技術分野 「C 生物育成に関する技術」

技術分野
「C 生物育成に関する技術」
1
内容Cのねらい
生物育成に関する基礎的・基本的な知識及び技術を習得させるとともに、生物育成に関する
技術が社会や環境に果たす役割と影響について理解を深め、それらを適切に評価し活用する能
力と態度を育成する。
2 内容Cの指導項目及び事項
(1)生物の生育環境と育成技術
ア 生物の育成に適する条件と生物の育成環境を管理する方法を知ること。
イ 生物育成に関する技術の適切な評価・活用について考えること。
(2)生物育成に関する技術を利用した栽培又は飼育
ア 目的とする生物の育成計画を立て、生物の栽培又は飼育ができること。
3
指導計画例
学習内容
1 生物育成と私
たちの生活との
かかわり
2 草花や野菜の
種類と品種
3 植物の育成環
境と育成技術
4 栽培の計画
5 養液栽培の
実習
6 生物育成技術
の発展と未来
具体的内容
(1)日常生活における生物育成技術の利用
(2)生物育成における課題(環境問題、需要と供給)
(全 15 時間)
時
間
1.5
(1)草花の種類と特性(1・2年草、宿根草、球根類など)
(2)野菜の種類と特性(葉菜類、根菜類、果菜類)
(1)作物の栽培に適する条件と栽培環境を管理する方法
・気候的要素(温度、水、光など)
・土壌的要素(団粒構造・単粒構造、pH など)
・栄養的要素(三要素、微量要素など)
・病気、害虫的要素(種類と予防、駆除の方法など)
・作物の管理技術(種まき、定植、摘心、摘芽、収穫など)
・育成環境管理技術(整地、除草、施肥、かん水など)
(2)普通栽培と調節栽培の違いと、調節栽培の発達
・加温(保温)栽培、低温処理栽培、日長調節栽培、養液栽培
(1)栽培する作物(コマツナ)の特徴(調べ学習)
(播種、移植、収穫の時期)
(発芽、生育に必要な環境条件)
(必要な育成管理の内容)
(2)栽培計画表の作成
(1)播種
(2)栽培装置の製作
(3)定植
(4)育成管理
・不織布の使用やアルミ箔で覆う意味
・養液の違いによる影響 など
(5)収穫
※栽培の記録(記入シート、写真記録など)とまとめ
3
(1)社会で開発されている生物育成の技術
(2)食や環境に果たす生物育成技術の役割
0.5
3
2
5
4
評価規準の設定例
内容・項目
関心・意欲・態度
工夫創造
技
能
C
ア
生物の生育環境と育成技術
生物育成に関する技術
◆光、大気、温度、
水、土、他の生物
などのいろいろ
な環境要因が生
物の成長に与え
る影響について
の知識を身に付
けている。
◆生物の育成に
適する条件と、育
成環境を管理す
る方法について
の知識を身に付
けている。
(1)
生物育成に関する技術を利用した栽培又は飼育
(2)
知識・理解
イ
◆生物育成に関
する技術の課題
を進んで見付け、
社会的、環境的及
び経済的側面な
どから比較・検討
しようとすると
ともに、適切な解
決策を示そうと
している。
◆生物育成に関
する技術の課題
を明確にし、社会
的、環境的及び経
済的側面などか
ら比較・検討する
とともに、適切な
解決策を見いだ
している。
ア
◆環境に対する
負荷の軽減や安
全に配慮して栽
培又は飼育方法
を検討しようと
している。
◆新しい発想を
生み出し活用し
ようとしている。
◆目的とする生
物の育成に必要
な条件を明確に
し、社会的、環境
的及び経済的側
面などから、種
類、資材、育成期
間などを比較・検
討した上で、目的
とする生物の成
長に適した管理
作業などを決定
している。
◆成長の変化を
とらえ、育成する
生物に応じて適
切に対応を工夫
している。
◆生物育成に関
する技術が社会
や環境に果たし
ている役割と影
響について理解
している。
◆計画に基づき、
適切な資材や用
具を用いて、合理
的な管理作業が
できる。
◆育成する生物
の各成長段階に
おける肥料、飼料
の給与量や方法
をはじめとした
管理作業、及びそ
れに必要な資材、
用具、設備などに
ついての知識を
身に付けている。
◆育成する動植
物に発生しやす
い主な病気や害
虫等とともに、病
気や害虫等に侵
されにくい育成
方法や、できるだ
け薬品の使用量
を少なくした防
除方法について
の知識を身に付
けている。
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実習例
「簡易水耕栽培装置によるコマツナの栽培」
この実習には、次のような特徴がある。
① 技術分野(収穫)と家庭分野(調理)の学習内容につながりを持たせることができ、
日常生活への応用や学習の有用感(日常生活への一般化)への高まりが期待できる。
② 種まきをスポンジに行うので、発芽の条件による違いや発芽の様子を観察できる。
また、発芽後は根の成長まで観察できる。
③ パーライト(熱処理、無菌、扱いやすい、保水性、空気の通り良)を使用するので、
土の環境要因について考えることができる。
④ 液肥を使用するので、成分の分析(肥料の 3 要素、微量要素)とそれぞれの働きや適量
(正確な計測)について学習できる。
⑤ 条件を変えた生育管理(生育条件による生育の違を比較)ができる。
→気温、日光、害虫、病気、肥料(不織布、防虫ネット、アルミホイルの役割)
→栽培技術の視点で学習がしやすい(大量生産、短期収穫、管理の効率化・・・・)
⑥ 野菜工場への理解が深まる(技術の適切な評価・活用)
。
→きれいな環境、管理がしやすい、計画的な生産、収穫量が安定、大量生産
(1)材料
① スポンジ、タッパ
② 水切りタッパ、水切りネット、プラスチックコップ、
③ ペットボトル、不織布
④ パーライト(バーミキュライト、川砂)
⑤ 液体肥料
(2)簡易水耕栽培装置の製作と育成管理の留意点
A【タッパを利用した栽培装置】
B【ペットボトルを利用した栽培装置】
① 栽培装置製作にかかる時間は約2時間。
② 固形培地耕の「砂耕」
(砂、パーライト、バーミキュライト)を用いる。
③ B装置の定植は、日を改めて行なう。
→養液が培地である軽石に染み込むまで約半日∼1日かかるため。
④ 養液の交換は、5日∼7日に1回の割合で行う。
ただし、夏場のように蒸散が激しい場合は期間を短くする必要がある。
特に、A装置の場合は、養液の減少が早いので注意が必要。
(3)コマツナの簡易水耕栽培による栽培記録
>>>>>>>>> 播種 (9 月 7 日)
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◇9月7日に種まき。
1 つのスポンジに1つ種をまき、ティッシュで覆った
あと、水分を十分に与えておく。
>>>>>>>>> 定植 (9 月 18 日) <<<<<<<<<<<<<<<<<<<<<
◇播種から1∼2日で発芽
◇写真は、種まき後、10 日目の様子
◇写真のように、根が成長し裏から出たらプラスチック
コップに入れて定植
◇播種から 12 日目、栽培装置に定植
>>>>>>>>>
栽培経過 (10 月 3 日)
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◇播種から約 27 日後(約3週間)
◇定植から約 16 日後(約2週間)
>>>>>>>>>
栽培経過 (10 月 17 日)
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◇播種から約 40 日後
◇定植から約 30 日後(約1か月)
>>>>>>>>>
収穫 (10 月 27 日)
◇播種から約 50 日後
◇定植から約 40 日後
◇収穫をする
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