2015/No.48

ホイールトラブルシューティング- 2
前号では、グラインディングホイールを装置に取り付ける際に発生する刃折れ・刃欠けへの対応法について取り上
げました。今号では、
「アプリケーション編」
「侵食・過回転編」として、研削加工時におけるホイールの刃折れ・刃
欠けの発生事例と、対策についてご紹介します。
取り扱い注意編
刃折れ・刃欠け
アプリケーション編
侵食・過回転編
Fig. 1: ホイールトラブルシューティングのテーマ
1. 研削中の刃折れ・刃欠けに対応するアプリケーション
以下は、研削中に発生する、刃折れ・刃欠け事例と確認ポイント、対策についてまとめたものです。
Table 1
発生事例
確認ポイント
対策
・加工条件に変更は無いか
→新規ワークの採用
→テープを削っていないか
→研削条件の確認
刃先が部分的に破損
樹脂などの著しい目詰まり
・研削負荷を減らすには研削条件の変
更が有効です(後述“砥石加工のメカ
ニズム”参照)
・適切な研削条件か
→ノズルの位置
→研削水量・水圧
・ノズルの位置を調整してください
・研削水量・水圧を正しく設定してくだ
さい
・ホイールからの水漏れがないか
→ホイール基台の裏面を確認
・マウントやウォーターケースの清掃を
してください(後述“水漏れについて”
参照)
・発生時の研削ログ(スピンドル電流値・ ・以下の場合は弊社へご相談ください
砥石摩耗量など)に異常がないか
① 新規ワークで加工できなった場合
② 再発した場合
片側のみに大きな欠け
01 砥石加工のメカニズム
研削負荷を減らすには、ワーク、グラインディングホイール、研削条件の 3 つのポイントでのアプローチが有効です
ワーク
研削負荷に影響する要素
ホイール
・サイズ
・材質
・硬度
・ボンド材
・砥粒サイズ
・刃幅
・スピンドル回転数(周速)
・研削速度
・研削量
・ワーク回転数
・研削水量
研削条件
Fig. 2: 研削負荷に影響する要素
2015 / THE CUTTING EDGE No. 48
kiru
kezuru
Diamond Marketing Group
Sales Engineering Division
migaku
48
2015/ No.
Technical Newsletter
ホイールトラブルシューティング- 2
02 水漏れについて
水漏れが発生すると、研削水を加工点に充分に供給できなくなります。これにより、①洗浄水不足によりコンタミが残留 ②冷却水不
足による加工点の発熱といった現象をまねきます。これらがワークの面焼けや、ホイールの刃折れ・刃欠けを引きおこし、加工品質を
低下させる場合があります。
注 1:
水漏れについての詳細は、The Cutting Edge No.4「研削加工における水漏れによる弊害について」をご参照ください
Photo 1
ホイールマウント
研削水
水漏れ
ホイール
洗浄水・
冷却水不足
ワークの面焼け
コンタミ
が残留
発熱
Fig. 3: 研削水の水漏れによる影響
Photo 1: 水漏れしているホイールの状態(マウント側)
対策
ホイールを取り付ける際に、装置側のホイールマウントとの密着精度が悪い場合に水漏れが発生します。予防として、以下の対策実施
をおすすめします。
• ホイール交換時
・ホイールとマウント端面にオイルストーンをかける
・ネジ部分を水で洗う
• 装置を止める都度
・ホイール側面およびホイールカバーの清掃(日常的な実施を推奨します)
2. 侵食・過回転に起因する刃折れ・刃欠けへの対策
その他の刃折れ・刃欠けの原因として、ホイールの砥石部分の侵食※注 2 と、加工時の制限回転数超過が挙げられます。以下に確認ポイ
ントと対策についてまとめました。
注 2:
侵食とは、砥石部分が純水に長期間触れ続けることにより、腐食した状態を指します
Table 2
発生事例
・刃先の端が根本まで侵食
されて崩れている
・大部分の刃先で、刃先の端
の同じ箇所に破損が発生
確認ポイント
対策
・連続 5 日以上の長期間アイド ・アイドリング条件を変更
リングになっていないか
・アイドリング時の研削水量が
多くないか
・刃先の部分的な破損
・刃先それぞれにおいて、同
じ箇所に破損が発生
・ウォームアップ時に破損して
いないか
・ホイール基台に表示された、
制限回転数を確認
・制限回転数以上での加工をし
ていないか
・根本から破損
お問い合わせ
株式会社ディスコ 営業技術本部 ダイヤマーケティンググループ
www.disco.co.jp
2015 / THE CUTTING EDGE No. 48