モニタリングポストの交換(更新)について 平成26年4月 1.概要 施設の経年評価に基づき、平成21年に、既設のモニタリングポスト(以下、 「MP」という。)の近傍に自主でMPを設置した。既設MPが故障した場合、 保守の観点からメーカー技術者の確保が難しい状況にあり、既設MPを自主管 理扱い、自主MPを廃止措置計画に基づく性能を維持すべき設備扱いとして今 後管理していく。 自主MPは2台あり、設置時には外観・寸法検査、員数検査、性能検査を実施 している。また、設置してから現在に至るまでの5年間において、既存MP計測 値と自主MP計測値との比較確認を行ってきた。福島第一原子力発電所事故後 の2011/3/21を一例として、線量比較データを別紙1に示すが、両データは精度 良く一致し、データの信頼性を確認できる。 2.MPにおける設置許可の位置付けについて 「試験研究の用に供する原子炉等の位置、構造及び設備の基準に関する規則 第26条」における監視設備とは、既設MPを指すと解釈する。この条において、 監視設備を設ける目的として、「必要に応じて通常運転時、運転時の異常な過 渡変化時及び設計基準事故時の迅速な対応のために必要な情報を得るため」と 理解する。東大炉は平成24年8月24日付けで廃止措置計画の承認を受け、全制御 棒駆動機能の停止措置を行い、もはや原子炉の運転は出来ない。よって、この 状況下において、条文内容には該当しない。 また、東大炉の「原子炉設置変更承認申請書」における「放射線管理施設」 においては、「屋外管理用の主要な設備の種類」として「定期的に屋外での測 定を行って安全を確認する」とあり、「周辺監視区域の監視」は、「γ線モニ タ、中性子モニタおよび定期的な試料採取測定、運転時の空間線量率測定等に より行う」と記載しており、γ線モニタに係る特段の仕様についての記載はな い。 一方、「東大炉廃止措置計画の添付書類1」において、廃止措置期間中に原 子炉施設の維持管理すべき設備の一つに既設MPを挙げている。その意図は、 廃止措置中の各段階における適切な屋外(環境)の放射線管理を行うためであ るが、炉運転供用中に要求されていた必要性に対し、蓋然性が異なる。廃止措 置作業内容から鑑みてスタックから放出される放射性気体状廃棄物の濃度は、 十分に小さいことは同計画書の中でも述べており、既存MPに求められる機能 として特別なスペックやアラームを要していない。 更に「放射線管理施設は、保安規定に基づき適切な維持管理を行う」と明記 している。平成25年12月18日施行の「廃止措置段階の試験研究用等原子炉施設 における保安規定の審査基準」では、「試験炉規則第15条では、廃止措置中の 要求事項を特に設けていないが、廃止措置の進捗に伴い、安全に対する要求事 項が変化してゆくことが想定されることから、廃止措置の段階に応じて各項目 の要求の程度を勘案する。」とある。 以上から、当該MPについては、原子炉の運転共用中の監視の目的は終了し ており、現在は廃止措置に必要な放射線管理設備のうち環境監視のための設備 東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 と位置づけられる。したがって、本MPの交換は設計及び工事の方法の承認の 対象とはならず、廃止措置計画における放射線管理設備の維持管理の一環とし て行うことが妥当と考える。 以上 東京大学大学院工学系研究科原子力専攻 1μGy/h 既存MPによる計測データ 1μGy/h 自主MPによる計測データ 別紙1 既存MPと自主MPの計測データの比較
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