピック: 中堅・中小企業向け私募債担保のシービーオー・オール・ジャパン債が CC に格下げ
格付け機関スタンダード&プアーズは、昨日(7 月 2 日)、シービーオー・オール・ジャパン特定目的会社が発行した第 1 回 B/C/D 債
(2006 年 3 月 15 日発行)の格付けを CCC-から CC に引き下げた。その理由を、同債が本年 7 月 10 日の最終償還日に「全額償還されな
い旨、発行体が本日(7 月 2 日)公表した」ためとしている。同債の A 号(発行額:40 億円)はすでに全額償還されている。本日付け日経新
聞朝刊によれば、B 号はその約 85%が償還されるが、C 号、D 号は共に全額償還されない。投資家による損失は約 130 億円。
同債は、当初 A/B/C/D 号債による発行額で計 881 億円。東京都を中心に、大阪府、横浜市、川崎市、静岡市、大阪市、神戸市におけ
る中堅・中小企業が発行した私募債を裏付とした資産担保証券であり、この資産プールの総額は 914 億円であった。つまり、社債発行総
額に対して、資産プールは 3.75%上回り(余剰担保)、これが損失に対する引当となって原資産の中堅・中小企業の私募債のデフォルトに
備えられていた。原資産(私募債)の選択では、参加銀行により当初、正常先とされており、格付け機関による中小企業クレジット・モデルで
推定貸倒率が一定水準以下とされた先であった。また、原資産の件数は当初 1269 件で、さらに 1 件当り最高 1 億円までと分散が図られて
いた。しかし、発行から 1 年 6 ヶ月を経過した 2007 年 9 月時点で、すでに資産プールの累積デフォルト率は 3.5%となっていた。最終的に
は、償還までの 3 年間の累積デフォルト率は 22%(金額ベース)に達した。当初の余剰担保率(3.75%)の 6 倍である。資産プールの累積デ
フォルト率の高まりと共に、各号債は継続的に格下げされてきた。すでに 2007 年 9 月には、返済順位が最も劣後する D 号債は、B 格に、
また発行額が最も大きい B 号債も BB+格まで引き下げられていた。今後、中小企業ローン等の証券化市場を育成する上で、今回のシービ
ーオー・オール・ジャパン債のデフォルト率がなぜ想定を大幅に上回ることになったのか、その検証が必要であろう。
シービーオー・オール・ジャパンの資産プールにおける累積デフォルト率
30%
金額ベース
件数ベース
20%
10%
2009年2月
2008年12月
2008年10月
2008年8月
2008年6月
2008年4月
2008年2月
2007年12月
2007年8月
2007年10月
2007年6月
2007年4月
2007年2月
2006年12月
2006年8月
2006年10月
2006年6月
2006年4月
0%
出所:ブルームバーグより新生証券作成
シービーオー・ オール・ ジャパン特定目的会社
第1 回A/ B / C/ D号特定社債
S&P格付け
発行額
最終償還
銘柄
償還率
当初 現在
(億円)
期限
A号
40
1 0 0 % 2009年4月 AAA
−
B号
831
85%
2009年7月 AAA
CC
C号
7
0%
2009年7月
AA
CC
D号
3
0%
2009年7月
A
CC
注:A号はすでに償還済み。B号以下の償還率は予定。
出所:S&P、日経新聞
CDS 市場: 予想外の米雇用統計の悪化で、CDS 大幅ワイド化
iTraxx 50 銘柄(出会 203、前日比+19bp)。予想外の米雇用統計の悪化、国内外の株価下落により、CDS はインデックス、個別銘柄共
に大幅ワイド化。個別銘柄では、トヨタ自動車(出会 110bp)が再度、3 ケタ台に復帰。東芝(出会 230bp、前日比+45bp)、アコム(出会
210bp、前日比+50bp)など
新発債: フランス電力債ほか
銘柄
高速道路機構
地方公共団体金融機構
西日本高速道路
埼玉県
千葉県
東京都
兵庫県
兵庫県
広島県
フランス電力
フランス電力
フランス電力
株式
コード
-
出所:ブルームバーグより新生証券作成
タイ プ
回号
政府保証債
政府保証債
政府保証債
地方債
地方債
地方債
地方債
地方債
地方債
サムライ債
サムライ債
サムライ債
85
2
20
21-4
21-4
19
2113
8
21-2
1
2
3
発行額
(億円)
1,000
700
100
200
200
400
100
200
100
450
441
163
年限 償還期日
(年) (月 /日 /年)
10
07/31/19
10
07/12/19
10
07/29/19
10
07/29/19
10
07/25/19
20
06/20/29
10
07/17/19
20
07/13/29
10
07/24/19
5
10/09/14
7
07/08/16
3
07/09/12
利率
( %)
1.4
1.4
1.4
1.46
1.46
2.13
1.48
2.14
1.46
1.63
2
1.24
利回り ス プ レッ ド
( %) T/L +bp
T+ 11
T+ 12
1.63
L+ 70
2
L+ 90
1.24
L+ 50
Mdy 's
Aa1
Aa1
Aa3
Aa3
Aa3
格付け
S&P
R &I
AA+
AA
A+
A+
A+
-
J CR
AA+
AA+
AA+
注:T(対国債・スプレッド)、L(対スワップ・スプレッド)
格付け: 東芝ほか
変更日
発行体
株コード 格付機関
新
内容
旧
事由
総額5000億円の資本増強で財務構成は一定程度回復。
体質改善プログラムも業績をある程度下支えする
7月 2日
東芝
6502
R&I
据置
A-
ネガティブ
A-
7月 2日
新生銀行
8303
Moody's
据置
A3
ネガティブ
A3
新生銀行とあおぞら銀行行が2010 年10 月に合併すると
の発表を受けたもの。
7月 2日
あおぞら銀行
8304
Moody's
据置
Baa1
安定的
Baa1
同行の投資銀行業務関連のポートフォリオのリスクが大幅
に縮減された
7月 2日
7月 2日
新生銀行
8303
Fitch
据置
BBB
ネガティブ
BBB
あおぞら銀行
8304
Fitch
見通し変更
BBB
ネガティブ
BBB
↓
ネガティブ 新生銀行とあおぞら銀行が2010年10月に合併との合意の
安定的 発表を受けたもの
注:長期無担保優先債務を表記。 出所:格付け機関リリースより新生証券作成
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