キャピラリセルを用いたタンパク質の一滴熱変性解析

CD application data
新しい CD 分析情報
210-CD-0025
Date
2015/03/26
キャピラリセルを用いたタンパク質の一滴熱変性解析
はじめに
タンパク質の CD 測定においては二次構造解析と熱変性解析がよく利用されています。
通常の CD 測定では光路長 1mm の角型セルなどが用いられていますが、この場合 200-250
μL のサンプル量が必要になります。しかしながら非常に微量のサンプルしか得られない
ケースでは、さらに極微量での測定方法が求められていました。
日本分光では 10μL 以下のサンプル量で温度変化測定が可能なキャピラリセルとキャピ
ラリジャケットをラインナップしています。これにより極微量でのタンパク質の熱変性解
析を可能にします。また 2-10μL のサンプル量で CD スペクトル測定が可能なマイクロサ
ンプリングディスク (260-CD-0011, 260-CD-0019 にて既報) をラインナップしており、これ
らを用いることで極微量でのタンパク質の二次構造解析と熱変性解析が可能になります。
ここでは J-1500 円二色性分散計、キャピラリジャケット、キャピラリセルを用いたリボ
ヌクレアーゼ A の熱変性解析を紹介します。
<Keywords>
微量測定, キャピラリジャケット, 温度変化測定
<サンプル調製>
1mg/mL のリボヌクレアーゼ A 水溶液を光路長 0.5mm のキャピラリセルに毛細管現象で
吸い上げた後に、シール材で端をふさぎキャピラリジャケットに挿入しました。比較とし
て 0.5mg/mL のリボヌクレアーゼ A 水溶液を光路長 1mm の角型セルに入れたものを測定し
ました。
<測定手順の紹介>
キャピラリセルにサンプル*を
吸い上げる
キャピラリジャケットに挿入
シール材で端をふさぐ
水冷ペルチェセルホルダに
キャピラリジャケットをセット
*写真の溶液は測定に用いたサンプルではありません。
本社・工場 192-8537 東京都八王子市石川町 2967-5 TEL 042(646)4111 代表 FAX 042(646)4120
東京 03(3294)0341/北海道 011(741)5285/北日本 022(748)1040/西東京 042(646)7001/筑波 029(857)5721/
神奈川 045(989)1711/名古屋 052(452)2671/大阪 06(6312)9173/広島 082(238)4011/九州 092(588)1931
<測定条件>
測定装置:
測定波長:
レスポンス:
昇温速度:
J-1500 円二色性分散計
PTC-510 水冷ペルチェセルホルダ
CTU-100 恒温水循環ユニット
キャピラリジャケット
キャピラリセル
角型 CD 石英セル 栓付 1×10 セルスペーサ
データ取込間隔:
バンド幅:
222 nm
8秒
1℃/min
シール材
0.2 ℃
1 nm
<測定結果>
キャピラリセルと角型セルで測定したリボヌクレアーゼ A の温度変化データを Fig.1 に
示します。これらの温度変化データを[JWTDA-519 熱変性解析プログラム]を用いて解析し
たところ変性温度 (Tm) はキャピラリセルでは 59.4℃、角型セルでは 59.7℃と良く一致し、
キャピラリセルを用いた微量測定でも高精度の測定が可能なことが確認できました。
-15
-20
CD [mdeg]
-25
-30
20
40
60
80 85
Temperature [℃]
Fig.1 リボヌクレアーゼ A の温度変化データ
キャピラリセル
1mm 角型セル
本社・工場 192-8537 東京都八王子市石川町 2967-5 TEL 042(646)4111 代表 FAX 042(646)4120
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