循環の庭 - プレック研究所

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プレック 研究所 PROJECTREPORT5
浜名湖花博国土交通省中部地方整備局出展庭園「
循環の庭」の設計・
運営管理
一循環型 ライ 7ス タイル モ デル,
の題案 De
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島田貴史
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「
循環の庭」では、環境に配慮 した 「11の技術」を軸に循環型ライフスタイルを提案 した。個々の技術の紹介だけではな
く、生活空間を想定 した建物や庭の中で複数の技術を組み合わせ展開することで、より効果的で見た目も楽 しい循環型の
循環の庭」をステージに、循環をテーマとした
くらしを利用者が体感できるものとした。また花博間期 6ケ月間の中で 「
イベン トも開催 した。
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ORA 2004.
1.
はじめに
2004年 4月 8日より 2004年 10月 11日までの半
年間、静岡県浜松市で開催された浜名湖花博は、全国都市
緑化フェアと国際園芸博覧会の同時開催により、入場者数
が 544万人と、大盛況のうちに幕を閉 じた。
当社はこの浜名湖花博において、国土交通省中部地方整
000 「
刑こついて、
備局の出展エ リア 「
循環の庭 」 約 l.
中部地方整備局が目指す、自然共生型社会、循環型社会と
はどのようなものなのかを、一般の利用者に感 じてもらう
ことであった。
具体的には新 しい技術と日本古来の知恵を活か して、環
境に貢献できる 「11の技術」を設定 した。そ して 「11
の技術」を個別に紹介するのではなく、複数の技術を組み
合 わ せ る ことで 、 よ
2001年から2004年までの期間基本構想 ・計画、実施
設計から一部工事監理、運営管理の業務に至るまで担当 し
たものである。
∴
二
.
ライ フス タイル モ デ
ル と して 、体感 して
2.
施設の目的 ・考え方
本施設 「
循環の庭」の出展目的は、出展者の国土交通省
も らうこ とを 目指 し
▼
◆
た。
「
循環の庭」イメージモデル
PROIECT REPORT-5
61
「
循環の庭」は大きく3つのエ リアで構成されている。
3.
施設計画
計画対象地は、花博会場を東西に分断する運河に架けら
まず敷地中心部には日本古来の知恵と新 しい技術を融合 し
れた 2本の橋のうちの一つ、商工ボ橋のたもとであった。
た 「
環境共生住宅エリア」を配置 した.そ してこのエリア
非常に人通 りの多い場所で、「
循環の庭」の花博聞期 6ケ
をはさんで南側に、様々なリサイクル材料を工夫 した 「
循
月間の合計入場者数は約 112万人であった。
環ガーデンエリア」を、北側にはビオ トープ池、揚水風車、
クールチューブなどを複合的に展開 した「
循環の池エリア」
」「ガーデン」「池」という器
を配置 した。それぞれ 「
建物
の中で、循環型ライフスタイルをささえる 「11の技術」
を組み合わせ、紹介 している。
浜名湖花博会場全体図
「
循環の庭」エントランス
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また 2kwシステムのソーラーパネルを屋根に設置 し、
(1)環境共生住宅エ リア
建物は深い軒、高窓換気、広い開口部など、日差 しと風
発電 した電気を 「
循環の庭」内で使用 し、発電量をリアル
をコン トロールする、日本の伝統的木造建築の知恵を活か
タイム表示するほか、利用者が自転車をこぐと、ソーラー
している。また仕上げ材も珪藻土の土壁や、静岡県産のス
パネルと発電競争ができる体感展示も導入 した。
ギやヒノ羊を多用 し、室内の湿度を調整する昔ながらの工
夫を取り入れ紹介 している。
の草花屋根に包まれているOこれまで
屋根は約 150m2
当社では、章屋根を何度か施設に組み込んだ実績があった
が、「
循環の庭」では植栽基盤であるヤシマッ トに花の種
を仕込み、季節ごとに花を咲かせ、より楽 しく美 しい屋根
をつくり出 した。また一般利用者に草花屋根の断熱効果を
知ってもらうために、草花屋根と金属屋根の表面温度を比
較できるリアルタイム表示を行った。夏の 3ケ月間 6-8
建物内部。静岡県産のスギ、 ヒノキをふんだんに使用
自然換気 を促 す恵窓換気
月の平均で、草花屋根表面温度は金属屋根 と比べると、
4 1℃低い結果が出た。
昔 なが らの縁側空間
自転車 でソーラーパネル と発電競争
観察 テ ッキ を昇 ると直才
妾草花屋根 に触 れる (
5月の様子)
pROIECT REPOR卜 5
63
(2)循環ガーデンエリア
循環ガーデンエリアの庭は、辻本智子環境デザイン研究
所の辻本氏により花の演出が行われた。また、市民花壇を
設け、会期中 3つの花緑関係の市民団体が 2ケ月交代で花
壇の演出を行った。
園路には雨水を地下に通す透水性舗装や、木材製材時に
発生する樹木の皮を活用 した樹皮舗装を使用 した。エン ト
ランスサインや、
堆肥置き場スペースに枕木を活用 したり、
リサイクルのウイスキー槽で屋根に降った雨水をため、庭
の水まきに使用することで、リサイクルによる庭造 りの味
わいや楽 しさを感 じさせる施設作 りを行った。
また、ミミズコンポス トによる花が らや
スコンポス ト
生ゴミの堆肥化、家庭用の電気を使 うコン
ポス ト機器やコンポス トトイレ等を紹介 し、
暮 らしの中で発生するゴミや排池物の循環
についても実際の様子を展示 した。
(3)循環の池エリア
循環の池エリアは、空石積みや、蛇かこを利用 したビオ
トープ池を中心に展開 したが、特に揚水風車とクールチュ
ーブ、花浄化を組み合わせたシステムに力を入れた。クー
ルチューブは一年中温度変化の少ない地中に配管を回し、
簡単なフアンで地中の配管を通過 した空気を室内に吸引す
るシステムで、夏は涼 しい風が、冬は温かい風が得られる.
今回はさらに揚水風車により、風の力で池の水を汲み上げ
て、クールチューブ取り入れ前の空気を水の気化熱を利用
して先に冷 しておき、クールチューブの効率を上げる工夫
循環 カーテンの樹皮舗装
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を行 った。夏の 3ケ月間 6-8月の問で、平均1 75c
の効果が確認できた。また空気を冷やし終わった水は、ワ
スレナクサの水路を通過させ、植物による浄化を行ったあ
と、池に戻す循環システムとした。
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4イ ベン ト開催
循環型のくらしについてより幅広く体験 してもらうため
に、花博聞期中 「
循環の庭」をステージに、いくつかの参
カロ
型イベン トを開催 した。2004年 9月 18日、23日に
は、環境共生子供教室を開催 した。当日は子供達に 「
循環
の庭」の技術について解説 した上で、当社の昆虫、動物の
専門家指導のもと、循環の庭に棲みついた、様々な昆虫や
生き物をみつけて大きなマップに書きこみ、遊びながら学
べるイベン トとした。
また市民花壇作成団体による、ペ ットボ トルを利用 した
寄せ植え教室などを開催 し、リサイクルによる、暮 らしの
揚水風車とクールチュ-フの
空気取り入れ口
循環の池ビオト
ープ
環境共生住宅
転
転 盈
クールチューフシステム図
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中での花緑を演出する楽 しさを伝えた。
PROJECT REPORT-5
5.
循環型ライフスタイルの普及
「
循環の庭」では来場者の方にアンケー トを実施 した。
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イクル品や自然エネルギー活用の方が、コス トが掛かるケ
ースが大半である。システムのコス ト削減が望まれる。
「
循環の庭」にあるような、「
環境と共生する技術につい
てどう思 ったか」という問いに対 して約 6割の来場者が
「
展示を見て興味がわいた」と回答 しており、循環型の暮
らしに対する興味が強いことが伺えた。
また 「
暮 らしの中に取 り入れたい循環の技術はありまし
展 した建物と庭園の設計 ・運営管理を行ったものであった
が、施設の計画、施工及び運営管理は、財団法人都市緑化
基金の指導のもとに行った。また各施工会社や管理を行っ
コンポス トづくりへの関心が高かった。
た造園会社、運営スタッフなど多くの方々から知恵と協力
の結果も示 している通 り、暮らしの中で環境に良いことを
何か したいという一般の方の欲求
は予想以上に高いと感 じた。開催
中多くの方から草花屋根やクール
チューブ、ミミズコンポス トなど、
循環の庭について問い合わせを頂
いた。
ただ消費型の暮 らしに慣れて し
まった私たち現代人にとって、循
環型の暮 らしは、多少の手間と暇
がかかるものである。今回紹介 し
たような技術を普及させていくた
めには、そのシステムの効果が目
に見え、メンテナンスなどの手間
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1996年京都工芸繊維 大学大学院
工芸科学研 究科 (
造形工学専攻)
修了。同年 4月入社。建築計画 ・
設計 ・監理 に従事。一級建築士 。
環境設計部主査。
本業務は、浜名湖花博に国土交通省中部地方整備局が出
たか」という問いに対 してはクールチューブや草花屋根、
今回循環の庭の計画 ・設計 ・運営を通 じて、アンケー ト
島田 貴史
6.おわりに
が少な く、その上見た目にも美 し
いことが大切であると感 じた。
また最も重要なことと してコス
ト面の問題解決がある。現在 リサ
をいただいた。ここに深く感謝申し上げる次第である。