A-7

A-7
ガーネット型 (Y1−xGdx)3Fe5O12 系のフェリ磁性
室蘭工業大学
○
山岸 拓海,
阿波加 淳司,
戎 修二,
【序論】
ガーネット型化合物は C, A, D 3 つの陽イオン
サイトをもち、化学式は{C }3[A ]2(D )3O12 で表さ
{Y1-xGdx}3Fe5O12
磁束計をもちいた。
【結果】
室温での格子定数は、12.377 Å (Y3Fe5O12),
H = 10.0 kOe
15
nB / µB mol-f.u.
は固相反応法により合成し、磁化測定は SQUID
永田 正一
20
れる。C サイトが希土類イオン Y3+, Gd3+である
置換型希土類鉄ガーネット{Y1−xGdx}3Fe5O12 の
フェリ磁性について実験結果を報告する。試料
近澤 進,
x = 1.0
10
12.471 Å (Gd3Fe5O12)であり、置換量 x に対して
x = 0.8
x = 0.6
x = 0.0
x = 0.4
x = 0.1
x = 0.2
5
x = 0.3
直線的に変化し Vegard 則に従う。
図 1, 図 2 に磁化測定結果を示す。図 1 に示す
ように Curie 温度は置換量 x によらず約 560 K で
一定である。Y3Fe5O12 (x = 0.0)の磁気モーメント
0
0
200
400
600
T/K
は温度上昇に伴い単調に減少する。Y3+を Gd3+
図 1. 磁気モーメントの温度依存性
に置換していくと、磁気モーメントがある温度
(x = 1.0)では 290 K である。図 3 は 5.0 K での磁
気モーメント nB の x 依存性である。nB の実験値
は nB = | 21x − 5.0 |の関係式と近似的に等しい。
A サイトの Fe3+ 2 個と D サイトの Fe3+ 3 個の
20
h
{Y1-xGdx}3Fe5O12
nB / µB mol-f.u.
で極小をとるような曲線を描く。この極小温度
(補償温度)は x の増大と共に上昇し、Gd3Fe5O12
g
T = 5.0 K
f
a
0
e b
a:
b:
c:
d:
モーメントは互いに逆向きで、反強磁性相互作
用が働き、Fe3+ 1 個に相当する 5 µB が打ち消さ
れずに残る。C サイトの Gd3+は 1 個あたり 7 µB
-20
-10
x = 0.0 ,
x = 0.1 ,
x = 0.2 ,
x = 0.3 ,
d
e:
f:
g:
h:
c
x = 0.4
x = 0.6
x = 0.8
x = 1.0
0
10
H / kOe
で、A − D 間の残った 5 µB と反強磁性相互作用が
図 2. 磁化曲線 ( nB 対 H )
働いている。この反強磁性相互作用は A − D 間と
トは 21 µB と大きいため、 図 1 のような曲線を
描く。
【結論】
種々の R (rare earth)元素による、希土類鉄ガー
ネット R3Fe5O12 の磁化の温度依存性は、置換系
{Y1−xGdx}3Fe5O12 でもほぼ類似して再現できる
ことがわかった。
20
nB / µB mol-f.u.
比較し弱く、C サイトの Gd3+ 3 個分のモーメン
{Y1-xGdx}3Fe5O12
H = 10.0 kOe
15
T = 5.0 K
10
5
0
nB = |21x - 5.0|
実験値
0
Y
0.2
0.4
0.6
x
0.8
1
Gd
図 3. nB の x 依存性 ( T = 5.0 K )