ホイールトラブルシューティング- 2 前号では、グラインディングホイールを装置に取り付ける際に発生する刃折れ・刃欠けへの対応法について取り上 げました。今号では、 「アプリケーション編」 「侵食・過回転編」として、研削加工時におけるホイールの刃折れ・刃 欠けの発生事例と、対策についてご紹介します。 取り扱い注意編 刃折れ・刃欠け アプリケーション編 侵食・過回転編 Fig. 1: ホイールトラブルシューティングのテーマ 1. 研削中の刃折れ・刃欠けに対応するアプリケーション 以下は、研削中に発生する、刃折れ・刃欠け事例と確認ポイント、対策についてまとめたものです。 Table 1 発生事例 確認ポイント 対策 ・加工条件に変更は無いか →新規ワークの採用 →テープを削っていないか →研削条件の確認 刃先が部分的に破損 樹脂などの著しい目詰まり ・研削負荷を減らすには研削条件の変 更が有効です(後述“砥石加工のメカ ニズム”参照) ・適切な研削条件か →ノズルの位置 →研削水量・水圧 ・ノズルの位置を調整してください ・研削水量・水圧を正しく設定してくだ さい ・ホイールからの水漏れがないか →ホイール基台の裏面を確認 ・マウントやウォーターケースの清掃を してください(後述“水漏れについて” 参照) ・発生時の研削ログ(スピンドル電流値・ ・以下の場合は弊社へご相談ください 砥石摩耗量など)に異常がないか ① 新規ワークで加工できなった場合 ② 再発した場合 片側のみに大きな欠け 01 砥石加工のメカニズム 研削負荷を減らすには、ワーク、グラインディングホイール、研削条件の 3 つのポイントでのアプローチが有効です ワーク 研削負荷に影響する要素 ホイール ・サイズ ・材質 ・硬度 ・ボンド材 ・砥粒サイズ ・刃幅 ・スピンドル回転数(周速) ・研削速度 ・研削量 ・ワーク回転数 ・研削水量 研削条件 Fig. 2: 研削負荷に影響する要素 2015 / THE CUTTING EDGE No. 48 kiru kezuru Diamond Marketing Group Sales Engineering Division migaku 48 2015/ No. Technical Newsletter ホイールトラブルシューティング- 2 02 水漏れについて 水漏れが発生すると、研削水を加工点に充分に供給できなくなります。これにより、①洗浄水不足によりコンタミが残留 ②冷却水不 足による加工点の発熱といった現象をまねきます。これらがワークの面焼けや、ホイールの刃折れ・刃欠けを引きおこし、加工品質を 低下させる場合があります。 注 1: 水漏れについての詳細は、The Cutting Edge No.4「研削加工における水漏れによる弊害について」をご参照ください Photo 1 ホイールマウント 研削水 水漏れ ホイール 洗浄水・ 冷却水不足 ワークの面焼け コンタミ が残留 発熱 Fig. 3: 研削水の水漏れによる影響 Photo 1: 水漏れしているホイールの状態(マウント側) 対策 ホイールを取り付ける際に、装置側のホイールマウントとの密着精度が悪い場合に水漏れが発生します。予防として、以下の対策実施 をおすすめします。 • ホイール交換時 ・ホイールとマウント端面にオイルストーンをかける ・ネジ部分を水で洗う • 装置を止める都度 ・ホイール側面およびホイールカバーの清掃(日常的な実施を推奨します) 2. 侵食・過回転に起因する刃折れ・刃欠けへの対策 その他の刃折れ・刃欠けの原因として、ホイールの砥石部分の侵食※注 2 と、加工時の制限回転数超過が挙げられます。以下に確認ポイ ントと対策についてまとめました。 注 2: 侵食とは、砥石部分が純水に長期間触れ続けることにより、腐食した状態を指します Table 2 発生事例 ・刃先の端が根本まで侵食 されて崩れている ・大部分の刃先で、刃先の端 の同じ箇所に破損が発生 確認ポイント 対策 ・連続 5 日以上の長期間アイド ・アイドリング条件を変更 リングになっていないか ・アイドリング時の研削水量が 多くないか ・刃先の部分的な破損 ・刃先それぞれにおいて、同 じ箇所に破損が発生 ・ウォームアップ時に破損して いないか ・ホイール基台に表示された、 制限回転数を確認 ・制限回転数以上での加工をし ていないか ・根本から破損 お問い合わせ 株式会社ディスコ 営業技術本部 ダイヤマーケティンググループ www.disco.co.jp 2015 / THE CUTTING EDGE No. 48
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