シリコンウェーハを研削加工する際の基礎情報- 2「砥粒とボンドの影響」 砥石本来の性能を、十分に発揮した状態でグラインディングホイールを使用していただくために、複数回にわた って、ホイール研削に関する基礎情報をお届けしております。今号は「砥粒とボンドの影響」をご紹介いたします。 気孔 / チップポケットの効果 加工メカニズム 自生発刃 加工モード 砥粒 砥石の三要素 ボンド 気孔 / チップポケット 研削方式 加工要素 チャック回転数 研削速度 / その他の条件 注 1: ■前号にて掲載 本資料で取りあげる情報は、全てシリコンウェーハを加工対象にしたもので す。他の素材につきましても、基本的な考え方は同じですが、異なる場合も ありますので、詳細につきましてはご相談ください。 ■今回テーマ □次号テーマ Fig. 1: ホイール研削に関する基礎情報 1. ホイールの構成 ホイールは主に「砥粒」 「ボンド」と「気孔 / チップポケット」で 砥粒(ダイヤ) 構成されています。 砥粒は実際に加工を行う切れ刃となる役割をもっており、ボン 気孔 ドは砥粒を保持する役割をもっています。 ボンド 注 2: 「気孔 / チップポケット」は、The Cutting Edge No.33「グラインディングホ イールの加工メカニズム」をご参照下さい。 拡大 Fig. 2: ホイールの構成 2. 砥粒の種類 3. ボンドの特徴 砥粒の種類は、大きく分けると超砥粒と一般砥粒に分類されま グラインディングホイールに使用されるボンドは、現在は主にレ す。Disco が扱うグラインディングホイールには、主に超砥粒で ジンとビトリファイドが用いられています。組成や焼成方法など あるダイヤモンドが使用されています。 で様々な特性が得られ、用途によって使い分けされています。 砥粒の種類 超砥粒:ダイヤモンド、CBN など ボンド 特徴 レジン 樹脂(レジン)を使用した焼成砥石。 自生発刃作用が良好で、高品位な加工に用い られる。 一般砥粒:GC(SiC)、WA(Al2O3) など ビトリファイド 磁器質粉末を用いて作る焼成砥石(ガラス質)。 Fig. 3: 砥粒の種類 剛性が高く、高負荷な加工に用いられる。 Fig. 4: ボンドの特徴 2010 / THE CUTTING EDGE No. 34 kiru kezuru Diamond Marketing Group Sales Engineering Division migaku 34 2010/ No. Technical Newsletter 砥粒とボンドの影響 4. 砥粒径の違いによる加工メカニズム 加工のメカニズムは、砥粒の大きさにより下記の特徴をもってい ます。 加工品質への影響 1 面粗さ 大きな砥粒で研削した場合、研削面は粗く仕上がります。 砥粒径が大きい場合 砥粒径が小さい場合 大きな砥粒 (#320) 砥粒 小さな砥粒 (#2000) 砥粒 Fig. 6: 砥粒径の違いによる面粗さ ・面粗さが粗い ・面粗さが細かい ・消耗量が少ない ・消耗量が多い ・研削抵抗が低い ・研削抵抗が高い ・酸化膜への対応性が高い ・酸化膜への対応性が低い 加工品質への影響 2 消耗量 #320 と #2000 の比較では、#2000 の方が消耗量が非常に多く なります。但し、実際の使用環境下では、砥粒径の大きい砥石 加工イメージ ヤスリ 加工イメージ は粗研削(加工量が多い) 、 砥粒径の小さい砥石は仕上げ研削(加 工量が少ない)に用いられるため、ホイールライフでは大きな 差はありません。 ヤスリ 注 3: 加工イメージは、The Cutting Edge No.33「グラインディングホイールの加工 メカニズム」をご参照下さい。 Fig. 5: 砥粒径の違いによる加工メカニズム 消耗比 (#320=1) 50 40 30 20 10 0 大きな砥粒 (#320) 小さな砥粒 (#2000) Fig. 7: 砥粒径と消耗量の関係 まとめ: 砥粒径と加工品質のトレードオフ 砥粒径の影響についてまとめると Fig.8 のような関係になります。 改善 ↑ 研削力 ライフ 面粗さ 小さい ← 砥粒径 → 大きい Fig. 8: 加工時の傾向について お問い合わせ 株式会社ディスコ 営業技術本部 ダイヤマーケティンググループ www.disco.co.jp 2010 / THE CUTTING EDGE No. 34
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