短期予報解説資料1 2015年 1月10日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①水蒸気画像暗域と対応する 500hPa の強風軸が千島近海の 寒冷渦からミャンマー付近の トラフにかけて幾本か見られ る。 これらを、 5100m付近、 5400m 付近、5700m 付近の三つの系に まとめて考える。 ②カムチャツカ半島では西向 きの上層雲が明瞭で一部が千 島近海の寒冷渦に巻き込んで いる。日本海の対流雲は小康状 態。朝鮮半島北部へ進む 5400m 系のトラフの影響に注目。 ③5700m系の流れに乗って華南 に中上層雲が広がっている。 千島近海の低気圧はゆっくり東進し、 日本付近は冬型の気圧配置が続く。 強風や風雪、高波、なだれに注意。 発生 実況 40kt[GW] FT30~ 35kt[GW] 11日は低気圧が日本 海に発生し北陸付近 に上陸。北陸付近を 中心に大雪や落雷・ 突風に注意。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①千島近海の低気圧はしばらく南西へ進んだ後 11 日は千島の東へ進む。日本付近は 12 日にかけ冬型 の気圧配置。この中で 11 日は 5400m 系のトラフが日本海西部に南下、強風帯の中を短波のトラフ(5280 ~5400m)が日本海西部から東日本へと進む。これに伴い日本海に形成されるシアーライン上に低気圧 が発生して北陸付近に上陸する。低気圧から西へのびるシアーラインが西日本日本海側に南下し下層 寒気移流が強まる。低気圧は陸上では不明瞭だが関東付近から東へのびるシアーライン上で再び顕在 化。11 日前半までは大陸の高気圧が日本の南に張り出し、西日本から南西諸島方面は等圧線の間隔は 開くが、低気圧通過後の 11 日後半は再び気圧の傾きが大きくなる。強風や風雪、高波に注意。 ②前項トラフにより北陸、近畿、東海、関東甲信では対流雲の発達や落雷、局地的な降雪の強まり、 大雪、着雪、なだれに注意。太平洋側平野部でも低気圧が顕在化する過程やシアーラインの通過での 雪の可能性に留意。また、北海道は 11 日朝から夜にかけてオホーツク海から 5100m 系を短波のトラフ が南下し下層風のシアーの南下も見られる。北海道日本海側・オホーツク海側は風雪の強まりに注意。 ③5700m 系のトラフは 12 日夜には華南に進む。対応する雲域の広がりに留意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①最新初期値の GSM を基本とする。②日本海や関東の東の低気圧、 低気圧通過後の寒気は MSM も参照。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雪ポテンシャル(18 時からの 24 時間):北陸 50、東北 40、 北海道・関東甲信・東海 30cm。②波(明日まで):北海道 5、東北・北陸・伊豆諸島 4、関東・東海・小 笠原 3、西日本 2.5~3m。③潮位(明日まで) :北海道太平洋側東部で注意報基準超過の可能性あり。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はない。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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